紙の本
モンティニーの狼男爵
2002/05/30 22:30
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:hiro - この投稿者のレビュー一覧を見る
フランス革命前後のフランスの片田舎を舞台とした、一風変わった恋愛小説。小さな領地を相続し、何の野心も夢もなく、それでも特に不満があるでもない。そんなさえない男爵が、政略結婚で妻にしたのが、これまたパッとしない平凡な娘。しかし一目で娘に恋をしてしまった彼の人生には、“同じように愛されたい”という大きな目標が。そんな素朴とも言える恋愛物語に狼男伝説が絡み、さらにはフランス革命という史実のスパイスが加わる。
佐藤亜紀という博識な作者の、ユニークな想像力に感嘆してしまう。
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フランス革命前夜、パリからはなれた田舎町モンティニー。ひとりの男爵が、妻を寝とられ、狼に変身する。他の作品とは違って、ストーリー自体が読みやすくて入りやすいため、素直に「おもしれーなー」と思いながら読み進められました。なんていうか、小気味いい小説だ。それでいて可愛い。ラウールからドニーズへの愛がもう最高に一途で良かったです。
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ラウール・ド・モンティニー男爵は、狼狩りの達人でした。その男爵が、ひょんなことから奥方を迎えることになりました。尼僧院で育った優しい娘。そして、その娘に会ったとき、男爵は彼女を自分の魂のように愛しはじめたのです。世にも珍しい、もっとも地味なカップルを扱った、フランスを舞台にした、正しく洗練された恋愛小説。
普通のに不倫モノかと思ったら、ビックリなファンタジー展開でした!
登場人物が実に地味に姑息で人間臭い。
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『モンティニーの狼男爵』は、書籍で読んだんだけど、ラストがなんだか微笑ましくって大好きな話です。
今回文庫が増刷したそうなので、読んでない人はぜひ一読を!という願いを込めてエントリー。
私も文庫ほしいなぁ。
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ブクログで知った本。
革命前のフランスの田舎風景や男爵を取り巻く農民や使用人の心情がすごくうまく描写してあって、
そこがこの本の隠れた魅力だと思います。
男爵が狼になるくだりは、それまでの鬱屈した主人公の精神描写から一転して、
すがすがしい気持ちになります。
それでも☆3つと点が辛いのは、
こう、ラーメンでゆうなら「がつん」と癖のある盛り上がりがひとつほしかったからかな。
でもこういうロマンス本が好きって女の人が多いのはわかる気がします。
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佐藤亜紀氏の作品の中ではかなり読みやすいものだと思います。
内容もコメディを狙った節がありさくっと読めてしまいました。
「純愛なんだけど笑える」そんな微妙なバランスが描かれています。
たまには、こんな内容の佐藤亜紀作品も悪くないですね。
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決して美男美女ではないカップルの、可愛らしくて不器用なお話。
みんな狼がラウールだと、すぐ気づいてしまいのが可笑しくて素敵です。
時間をおいて、何度でも読みたいストーリー。
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結構前に読んだのにレビュー書くの忘れてた。。
佐藤亜紀はとっつきにくいけど、そのとっつきにくさが好き。
「バルタザールの遍歴」も夢に出てくるほどよかったけど、これも佐藤亜紀らしくてよかった。
純愛ってらしくないって思ったんだけど(笑)
確かに佐藤亜紀だった。
なんというか切ないんだけど、童話みたいでもある。
あ〜読了後すぐに感想書けばもっと気の効いたことが書けた、かも、しれないのに…
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佐藤亜紀2冊目。
『バルタザールの遍歴』と趣を異にするけど、これも間違いなく傑作。
主人公の男爵は、愛する妻への猜疑心と自分への不甲斐なさから、あるとき狼に変身する能力を手に入れてしまう。
かといって、そのまま恋敵を食い殺すわけでも妻に復讐するわけでもなく、ただ狼の姿のまま野山を走り回って憂さを晴らすだけ。
ところがある日、恋敵の策にまんまと嵌って捕えられてしまい・・・
これは極上のファンタジーであり恋愛小説です。
まるで海外作品を和訳したような文体が雰囲気を盛り上げる。
本を読むというのは、物語を追うだけじゃなくて文章を楽しみ表現に酔うものだと教えてくれる。
ここまでくると「小説」じゃなくて「文学」だ。
本に向き合いたい時にもってこいの一冊。
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1回目はわからなかったけど2回目からは笑いが止まりません。個人的には求婚の場面は、つい思い出し笑いしてしまう。
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翻訳物を読むような雰囲気。
Ⅰ モンティニーの男爵が奥方を迎えたこと
Ⅱ 男爵が奥方の裏切りを予感すること
Ⅲ <狐>が奥方の愛を得たこと
Ⅳ <狼>がモンティニーを追放されたこと
Ⅴ 大団円。または、良い人は幸せに、悪い人は不幸せに終わったこと。
貴族はつらいよ、みたいな。
語り手はラウール・ド・モンティニー。
マイイという湯治場の近くにある村と、同じ名前の男爵。
18世紀フランスの話で、革命前…なかなか、いい雰囲気です。
放蕩者の父はパリへ出奔、田舎に残された母が内気な息子を守り育てていたが、10歳の頃に母もなくなってしまう。
一人で百科全書を読み上げたりして成長していく。
森の奥深くまで入って遊び、密猟者と友達つきあいをしたり。
狩猟だけはかなり得意だった。
父の弟である叔父は神父だが、オシャレで、かなり放蕩者。
1977年、至急の呼び出しでパリに行くと、縁談が整えられていた。
ドニーズは美人というほどではないが、15万リーブルの年金という大変な持参金があった。
彼女の婚約が破談になったために、急遽ラウールに花婿役が回ってきたのだったが。
ドニーズをかなり好きになったラウールだが、ドニーズのほうは礼儀正しく優しいが愛情というほどのものは見せない事に次第に気づかされる。
逆上したドニーズに「あなたの子供なんか欲しくない」とまで言われる始末…これには、ラウール自身も気づいていなかった、ある理由もあったのだが?
小綺麗別荘に住むブリザック夫人という中年の魅力的な女性に出会い、父や叔父とも関係があったのではと感じるラウール。
ブリザック夫人の愛人らしき美青年ギヨーム・ルナルダンに、ドニーズが恋してしまうのだ…
章タイトルどおり、後味のいい結末。
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佐藤亜紀の本は「バルタザールの遍歴」以来、久しぶりになった。
相変わらずの硬質な文章はまるで洋書を読んでいるようで、それでいてファンタジーしてるところがうまい具合にバランスが取れているなあと感じる。
シャイな田舎貴族の恋愛小説だが、後半の主人公の変貌にはびっくりした。なんか正直なタイトルだな、と。
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この本を評価できるだけの知識と経験を私は持ちません・・・。
きっとこういう本が何度も読みかえしたくなる本なのですね、登場人物たちは当たり前にそこにいて、生活があってドラマはあったような気もするし「特になし」と記してもよさそうな気がする。
田舎の男爵様は気が小さくて気難しくて器用でなくて優しいひと。狼ならば腹もたちません。かわいいね、男爵様。
日本人が描いたフランス文学というのでしょうか、翻訳本を読んでいるのとは全く違う言葉の吸収しやすさと遊び心と高尚さにうっとりしました。
しかし人に薦めるのは難しいなあ、面白いんだけどなあ。ここが!とハッキリ言えない。その穏やかな幻想性がいいの。夢みたい。
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狼になってからが最高に面白い!
それまでが、まあいつもだいたいそうなんだけれど若干長いかな。
それでも最後はやっぱり満足できる。
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おとぎ話としては落ちまでが長く、スジがしつこい。
ことばや文調は素晴らしいのに、自分としては物足りなかった。