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紙の本
知られるということ
2002/07/22 17:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:奥原 朝之 - この投稿者のレビュー一覧を見る
サトラレは,正式には『乖離性伝播障害』と作中で定義されている。わかりやすく言うと自分の思ったことが他人に知られてしまうと言うことである。
他人の思っていること知ることが出来たらいいなと思ったことがある人は数多くいると思う。例えば自分が好意を寄せている相手が自分にも好意を寄せているのか、商談相手が本当にこちらの商品を買ってくれるのか等々。そういうのを逆手に取った話である。このような観点は盲点であったに違いない。コロンブスの卵である。
サトラレは例外なくノーベル賞級の頭脳を持っている。そのために国を挙げての保護政策が採られている。本人に知られてはならないからである。
過去に自分がサトラレであることを知った者がいた。本人はそれを苦痛に思い、無人島で生活することを選択する。しかし人恋しさは薄れるどころか増す一方である。そのジレンマと闘うサトラレの姿は印象深かった。
これは『もし他人の意識を垣間見ることが出来たら』という、おとぎ話と言えるかも。
紙の本
アイディアもディテールも綿密に練られたエンターティメント毎回最終回のつもりで描いてますって?カッコイイなあ
2002/08/20 13:57
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:じゃりン子@チエ - この投稿者のレビュー一覧を見る
サトラレとは…
口に出さずとも自分の考えが周囲に「悟られ」てしまう不思議な能力の持ち主のこと。
常人とはかけ離れた強い意志が外に漏れだしてしまうと言う彼等は、例外なく天才である。彼等の能力を人類共有の財産と認めた政府は、人に思念が伝わってしまうという自殺をも引き起こすストレスから彼等を守るため、特別委員会を設置した…。
超能力と聞いて思い出すのは藤子不二雄「エスパー魔美」と筒井康隆の「七瀬シリーズ」のみ、の私の感想だが、超能力者が無自覚に守られている話は珍しいのでは。現代社会を舞台にすると、超能力者ってはずれモノで能力を隠してこそこそしているしかなくて、人助けしても遠くで見守っているだけとか。悲惨な人たちだったのに。
「サトラレ」では、彼等は守られる立場だ。彼等は自分がサトラレであることを知らない。周りの皆が必死になってその秘密を守っているから、サトラレたちは日常生活を送っていけるのだ。物語を支えるのは、サトラレの周囲の人々の魅力である。特に、臨床医志望の青年サトラレ里見をフォローする東先生と、自身がサトラレであることを知ってしまい、無人島で生活している白木。マンガは大人がきちんと描かれることの少ないジャンルだが、この二人の造形はとても説得力のあるものになっている。それゆえ、里見を見守る東の対応は頼もしいし、白木の、孤独を一人で抱え込んでいるのにも関わらず、他者に対する愛情を忘れない繊細な態度はもの悲しい。
時に、かなり情緒的な話を展開しているのにも関わらず、白っぽい画面と時折挟まれる軽い笑いが淡々とした印象を与え、物語を抑制する。おかげであまりに人格的な登場人物がわざとらしくならず、静かな感動を与えてくれるのだ。
感情的な話が長くなったが、アイディアもいい。想像してみて欲しい。
「もし、サトラレが恋をしたら?」
「臨床医になりたがったら?」
「棋士になりたがったら?」
感情が筒抜けなのに。作者はこのアイディアを全てきちんとまとめ上げて、こちらへカタルシスを与えてくれる。「毎回最終回のつもりで描いてます」という言葉にものすごく説得力がある。エンターティメントの名に恥じない作品だ。
最近はサトラレが与える社会への影響と、人々がサトラレに向ける悪意にまで踏み込んで話を展開している。彼等の存在が徐々に脅かされてゆくのだが…。
ますます楽しみ。早く続きが読みたい。
余談だけど、ドラマのオダギリジョーは可愛いですね。