しゃくしゃくけむしくん （福音館創作童話シリーズ）

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：りこ　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

　シンプルな色使いの絵とたのしい擬音。主役のけむしくんにはちょんちょん点の目とスマイル曲線の口しかないのに、あーら不思議。わらったり、びっくりしたり、ほっとしたり、つかれたり、表情がくるくる変わります。
　しゃくしゃく歩くけむしくん。びゅーんくるくるくる風にのる。すたすた　どんどんぼうしのおじさん。どんどん　ぶんぶん　ふとったおばさん。けむしくんはふりとばされ、ほうりだされ、はらいのけられ、おいかけられて、ふみつぶされそうになりながら、やっとこにげて、「あらまあ、けむし」とはじかれます。
さいごに大きな木で、ゆらゆら　あそんで、ゆらゆらゆら　たっぷりねむります。
あらすじを説明しただけで、リズムが感じられちゃうでしょう。すご〜いんです。
　絵本は、声にだして読んでください。リズム感のあることば。ことばの楽しさ、面白さにどっぷりはまってしまいます。
　困難を乗り越えよというメッセージ？　いやいや、社会にはいろんな人がいるから気をつけて？　冒険の楽しさを伝えたい？　けむしはかわいいと知らせたい。そんなことを考えるより先に、まず、味わってみましょう。言葉の楽しさ、心地良さ。日本語って素晴らしい！　そのうち、しゃくしゃくけむしくんが大好きになっていることでしょう。それが、作者の意図ではないでしょうか。だって、文句なく楽しいですから。　

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：安呑　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

「しゃくしゃくけむしくん」・・・軽快な響きのタイトル。すっきりスタイリッシュな表紙絵。思わず手を延ばしたくなる。ひょっとしたら、この本読んで、けむし嫌いの子が減るんじゃないかと思うくらい、かわいくてお茶目なけむしくんが主人公。
　けむしくんは木が大すき。ある日、大きな木をあちこち散歩して遊んでいたら、風にさらわれて、落ちたところは、おじさんの帽子のうえ。必死で帽子につかまっていたけれど、おじさんが帽子を脱いであいさつしたひょうしにふり飛ばされて、今度は、太ったおばさんの上着の肩に。そしてそのまま新幹線に乗っちゃった。ところが、けむし嫌いの乗客に見つかって新幹線の中は大騒ぎ・・・大きな黒い革靴に追いかけられて、ふみつぶされそうになったそのとき…。
　しゃくしゃくけむしくんの冒険は、スリルとスピード、そしてユーモアとなつかしさいっぱいで展開していく。出発点は東京・阿佐ヶ谷近辺とにらんで間違いないが、終点はどこなんだろう？
　作者は、詩人のねじめ正一氏。いろんな擬態語を折り込みながら、サクサクサクと歯切れよく進む文章は、声に出して読むと楽しさ倍増！
　絵は、デザイナー、イラストレーターとして今をときめくはたこうしろう氏。スピード感、躍動感、質感あふれる絵は、一見、多色刷りの版画のように見えるが、なんと、ＭＡＣコンピュータで作成したもの。遊び心いっぱいでとてもオシャレ！
　ねじめ氏とはた氏の絶妙なるコンビネーションの世界が楽しめる。
　読んであげるなら３才くらいから楽しめそうだし、読み聞かせもＯＫ！