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商品説明
緻密でスリリングな筆跡鑑定、周到で興味深い作品論、思いがけないバッハの素顔。バッハ研究の最前線で世界的な成果をあげてきた著者の最新のバッハ研究の精華。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
小林 義武
- 略歴
- 〈小林義武〉1942年北海道生まれ。東京大学文学部美学科卒業。ゲッティンゲンのヨハン・ゼバスティアン・バッハ研究所勤務等を経て、現在、成城大学文芸学部芸術学科教授。著書に「バッハ」他。
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紙の本
「お見事!」の一語に尽きるバッハ研究書
2002/07/01 22:15
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投稿者:中山康樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る
心底クラシック・ファンがうらやましくなった。残念ながら、ぼくが生息しているジャズやロックの世界には、こういう世界的かつ刺激的な研究書は一冊もない(「当然だろう、ジャズとロックなんだから」とクラシック・ファンの声が聞こえる)。
まるで一編の、しかもかなり長いミステリーを読むようなスリルと「ワクワクドキドキ」を覚えながらいっきに読了した。いっきに読了するのはちょっともったいない気もしたが、途中でページを閉じるのはもっともったいないような気持ちだった。長い。力作だ。基本的な(活字の)組みは上下2段。索引まで含めて416ページ。3800円。これを「高い」と思った人にこそ読んでほしい。
第1章「バッハとともに過ごした四半世紀」にある「バッハ研究の日々」から、もうワクワクドキドキだ。やがて「ここまでわかったバッハの素顔」とつづき、バッハが持っていた楽器や好きだった楽器が紹介される。絵画との関係まで詳述される。次に登場するのが、本書でもっともミステリアスなパートともいうべき「バッハが書いた楽譜の秘密」。この章では、バッハが残した筆跡を巡ってイマジネーションあふれる分析が試みられる。いわば筆跡鑑定だが、このスリリングな展開は、読者をシャーロック・ホームズの気分にさせる。たとえば……
「バロック時代にはすでに鉛筆が存在していたとは言え、バッハがこの筆記用具を使ったことはほとんどなかった。それは鉛筆が音符の記入に適していなかったからに違いなく、その使用は特別なケースに限られていた。たとえばパート譜の中で……」
さらに作品解剖も興味深い。《ブランデンブルク協奏曲》がいかに成立したか。カンタータの再発見と受容。無理だと思うが、ゆっくりと時間をかけて読んでほしい。 (bk1ブックナビゲーター:中山康樹/音楽評論家 2002.07.02)