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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.4
- 出版社: 光村推古書院
- サイズ:17×19cm/71p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-8381-0277-1
紙の本
香千載 香が語る日本文化史 (Suiko books)
著者 石橋 郁子 (文),畑 正高 (監修),宮野 正喜 (写真)
香り−それは目に見えないあやうい感覚。香りをよすがに自然に遊び、古い記憶を呼び覚まし、そして、美の世界を垣間見る。そんな日本の「香り」の世界を、写真と文章で紹介する。【「...
香千載 香が語る日本文化史 (Suiko books)
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商品説明
香り−それは目に見えないあやうい感覚。香りをよすがに自然に遊び、古い記憶を呼び覚まし、そして、美の世界を垣間見る。そんな日本の「香り」の世界を、写真と文章で紹介する。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
石橋 郁子
- 略歴
- 〈石橋〉京都市生まれ。京都女子大学文学部国文学科卒業。79年広告プロダクション・ウームプロジェクト設立。著書に「京菓子歳時記」「女家を産む」など。
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紙の本
現代人のオアシス香道を知るチャンスを見逃さずに読もう
2001/05/09 18:16
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:近藤富枝 - この投稿者のレビュー一覧を見る
香の世界は日本文化のなかでハイソサエティのものとして庶民はふれる機会がほとんどなく、私などは切歯扼腕(せっしやくわん)していたものである。香席に一度連なりたいと思っても、一市井人の身では手づるがなかった。
幸いにある日香席に招待され、聞香を経験し、一人前の教養人になったようで得意であった。これは日本文化に関心のある人なら、一度はぜひ香席に出席してほしいと思う。いろいろ面倒なことはさておき、香を聞く無我の境地はこの世の極楽である。憂き世を忘れることうけあいである。
本書は香の歴史を時代ごとにとらえ、香木の話、製法、香席の作法から、さまざまの道具、をビジュアルに解説した美しい本である。香に趣味のない人も一冊は机上において、頭の疲れたときの慰めにするのがよい。同時に香を一本焚てると、一層効果的だろう。
上流のものであった香が、江戸時代になると庶民まで知識を持つようになった理由が面白い。歌舞伎がその仲介者だという。「伽羅先代萩」(めいぼくせんだいはぎ)「本朝廿四考」「助六由縁江戸桜」(すけろくゆかりのえどざくら)などの舞台面で香を焚く場面があったりしたからであるという。
香道具の蒔絵のみごとさには今更ながら目をみはる。大名の嫁入り道具は特に豪華で、これが彼らのステータスを示すものであったという。徳川二代将軍秀忠の五女和子(まさこ)姫が後水尾帝に入内のときは、父将軍の命で、一番高い予算をつけた者へ落札させたという話が残っている。日本の工芸がこうして保護されて後世に残ったので、香道の使命も大きいといわなければなるまい。
この一冊で香道を知ると、香席への憧れが生れるだろう。初めて出席するときは大へんである。何でもいいから隣りの人の真似をせよと教えてくれた人もあったが、やっぱり本書の「香席」「香席のマナー」を読むのが一番である。
どんな服装をすればいいか。指輪はつけていいのか。遅刻する羽目になったらどうしたらよいか。むろん香の聞き方、持物の注意、etc、みんな書いてある。
「源氏香」についてもこの際正確な知識を持ちたい。寛永文化から生れたものだそうだが、宮廷サロンの生んだ高級遊戯であるだけでなく、組香の図柄がいつのまにか一人歩きして、きものや工芸品のデザインとして利用され、長年にわたり人びとに愛されているのが面白い。
一時映画に匂いをつけるという話題がさわがれたことがあった。しかし当分そんな事態にはなるまい。香の世界だけはマスプロとは無縁である。近代人の個の楽しみ方としてこれほど純粋なものはないだろう。
香席へはなかなか行けないが、腰に匂い袋を提げたり、スティック香を楽しんだり、私も香の大ファンである。 (bk1ブックナビゲーター:近藤富枝 2001.05.10)