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紙の本
初恋のような儚い不倫
2002/12/28 20:04
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投稿者:真愛 - この投稿者のレビュー一覧を見る
この作品は何年か前に愛永(鈴木保奈美)遼太郎(佐藤浩一)の1夫婦と航平(岸谷吾郎)粧子(鈴木京香)の1夫婦のかすかにくい違った歯車のような物語です。ドラマも心に残るものでしたが、こうして小説で読むと、その男女間はより鮮明に伝わってきます。
この話は結婚式の日から始まります。遼太郎を待ちながらホテルで一人「結婚」について考える愛永。一方、粧子に当日になって「お腹の子はあなたの子じゃないかも知れない」と告げられた航平。二人はホテルの中庭で物思いにふけり、そこで出会う。そんなとき池に落ちた航平、それに連れられて落ちた愛永。ホテルの部屋にそれぞれ戻ったがやがて愛永の元に航平が「部屋に戻れない」とやって来る。それを招き入れた愛永。互いの淋しさを埋めるため1つの約束をする。互いの小指をからめ「愛永の誕生日にまた再会をしよう。それまでにお互い幸せになっている事。なっていないと…」それで2つの夫婦は何ごともなかった様に式を挙げる。しかし、実は遼太郎と粧子は元恋人同士で再会をしてしまう。
そして愛永の家の隣に航平が引っ越してくる。4人それぞれが何か芝居をしている様に「幸せな夫婦」演じる。きっとこの頃からすでに歯車は微妙に動きだしたのかも知れない。しかしそれは決して悪い方には向かなかったと思う。
そんな中、日が経つにつれ愛永と航平は私書箱を使い秘密の文通をする。その手紙が何とも言えず純粋で、相手を想う想いにあふれ、私は読む度に「こんな素敵な手紙は見た事がない」と思っていました。一方で遼太郎も粧子の子が自分の子では? と気になり始め、会うようになる。やがて子供が生まれたが、やはり航平の子ではなかった。航平もまたそれが事実となると受け止められずに荒れてしまう。そして、2つの夫婦は遼太郎、粧子が一緒になり、愛永は一人文通を続けながら、元のバーテンに戻る。航平もまた愛永とは一緒にならずにいる。
しかし愛永には隠している事があり、それによってまた4人の歯車が修正したかの様に動きだす。愛永は白血病に侵されていて、死を目の前にしていた。それでも正気になれない航平に遼太郎は愛永を支えるように激を飛ばす。愛永を幸せにできなかったせめてもの償いのように。そして愛永と航平は寄り添う様にひっそりとホスピスで時を過ごす。しかしそんな暖かな時もそう長くはなかった。
葬儀の時、遼太郎が酔って泣きながら愛永を語る言葉は「この人は本当は愛永を愛していたんだ」と思わせるものです。そんな中、航平は愛永とのある約束を果たそうと、みんなが眠った後にその約束を実行する。そして、愛永のあるものを持って、愛永の思いでの地へ向かう。この愛永が亡くなるまでとの死への恐怖、葬儀からラストへ向けての愛永へのそれぞれの想いは映画を見ている様な鮮明な映像が目の前に広がり、涙をそそられます。そして、航平に残した最後の愛永の手紙はとても素晴らしいものです。愛永の想いがすべてこもった切ないが強い、おもいっきり幸せだったと感じさせるものです。
是非、「恋人よ」(上・下)と読んで頂きたいです。本来の「手紙」というのをすごく感じさせられました。そしてこんなにも美しい恋愛も。