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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2001.5
- 出版社: 白日社
- サイズ:20cm/276p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-89173-102-8
紙の本
赤の発見青の発見
世界的な半導体研究者・西沢潤一と、青色発光ダイオードの発明発見で広く知られる中村修二の二人が、世界的発見に至る経過、想像力を発揮させる必須条件、科学、技術、そして日本のあ...
赤の発見青の発見
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商品説明
世界的な半導体研究者・西沢潤一と、青色発光ダイオードの発明発見で広く知られる中村修二の二人が、世界的発見に至る経過、想像力を発揮させる必須条件、科学、技術、そして日本のあるべき姿について語り合った対談。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
西沢 潤一
- 略歴
- 〈西沢潤一〉1926年仙台市生まれ。岩手県立大学長、(財)半導体研究振興会半導体研究所所長。工学博士。
〈中村修二〉1954年愛媛県生まれ。カリフォルニア大学サンタバーバラ校教授。工学博士。
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紙の本
生々しく過剰な会話
2001/07/02 17:30
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:上原子 正利 - この投稿者のレビュー一覧を見る
西澤氏は赤の高輝度発光ダイオードを実現した人物。中村氏については今や説明不要だろう。本書は、両氏から個別に聞き書きした話と対談をまとめたもの。中心となる話題は、当然ながら発光ダイオードの開発にまつわる話だが、科学や工学に対する関心だけを持って読むような本ではない。
本書を一言で表わすとすれば、「生々しい」となる。文章には内容的にも文体にもあまり編集の手が入っていないようで、技術的な議論も素人向けの解説無しで進む。それだけに、専門家同士の内輪の雑談を聞いているかのような生々しさがある。両氏と近い分野の人々がどう読むのかは分からないが、分野外の読者は、内容を理解できなくても、その生々しさを楽しむのが正しいと思う。
話の内容は当然ながら両氏の研究を軸としているが、その周辺の話も多い。誰それの研究は実は誰それより先で、とか、誰それはフェアな論文査読者だった、とか、誰それの論文を追試したけどできなくて、など、公表用の会話というよりは普段の会話のようだ。青色発光ダイオードはその性能面とコスト面での有利さから外国では信号機に使われだしているが、日本では天下り企業の関係上使えないとかで、その企業名まで明記されている。所々単なる愚痴のようなものまであるが、それも本書では浮いていない。
両氏ともに日本の社会にはまらなかった人物のようで、日本社会に対する批判的な発言が多い。特に中村氏は、日本を飛び出してアメリカに向かい、そこでの社会のあり方に納得しているため、批判に一貫したものを感じる。既に中村氏の他の本を読んでいる人には物足りないかもしれないが、日本にいて「何かおかしいんだけど…」と思う人は、一度中村氏の話を(本書でなくても良いが)目を通しておく価値があると思う。西澤氏という相方がいる事が本書のポイント。両者の息はかなり合っている。ずれるように見える瞬間もあるが、それもおもしろい。というわけで、本書は普通のよくできた科学書を求める人のためのものではなく、何かしら生々しい、過剰なものを求める人のためのものだろう。
(上原子 正利/北海道大学大学院工学研究科)