「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
- カテゴリ:一般
- 発行年月:2002.6
- 出版社: 栄光出版社
- サイズ:20cm/530p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-7541-0045-X
紙の本
二宮金次郎の一生
著者 三戸岡 道夫 (著)
農民から幕臣となり、藩の改革に努め、600の村を救い、数万人を飢饉から守った二宮金次郎。強靱な精神力と清貧で、慈悲の心を持つ偉大な日本人の生涯に迫る。【「TRC MARC...
二宮金次郎の一生
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
農民から幕臣となり、藩の改革に努め、600の村を救い、数万人を飢饉から守った二宮金次郎。強靱な精神力と清貧で、慈悲の心を持つ偉大な日本人の生涯に迫る。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
三戸岡 道夫
- 略歴
- 〈三戸岡道夫〉1928年浜松市生まれ。東京大学法学部卒業。協和銀行副頭取を経て退職後、作家活動に入る。著書に「降格を命ず」「支店長の妻たち」「社長の椅子」など。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
金次郎の思想や業績がよくわかる
2002/06/24 04:46
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:よっしー - この投稿者のレビュー一覧を見る
薪を背負って本を読む二宮金次郎の像はかつて、どこの小学校で見かけたものだが、最近ではその姿をあまりみない。学習塾のカバンを背負って、ゲームをピコピコやりながら歩く子どもの姿が珍しくない現代では、その遠大な思想や業績は受け入れられなくなってしまったのだろうか。
「勤労・分度・推譲」を教えとした金次郎の思想は古臭いようだが、現代に通じるところはあるのである。以下は本書のある部分を(小田原)藩→国・自治体、領民・農民→国民、年貢→税金、武士→与党、と置き変えてみたものである。
「国や自治体が分度(収入と支出からみた予算の限度)を決めるということは、国民の方から言えば、課税措置への配慮、もっとはっきり言えば『一定期間の減税』なのである。復興事業をやっている間は、その復興事業の成果である余剰分には税をかけないということである。その余剰が国民に復興事業への励みとなり、また復興事業に必要な資力を生み出すのである。そのため、金次郎は各村の復興事業に手を貸しながら忍耐強く、分度の交渉を国や自治体に対しておこなっているのだが、これがなかなか決定しないのだった。
金次郎が切歯扼腕しても国や自治体の分度が決まらないのは優柔不断であるとか、金次郎の事業方法が理解されないと言うのではなくて、根本的な考え方の対立があるからだった。
つきつめて言えば税についての考え方の相違である。税金は取る方と、納めるほうとでは、考え方が逆になる。国や自治体は当然税金を取る立場から考えており、金次郎は税金を納めるほうの立場にたっている。
金次郎が要求する分度を設定すると国民にとっては減税となるが、国にとっては減収になるわけである。国民は豊かになれるのに国や自治体は貧しさを強制されるということになる。こんな分度を与党が承知するわけがないのである。」
いささか、強引かもしれないがなかなか面白い。金次郎の辣腕は農村指導、道徳思想にとどまらず、幕末の政治や経済の分野にまで及んだ事がわかるだろう。
最近になり、各地で金次郎像の再建が少しずつ行われているという。行き詰まった感のある日本の政治・経済に今一度、金次郎のようなリーダーを期待することの現われかもしれない。