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紙の本
生の言葉によって語られる未知の文化と習慣
2001/11/22 11:19
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:青木みや - この投稿者のレビュー一覧を見る
女性器切除(FGM:female genital mutilation)という習慣がある地域がある。文字通り、女性性器をカミソリなどで切除する伝統的慣習であり、アフリカ・一部の中近東・アジアの風習で、アフリカでは年間200万人以上の少女達に施されているようだ。FGMは不衛生な環境で医学的知識なく行われることが多いため、大量出血や破傷風で死亡する例もある。FGMは、女性の純潔と貞節を守るためだという男性優位主義的な考えに基づいているという。
西アフリカのトーゴ共和国に生まれ育ったファウジーヤ・カシンジャは、「良きイスラムの娘」である。父のマハメッド・カシンジャは裕福な権力者であり、1人の妻と7人の子供がいる。ファウジーヤは6番目の子供だ。彼は部族の理不尽な慣習に縛られることは無かったため、性差なく子供に教育を受けさせ、娘達は「カキア」と呼ばれるFGMを受けずに済んでいた。だが、彼の死後に実権を握った伯父と伯母はファウジーヤを倍以上年の離れた男性の4番目の妻になるように取り決めた。結婚前に「カキア」を施して、だ。17歳の娘ファウジーヤに選ぶ権利はない。
ファウジーヤはFGMと一夫多妻制から逃れるために母と姉の力を借りて国外へ脱出する。そしてアメリカへ不法入国したファウジーヤに与えられたものは、囚人IDの刻まれたブレスレットと、人間としての尊厳の剥奪された監獄生活だった。ファウジーヤは亡命申請のために弁護士を探し、FGM問題に関心を寄せるレイリ・ミラー・バッシャーに出会う。
ファウジーヤの生の言葉によって語られる未知の文化と習慣は、私たちの常識に衝撃を与える。そして迫害を逃れるために庇護を求めてやって来たアメリカでの苦難の日々を知り、「不法入国者」の存在を考える。
文化や制度は地域や国によって異なる。ひとつの場所に留まっていたら知らずにいることを、ファウジーヤは短期間に体験する。アフリカとアメリカ。その狭間に置かれたファウジーヤの叫びは、圧倒的な事実の重みに支えられて、読むものに迫ってくる。その痛みや屈辱をまざまざと想像してしまう。痛いってば。
それでも読むのは、やっぱり未知の文化を何も知らないままものを言えないと思うからだ。FGMは女性にとっては理不尽な処置だと思うが、本書にある「常識というものは、“文化の中で決定づけられるものであり、それゆえ万国共通ではない”」という言葉にもやはり肯いてしまうのだ。
『ファウジーヤの叫び〔下〕』
紙の本
民族・文化・自分
2002/01/24 18:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:MITU - この投稿者のレビュー一覧を見る
閉鎖的な村、小さな民族同士が生活するトーゴの小さな村で、比較的裕福な生活をしていた主人公。女性器切除という習慣から離れた生活は、その習慣を拒んでいた父親の死で一変し、強制的な結婚、女性器切除の強要、と加速的にファウジーヤ自身に降りかかってくる。文化として閉鎖的に行われていたこの行為を広く一般に知らせることになった、ノンフィクション。