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紙の本
阿部薫増補改訂版
2001/05/30 02:56
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投稿者:大谷能生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつて日本にフリ−・ジャズという音楽上の運動があった。その運動に直に立ち会った訳ではない僕は(僕は72年生まれだ)、その音楽の価値や意義を残された音源や証言によって測るしかしかないのだが、そうした資料は僕たちがそこから多くの創造を引き出せるほどには十分に収集・整理されているわけではないというのが現状だろう。
阿部薫 1949-1978。日本のフリー・ジャズシーンを駆け抜け、29歳で薬物による事故死をとげたこの伝説的なミュージシャンの名前を、現在、どれくらいの音楽ファンが覚えていることだろうか。
阿部薫は、ジャズという音楽のなかに、そして演奏するという行為のなかに、確かな切断を刻んだ存在であるはずなのに。僕たちは、彼が持っていた音楽的ポテンシャルをもう一度十分に引き出すために、21世紀の現在、この本の中にまとめられた証言を時代の雰囲気ごと正確に読み込んでいかなくてはならない。「ぼくは誰よりも速くなりたい 寒さよりも、一人よりも、地球、アン
ドロメダよりも…」。
1990年代初頭に初版が出版されたあと、ながらく版を切らしていた本書が最新ディスコグラフィーと発掘されたインタビューを追加して、待望の再版。これから音楽に深く入っていこうとする人は、このスクラップを参照しながら、一度阿部薫の音楽の強度を通り抜ける必要があるのではと、僕は強く思っている。
(大谷能生・フリーライター)