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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.4
- 出版社: 世界文化社
- サイズ:26cm/247p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-418-01210-9
- 国内送料無料
紙の本
古写真で見る江戸から東京へ 保存版
明治初年から20年代初めの東京が、くまなく撮影された未発表の貴重な写真を多数含む写真アルバム「大日本東京写真名所一覧表」を初公開。江戸の名残を残しつつ文明開化の花咲く東京...
古写真で見る江戸から東京へ 保存版
紙の本 |
セット商品 |
- 税込価格:25,080円(228pt)
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商品説明
明治初年から20年代初めの東京が、くまなく撮影された未発表の貴重な写真を多数含む写真アルバム「大日本東京写真名所一覧表」を初公開。江戸の名残を残しつつ文明開化の花咲く東京の姿が、当時の写真によって今、蘇る。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
皆で見よう130年前の東京を。皆で考えよう。130年前の日本人の心を。
2001/05/14 15:16
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投稿者:近藤富枝 - この投稿者のレビュー一覧を見る
明治初年から20年代初めまでの東京が何と写真でぎっちり埋まっている本である。監修者の一人である小沢健志氏が昭和50年ごろ、懇意の古書店から譲られたものだそうである。枚数は900点近いという。それを手にしたときの小沢氏の胸のときめきが読者に伝わってくるような珍らしい写真ばかりである。
この時代の写真は多少集めているが、主に作品を書く上での基礎資料として役立ってくれた。しかし今この本を眺め、当時この本があったらもっとイメージがわいたのにと口惜しい思いをしている。
例えば吉原。大門について五十間町の方から撮り、南方面を撮り、それも有名な桜の植こみのあるときとないときと二枚ありという風に至れり尽くせりの集め方をしているのに感心する。吉原細見を見ながら妓楼を眺めると一層楽しい。「中米」「河内」「龍ヶ崎」などの建物が洋風な手すりや屋根を持つのが意外な発見である。
銀座の煉瓦街は明治五年にイギリス人建築家ウォートルスによって設計されたものといい、文明開化の象徴として有名だが、その実体は鹿鳴館ほど知られていない。が本書の見開き二頁の大画面でかなり納得できた。なるほど住人たちが当惑して入居者がもう一つだったという話もよく解るのである。が、さすがに江戸っ子である。その後の華麗な繁華街へと手を加えていく。その原風景として貴重な大写真である。
実を言うと私はこの本で自分の生れた土地である日本橋の浜町付近、祖父や父の育った本町通りの明治初年を眺め、嬉しいような悲しいような気分を味わってしまった。多分東京に縁のある方はそういう見方をしないではいられないと思う。
このころの写真は撮るのに時間がかかるせいだろう、人物が少い。子供なんかはカメラマンのいいつけを守らないらしくブレている。さすがに女性は辛抱強いのでしっかりうつっていて、テレビドラマとはまるで違う自然で地味でゆったりした着こなしをみることができる。
官庁の建物がほとんど洋館になっているのも明治政府の対応のすばやさ、世界列強へ追いつけ、追いこせのエネルギーを感じさせるのに充分である。庶民はそれをどのように受けとめたか、江戸から東京への移り変りのなかでそれはさまざまであったに違いない。
物言わぬ写真もあれば、つきぬ思いを訴えてくる写真もある。巻末に「古写真で偲ぶ江戸・東京」が藤森照信教授と鈴木理生氏との対談であり写真観賞のよき助けである。さらに森まゆみさんの「江戸・明治の残像を求めて向島を歩く」がある。
私は大学で永井荷風の「すみだ川」をゼミで教えていたことがあるが、本書の浅草、墨堤、竹屋の渡し、今戸橋、聖天などすべて「すみだ川」の文中の景観である。早くこの本が出ていたらよかったのに。 (bk1ブックナビゲーター:近藤富枝/作家 2001.05.13)