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- カテゴリ:小学生
- 発行年月:2001.9
- 出版社: 徳間書店
- サイズ:22cm/110p
- 利用対象:小学生
- ISBN:4-19-861420-2
紙の本
ねずみの家
著者 ルーマー・ゴッデン (さく),おびか ゆうこ (やく),たかお ゆうこ (え)
ボニーは小さなねずみの女の子。お父さんとお母さん、たくさんのお姉さん、お兄さんと一緒に住んでいました。ある日、せまいおうちにうんざりしたボニーは人間の家にあがっていきまし...
ねずみの家
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商品説明
ボニーは小さなねずみの女の子。お父さんとお母さん、たくさんのお姉さん、お兄さんと一緒に住んでいました。ある日、せまいおうちにうんざりしたボニーは人間の家にあがっていきました。そこで見たものは…?【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
ルーマー・ゴッデン
- 略歴
- 〈ゴッデン〉1907〜1998年。イギリス生まれ。物語の名手とたたえられる作家。長編小説、短編小説、戯曲、詩などを書く。著書に「人形の家」など。
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紙の本
物語に「張り」や「華」がある名手ルーマー・ゴッデンの佳品と、繊細で叙情的なさし絵との幸福な出会い。
2003/10/15 23:50
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
児童文学で好きな作家を挙げていくとすると、あの人もこの人も…で収拾がつかなくなる。だが、お話作りの滑らかさや巧みさに加え、しなやかな張りと華やいだ雰囲気といった特徴から、ルーマー・ゴッデンは最初の方に挙げたい1人だ。
代表作『人形の家』も良いが、『バレエダンサー』『トゥシューズ』をつづけて読んだときの興奮は忘れがたい。前者はしばらく品切れだったのが重版されたようだが、今度は後者が品切れになっている様子。出版社が常に在庫を絶やさないようにすることの大変さを想像する。山岸涼子のバレエ漫画にはまったことがあるというような人には、「機会があったら是非読んでみてみて」とおススめしたい特押し本なのだけれど…。
いきなり違う本の話ばかりで恐縮だが、ゴッデンの作品は原書でも読み易いものが多い。まあ、小学低・中学年向けの童話だということもあるが(笑)、中学程度の英語力があればほとんど辞書なしで読めるものもあり、高校生ぐらいの人が勉強と楽しみを兼ねて読むペーパーバックとして適当ではないだろうか。高校生ではないが、私も今『Miss Happiness and Miss Flower』という日本人形のお話を読んでいる。
この『ねずみの家』は、読んであげるなら1〜2年生、ひとり読みなら3〜4年生という感じの文字量、字の大きさだが、「今日はちょっと子どもに戻りたい気分」の大人にも充分楽しめる1冊である。
その1つめの理由は、上に挙げたゴッデンのお話の特徴が、短いながらによく出ているという点。お人形のねずみが2匹ついていたドール・ハウスが、本物のねずみたちのすみかと化すまでを描いたシンプルな物語であるが、それが女の子の部屋から地下室にもっていかれるまでの経緯が「なるほどね」と納得の流れなのである。人間の住宅事情とねずみたちの住宅事情が並べて書かれているようなユーモアも含みながら、小さなねずみの女の子の冒険譚として展開していく。広い世界に出ての旅、そして思いがけない危機がしっかり含まれていて、緊張感あるヤマ場も用意されている。
お話の出来に加えて特筆すべきは、さし絵の素晴らしさだ。さし絵というのは、お話に書いてあることを単に絵で説明するという役割だけではつまらない。物語に広がりを与えるような創造的なものが優れたさし絵だと思う。その意味で、この本のさし絵は素晴らしい。
たとえば、途中ねずみの女の子ボニーが泣く場面がある。文章はこう——「あさつゆのように小さいなみだが、二つぶ、ボニーのひげをつたって、ながれおちました。ねずみはハンカチをもっていないので、ボニーはなみだをふくこともできませんでした」——このゴッデンの描写だけでも、巧みさや華というものが読み取れるのではないかと思っているのだが、ここに添えられた絵といったら!
女の子ねずみがしっぽの先を抱えて泣いているのである。その小さなカットのまわりには、たっぷりとした余白が設けられている。他にも胸衝かれる絵、胸弾ませられる絵がふんだんに添えられている。本というものは、作り手の熱意やセンスひとつで、こうも素敵に読み手のところへ届けられるのかという見本だ。