紙の本
ひと夏の探偵譚
2006/03/21 00:39
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:常陸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
自殺した従妹のアパートから見つけた人形には事件を思わせる謎の手紙が。好奇心旺盛な
姉と小説家志望の弟が興味本位で始めた探偵が、次第に事件を明らかにしていく…
と、かなり魅力的な出だしで始まる青春ミステリーです。
スリーピング・マーダーと言えばクリスティ!本書にもいくつか有名作が書いてあります。
加えて探偵役が若い男女というところがクリスティの冒険ものを連想させます。
ならクリスティ好きとしては読むしかないでしょう!!!
後味が悪い、との前情報も得ていたのでかなり期待して読み始める事数ページ、
文章が丁寧で上手だなーという印象を受けました。つまり、癖が無くて読みやすいし
意味もなく陽気だったり落ち込んだりする青春特有の描写もしっかり書いてます。
発端から事件発覚までの流れも自然で良い感じ。
ただ、残念だったのは謎の部分がいまいち…だったこと。思ったほど後味も悪くなく。
途中まではもの凄く良かったのですが。もしかしてあのラストが書きたかったのかな?
と邪推してしまいました。人間って結構、ああいう捻れた部分持っていますからねー
そういう黒い部分を垣間見てしまった二人は今後どういう成長をするのか…
解説が若竹七海というのが皮肉なほどぴったりですね。
傑作では無いにしろ、全体に行き渡る瑞々しさ向こう見ずさ、そういうキラキラした青春
真っ盛りのひと夏の姉弟探偵ゲームは、夏にまた読み返したくなる魅力的なお話でしたよ。
紙の本
いい子は薄っぺらで嘘っぽいもの
2003/06/17 10:33
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:PNU - この投稿者のレビュー一覧を見る
トップノート(謎の提起)は夏の引越しと小沢健二の曲で爽やかに、ミドルノート(謎の探索)は描写が停滞して重たく、ラストノート(真相の暴露)は思いこみと醜悪な現実と心の悲鳴で苦々しく閉じる作品であった。
気になるのは、探偵役の姉弟に魅力が乏しいことか。思考しているフリをしながら実は真剣味が薄かったり、興味本位で首をつっこんでミーハーにはしゃいだりしておきながら、さほど親しくもなかった被害者に同情して不適当に感情を爆発させるなど、若さゆえとはいえあまりに愚かしくはないか。
愚かさゆえの代償としてのトラウマ形成をテーマにしているのだろうか?
犯人役はこの動機だとかなりなサイコパスだと思うのだが、人物像がそのように描かれていないので納得がいきかねた。退屈なヒーロー&ヒロインに比べ、犯人のアテ馬役として出てくるらしき人物や、謎を解くヒントをくれる変人の描写は妙に生き生きとして上手いので、魅力あるそっち方面を主役にした方が持ち味が生きるかもしれない。
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この作品は情景が浮かびます。ひと夏の思い出といった感じですが、しっかり推理小説になっています。ただあの終わり方はちょっとめげます。
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両親を早くに亡くした姉弟が、お世話になったいとこの自殺の原因をさかのぼって探る「スリーピング・マーダー」。
展開や話の持って行き方は面白いと思うものの、やはり現在進行の事件と向き合う形と違ってスピード感に欠けるなと思いました。
「スリーピング・マーダー」の場合、事件はすでに終わって時間がたっているわけで、それだけでも印象は地味になってしまいますから、登場人物のキャラをもっと立たせたほうがよかった。みんなキャラ的におとなしい人ばかりだったので、姉弟がいとこの友人たちを疑ってると知ってはじめて「あ、そうなの?そんな疑わしい人いたっけ?」って思っちゃいました(笑)
いやぁ、ここのところ図書館で借りたのは不作続き。
有名どころじゃないのを選んでるからなんですが
やっぱりベストセラーってそれなりにヒットする理由があるんですね。
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スリーピング・マーダーもの。……後味悪っ! もう感想としてはこのひとことに尽きるなあ。個人的にはまあこういうのも嫌いじゃないけど、読後感めちゃめちゃ重い。
「過去に起こったかもしれない殺人」の考察としてはよくできてるかな。トリックも面白かったし。ただ動機はなあ……ちょっと納得できないかも。
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夏休みもあと2週間あまりのある日、カナリヤ荘301号室に越してきた祥子と敬太郎姉弟は押入れの天井裏にあった古ぼけた人形を見つける。
その人形には「ゆきちゃんはじさつしたんじゃない。まおうのばつでしんだんだ」というメモが隠されていた。
その部屋は8年前に自殺した彼らの従姉・咲江が住んでいた部屋だった。
二つの自殺に関連はあるのか。祥子と敬太郎は夏休みだけの探偵を始める。
『模像~』より読みやすくておもしろかったです~!
姉と弟、交互の視点で語られていくし、いわゆる「スリーピング・マーダー」眠れる殺人・回想の殺人ということで、関係者にいろいろ話を聞くことでストーリーが進むため、会話が多かったのでさくさく読めました。
やっぱり動機は弱いのですが、この作品の世界の中ではこれもアリかなぁ。
あと、とんとん拍子に調査が進むのも調子よすぎだし。
でも今作品も伏線が見事でした。
最後は○オチかと思ってちょっとびっくりしましたが。(『奇面組』や『代紋TAKE2』みたいに)
でもやっぱり地味!!いい作品なのになぁ。
「後味が悪い」という感想を目にしましたが、それほどでもないと思いました。
(より後味の悪い作品を読んだことがあるからかもしれませんが)
それは多分、ラストの咲江が言ったとされるセリフによるものだろうと思われるのですが、同じようなことを言ったかもしれませんが、このラストの描き方ではどこまでが現実かわかりませんし。
まあ、軽い好奇心で他人の秘密を暴いて回るなということでしょうか。
あの姉弟にはかなりなトラウマになったのではないでしょうか。今後が心配です。
でもお互い思いやっているのがわかるのでそれほど悪い読後感ではなかったです。
佐々木さんの新作、早く読みたいなぁ。このペースだとまた10年後!?
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とても良い青春ミステリー。久しぶりに読んでて楽しかった。
ただ、少し強引な部分もあり若干ではあるが荒削りなのが残念だった。
全体的によく纏まっていてとても読みやすくラストまで読む手が止まらなかったです!
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謎の呈示から過去を探っていくプロセスは、なかなかスリリングで読み応えがありました。
並木洋子、敬太郎の姉弟が某作家の兄妹探偵に酷似しているのでオリジナリティーが感じられないのは残念ですが、姉弟の対話を通じて二人の人間像が造り上げられるところは良く描けていると思いました。
また、犯人の動機とトリックを用いる必然性は弱い気がしました。
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途中までワクワクして読めました。あまり気にいらないのがラスト部分。というか・・・動機というか。
本書はスリーピングマーダーでいて青春ミステリ。
「スリーピングマーダー」とは直訳してもらってわかるとおり、過去の事実が実は殺人事件で、回想していくうちに犯人が浮かび上がる、といったミステリ。
引っ越した姉弟が天井裏から見つけた人形。
その人形は過去に自殺した従姉妹のもので、そして二人の夏休みオンリーの探偵となるんです。
あまり起伏に富んでいないので、ちょっと退屈に感じたところもありました。
ん・・・最近、よく思うんだけど、私はもう青春ミステリが読めないんじゃないか?と。
動機がね~どうも納得いかなかったり、そんなのあり??なんて思っちゃったりするわけなんですよん。
でもね、本書の過去の事件に関連していた大学生グループっていうのが、私の世代なんです。
バブル絶頂期でお金が巷に溢れ、容姿や乗りの良さなんかが価値基準として重視されて・・・。
だから分からないわけではないのよ。
でも、探偵役の姉弟の掛け合いが面白かったり、アッサリしていたりで、救われていますね~この作品。
本書は第6回鮎川哲也賞佳作を受賞しています。
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青春ミステリとしての面白さはなかなかだった。
大学生の姉と高校生の弟。普通の2人が探偵の真似事をしている内に段々と真相に近付いて行く、その過程にとてもワクワクさせられた。
"スリーピングマーダー"ものという特性上、どうしても証拠不十分だったり推測に基づいてロジックを展開していたりだという"弱さ"も否めなく、そこはちょっと物足りなく感じた。
雰囲気的に夏に読むのにピッタリ。
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2024/1/24~26(3日間)
1/24(水) p.9~47
読み始めた。二章まで。
まだ物語はほとんど始まっていない。
文体が『密閉教室』よりも普通に気取っていて読みにくい。無駄な情景描写とかに労力を使いたくない(情景描写一般が無駄だと思っているわけではなく、海外文学とかで素晴らしいものを読んできているからこそ、どうせそのレベルではないからと見切りをつけてしまっている。ただミステリだとそこに伏線や大事な情報が潜んでいる可能性が常にあるから余計に読み飛ばせず疲れるんだよな……情景描写を純粋に情景描写として読ませてもくれない。嫌い! まぁまだそうと決まったわけじゃない早合点だけど。。)
17歳男子高校生の弟(主人公)と、22歳大学4年生の姉のきょうだい2人暮らし。両親を早くに亡くして親戚に引き取られて育てられたからか、こいつら異様に仲がいい。姉ちゃんが来年就職してからも2人暮らしを続けるつもりのようだ。経済事情ゆえとはいえ。。
お姉ちゃんがめっちゃ萌えで草生える 実姉モノエロゲだ。 おとーとくんは典型の文学青年
1/25(木) p.48~150
第三章
えっ!? 語り手が姉の祥子に交代した! きょうだい2人で代わる代わる語っていく系か いいね