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商品説明
楠で彫られ、彩色された等身大の人間像を生み出し続ける彫刻家、舟越桂。新奇を衒うことなく、どこか無国籍的な作品を創出し続ける彼の作品を大判のカラー写真で紹介し、須賀敦子等の解説を付す。95年京都書院刊の新装復刊。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
舟越 桂
- 略歴
- 〈舟越桂〉1951年岩手県生まれ。東京芸術大学大学院美術研究科彫刻専攻修了。東京造形大学、東京芸術大学などで教鞭を執る。著書に「森へ行く日」などがある。
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紙の本
出逢い
2020/08/06 16:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:やっこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
須賀敦子さんが、文章を書かれていて、その素晴らしさに心が静まります。
また、冬の本というタイトルの人(彫刻)を見たとき、なんだか懐かしい人だと思いました。
以前に出逢ったことがあるような感じがしました。
舟越桂さんの作品を実際に見てみたくなりました。
紙の本
見る者を立ちどまらせずにはおかない舟越桂氏の木彫作品。新鮮な気持ちで彫刻を再発見できる
2002/07/08 18:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:牛尾篤 - この投稿者のレビュー一覧を見る
人の姿、肖像彫刻、人類の歴史が始まって以来、それらはおびただしい数が作られてきた。人々は具象的な人物彫刻を見あきているにもかかわらず、多くの人は舟越氏の彫刻の前に立ちどまる。まるで人物彫刻を見るのは初めてだ、と言わんばかりの面持ちで。
私は今まで、立体作品を四つのジャンルに分けて見てきた。ギリシャ、鎌倉彫刻などの古典作品。現代の具象彫刻。現代の抽象彫刻、そして人形である。阿修羅像などは大好きな木彫の一つではあるが、見るたび彼らの時代と現在の私のいる時代の隔たりの大きさを感じずにはいられない。抽象彫刻は直観的にすぐれていると思える作品に出会っても、観念と言語で武装されているのを見るにつけ、反発を感じてどうしても好きになれなかった。現代の具象彫刻は、マイヨールとボテロが好きだという以外、日本中にある政治家や公募展の裸婦像の退屈さにうんざりし、ついでにブロンズという素材まで嫌いになって私の彫刻離れの一因となった。私の興味の対象はジュサブロー作品や、ヨーロッパの美術館で見たベルメールに移っていった。
からくり人形がよほど面白いと思ってた十数年前、突然私の意識を彫刻にひき戻す作品が目の前に現れたのである。ある美術雑誌が舟越氏の作品を特集していた。その半身像の木彫は、目に大理石がはめられ全体にあわい彩色がほどこされ、モデルになった人物の性格までこちらに伝わってくる不思議なリアリティを持った肖像だった。それらは鎌倉期の木彫や、ギリシャ彫刻の静けさと緊張感を感じさせもしていた。
最も私がうれしく思ったのは、あきらかにそれらの作品は私と同じ時代を共有する人間が作った、まぎれもない現代彫刻であることだった。そして氏の手によって今も彫刻は作られている。これからも新刊の小説を待望するような気持ちで、多くの人は氏の彫刻を待ちつづけるだろう。 (bk1ブックナビゲーター:牛尾篤/画家・イラストレーター 2002.07.09)