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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2002.6
- 出版社: 講談社
- サイズ:20cm/214p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-06-209003-1
紙の本
現代思想の遭難者たち
著者 いしい ひさいち (著)
「現代思想の冒険者たち」に登場の思想家34人を、いしいひさいちが4コマ漫画で傑作パロディ化。96〜99年刊「現代思想の冒険者たち」の月報に掲載されたものに、書き下ろしを多...
現代思想の遭難者たち
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商品説明
「現代思想の冒険者たち」に登場の思想家34人を、いしいひさいちが4コマ漫画で傑作パロディ化。96〜99年刊「現代思想の冒険者たち」の月報に掲載されたものに、書き下ろしを多数加えて単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
いしい ひさいち
- 略歴
- 〈いしいひさいち〉1951年岡山県生まれ。関西大学社会学部卒業。漫画家。著書に「となりのやまだ君」「いしいひさいちの問題外論」「忍者無芸帖」「鏡の国の戦争」ほか。
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紙の本
すいません、わかりません。いしい画伯も「わからず描いている」とありますが、本当ですか?
2002/06/22 00:20
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pochi - この投稿者のレビュー一覧を見る
フロイトやマルクス、ウィットゲンシュタインあたりはまだ「聞いたことあるな」ですが、ロールズ、ベンヤミン、アレントなどなどほっとんど知らない人ばかりです。現代の「哲学者」を34人取り上げて、その哲学を解説&マンガにしてあるのですが、後半は解説を読む根気がなくなりました。だって、わからないんだもん。4コママンガの方も、これまでのいしい画伯の単行本で「もっとも文字数の多い」ものになっているのではないでしょうか。マンガの方は、哲学の中身に踏み込まないところでは楽しむことができましたが、少し踏み込まれると、何が面白いのかわからなくなります。願わくば、続編が出ませんように。
紙の本
難解な哲学自体への批判、皮肉の技法がみごと
2003/07/06 15:54
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:萬寿生 - この投稿者のレビュー一覧を見る
哲学とは所詮虚構であり、砂上の楼閣である。どうでも良いことを殊更問題視して、仰々しく論理を組み立て、虚仮威しをしている。このように、皮肉り、嘲っているようにも見える。一方真摯に、何とか哲学を理解しよう、としているようにも見える。どちらにも見えるように描かれている漫画であること事態が、難解な哲学自体への批判、皮肉である。ここで取上げられている思想家の哲学の内容は解らなかったが、漫画の洒落や皮肉は何となく解り、ブラックユーモア的快感が得られた。作者は各思想家たちの哲学の内容は理解していないと、広告か帯かで言っていたようだが、語呂合わせ、意識的な意味の置き換えと曲解、場違いな場面への拡張と組み合わせ、等の技法はたいしたものである。
「仮説的な理論から演繹的に導出された予測と、それが反証されるかどうかのテスト、という方法こそ科学の中心的営み」がポパーに、「パラダイム」がクーンに、よるものだということを、初めて知った。これらのことを述べた、彼らの著作を読んでみたいと思った。
紙の本
神様、もう衝動買いはしません!……たぶん
2002/10/02 23:41
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:3307 - この投稿者のレビュー一覧を見る
クワイン氏の似顔絵が、北野武さんに似てると思いました。
……それだけか>自分
現代思想の遭難者たちは、パロディ漫画にしてもらい
おちょくられる幸運がありましたが、
その本書に遭難した私はどこに行けばいいのでしょうか。
しくしく。
(どこへでも勝手に行きさらせ>自分)
だってわからないんだも。しくしく。
読むのに三日かかった四コマ漫画も
それが本体価格1800円するのも
初めての経験でした。
まじめな話、衝動買いして、積読せずに読んで
これだけ打ちひしがれたのも、珍しい経験かと。
いや、知的体力のある方なら、
さくさく楽しめる本だと思います。
っていうか、馴染みの無い登場人物ばかりなのだも(涙)
帯には、たっぷり笑える哲学エッセイでおなじみの
土屋賢二氏のコメントが寄せられています。
(以下引用)-----------------------------
「現代思想をここまでオチョクってよいのか。
これは哲学に対する冒涜だ。哲学者の権威も
わたしの権威もこれでは台無しだ」。
----------------------------------------
……土屋さんのエッセイ読んで、体力つけてから
再挑戦したい一冊(血涙)
(だってわからないのだも。しくしく。エコー)
紙の本
現代思想が怖くなくなる本
2002/09/21 14:32
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:しょいかごねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
むむむ、いしいひさいち恐るべし。なんというか、マンガの持つ影響力と言うものをとりわけ強烈に感じた本だった。
暗記するときには絵のイメージを一緒に覚えると覚えやすいというけれど、まさにこの本を一冊読むことによって、普通の解説書を何度読んでもさっぱり区別のつかない近現代の思想家の名前が、なんと34人も、あっさりと頭の中にインプットされてしまう。マンガだから顔と同時に(デフォルメされた)キャラクタもインプットされる。思想家の思想と言うのは、その人の個性と不可分であることを思えば、結果として、名前、顔、キャラクタ、思想、という一連のイメージが(多少歪曲されているのかもしれないけれど)ずるずるっと頭に入ってしまうのである(顔とは他者である、なんて言わないでね→レヴィナス先生)。とりわけ個性のきつい登場人物はそうである。ウィトゲンシュタインとかデリダとか、今後名前を聞くたびに、この顔を思い出しちゃうんだろうな。
ということで、なんとこの本を一冊読めば、哲学的なことが正しく理解できるかどうかは別問題として、なにやら小難しそうな思想家の先生方に、近所のおっさん並みの親しみを感じることができます。哲学なんて知らなくても全然大丈夫。僕も全然わかってません。コツは、難しい説明は読み飛ばして、イメージだけを感じとる、それでマンガは十分楽しいです(いいのだろうかこんな書評で)。そうして現代思想が怖くなくなったところで、ちゃんと勉強したい人はちゃんとした(?)本を読めばいいのだと思います。
そして、お気に入りのキャラクタができたら、その人が表紙のどこにいるのか探してみましょう。読み終わってからじっくり眺めると、各人の個性がわかっているので楽しめます。ちなみに裏表紙がオチになっていて、この本の主題を象徴しています。
紙の本
いしいひさいち先生、次はぜひ「日本の思想家篇」を!
2002/07/15 01:51
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投稿者:aguni - この投稿者のレビュー一覧を見る
1800円もする四コマ漫画の本だけど、少しも惜しいとは思わない。それだけ手間(思考実験?)の過程を経て精製された本という印象がする。いや、あーた、何が可笑しいと言って、これだけの思想家の似顔絵だけでまずは笑えるというもの。
もともとは講談社のシリーズ、『現代思想の冒険者たち』の月報に描かれていた四コママンガだというから、その思想家のラインナップは検索結果を見てもらえればわかるだろう。いやしかし、一冊の本でも語ることのできない思想家たちを四コマで表現しちゃって良いものだろうか? ポパーなんてバーブ佐竹と一緒に登場させられちゃうんだから、油断ができないのである。
でもまあ、それが許せるぐらい、そして、よく考えたらとなりの山田くんやら地底人シリーズなんて極めて哲学的ではないかしらん? とまで思ってしまえるほど、この本は見事なお仕事なんである。おつかれさまでした。
この本は、思想をファッションになぞらえたときに、お気に入りの思想家を見つける格好のショーウィンドウであるとも言えるかもしれない。ちなみに私のお気に入りはラカンなんであるが、いしいひさいち先生にもしお願いできるとすれば、このシリーズの日本篇も書いて欲しい。特に「ニューアカ篇」なんて、今なら結構、イケると思うけど…。
紙の本
笑いは権威を剥奪する。
2003/06/19 23:14
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投稿者:ソネアキラ - この投稿者のレビュー一覧を見る
かつて『エピステーメー』という雑誌があった。確か朝日出版社から出ていたのだが、内容、体裁ともにきわめてアカデミックなもので、『論考』とナイキのレザーコルテッツを天秤にかけて、ためらわずにナイキを選んでしまう(実話)劣等生のぼくは買わなかったが、周囲の哲学科の学生はこれみよがしに小脇に抱えていた。筒井康隆は『エピステーメー』の難解な内容を笑いのネタにしていた。日本語なんだけど意味不明瞭、わけがわからないけど、笑える。隣の席にいたヤツは、コーランのように崇め奉っていた。随分前になるが、ようやく彼が哲学科の助教授になったことを大学で図書館司書をしている友人からのメールで知った。
筒井のような試みを四コマ漫画に革命を起こした(by夏目房之介)いしいひさいちがしているのかとページをめくったら、驚いた。作者の持ち味である権威を徹底的にこきおろす底意地の悪いカリカチュアもさることながら、思想家たちのこなし方が、あっぱれなのだ。
ハイデガーなら当然ナチへの傾倒ぶりを揶揄するだろう思ったらしていた。でも、ここまで、あからさまだとは。ラッセルとウィトゲンシュタインは、まさに天才、天才を知るという例なのだが、ウィトゲンシュタインを大金持のボンボンの変人的扱いには、そりゃそうだなと苦笑してしまった。よーく見てみると、若かりしフーコーはマッシュルームカットなのだ。細けえ!現象学の始祖、現代思想の源流ともいうべきフッサールやカフカ、難解の権化ラカンも作者のペンにかかると、なぜか俗っぽくて、妙にいきいきと感じ取られるのだ。レヴィ=ストロースの交換原理の一例である「未開人の婚姻」を援助交際に落としてしまうあたりが冴えている。ま、援交も交換原理といえなくもないのだが。
ぼくがいちばんおかしかったのは、デリダがカラオケで十八番の「パローレ、パローレ」を歌うコマ。原曲名は『パローレ、パローレ』、ダリダが歌い、アラン・ドロンが語っていた。日本では『甘い囁き』という題名で、中村晃子と細川俊之でヒットした(ネタバレだと感じた人、ごめんなさい)。
本書は元々「『現代思想の冒険者たち』という全集の月報に掲載されていたものに大量の書きおろしを加えた」ものだそうだ。編集部の注も丁寧で適切で、漫画と注の合わせ技1本といった感じ。ふざけているけど、ふざけていない。ただし、情報量は多いので、いちどきには読まないほうがよいだろう。ゆるゆる読むと、思想家たちの理念や相関関係がうっすらながらもわかる。この知の系譜を知るだけでも、随分と違うはず。茶化してはいるが、ただそれだけではない。入門書としても、かなりできが良いと断言してもかまわないだろう。さすが「おもしろくてためになる」がキャッチフレーズだった講談社の本だ。
サルトルだったらボーヴォワールとの夫婦ドツキ漫才とか。マルクスだったらマルクス兄弟とボーイズものとか。バルトの答のない『ちょっと聞いてよ、生電話』、エーコだったら、中世の修道院を舞台にしたホラー漫画仕立てで、呪文は「エーコエーコアザラク」というのはどうだろ。どうもこんな月並みなネタしか思い浮かばない。
紙の本
これを読んで笑って安心しよう。現代思想は難しい。遭難してもいいんです、そうなんです。
2003/03/22 12:12
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:pipi姫 - この投稿者のレビュー一覧を見る
みなさまの書評を読ませていただくと、「わかりません」派と「おもしろい」派が相半ばしているようだが、わたしは「わからないけどおもしろい」派である。
だいたい、この漫画一冊読んで現代思想をわかろうなんて思うこと自体が畏れ多い。偉大な哲学者たちを冒涜する行為である(と書くハナから、哲学者のデフォルメ似顔絵が思い浮かんで一人笑ってしまう)。
ここに取り上げられた哲学者(作家も含む)は34人。そうそうたるメンバーだ。もともとのシリーズ「現代思想の冒険者たち」は、しごくまっとうな概説書である。そのまっとうな学術書の付録にこんなふざけた、もとい、楽しい漫画がついていて、こうやって一冊になっているのを見ると、やはりいしいひさいちはただならぬ才能ある漫画家であることがよくわかる。
いしいの持ち味は、ブラックな「くそみそパロディ力」にある。
例えば、フランスの偉大な哲学者ミシェル・フーコーは、こうだ。
(1)「人は頭髪におけるハゲをあってはならぬものとして まわりの毛髪でかくそうとします」(薄い頭部のアップが描かれる)
(2)「しかし毛は抜けてゆき広がるハゲを人々はあわれみの『まなざし』で監視し ハゲている人 そうでない人を分け ハゲを排斥しようとします」
(3)「しかしたとえば 全人類がホモセクシャルであったなら 異端としてのホモは消滅するはずだ」(真剣なまなざしのフーコーのドアップ)
(4)「スキンヘッドにすることで私の『ハゲ』は消滅し 権力からの自由な主体を形成できると考えたわけです」(スキンヘッドのフーコーが登場)。
「そりゃ気にしすぎだよ フーコーくん」(先輩学者の弁)。
うーん、このおもしろさを文字だけで表すなんてまったくナンセンスなんだけど、いしい画伯自身が「わからずに描いている」とおっしゃっているが、わからなくてもちゃんとエッセンスをつかんでいるところがすごい。
そして、漫画に添えられた解説を書いた編集者たちもえらい。ま、このあまりにも短い解説を読んでもさっぱりわからないという読者の方が多いと思うが(わたしもその一人)、それでもキーワードはなんとなくつかめるし、あとは本シリーズの方を読んで勉強すればいいのだ。
いしいひさいちは昔から似顔絵の異才だと思っていたが、今回も、その描かれた学者たちの顔を見ているだけで、誰がどんな思想を唱えたのか、なんとなく頭に浮かんでしまうからおかしい。
1800円は高くないです。哲学事典がわりに座右においてもいいでしょう(って、ほんまかいな)。
紙の本
思想即漫画
2002/06/28 12:44
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みゆの父 - この投稿者のレビュー一覧を見る
こんな本が出てしまっていいのだろうか。史上最強の現代思想解説書。漫画だからって甘く見たら、痛い目に会うだろうけれど、これ一冊あるだけで、何を言っているのかわからない原著を読む必要もないし、これまた何を言っているのか(あまり)わからない専門書を読む必要もないし、これまた何を言っているのか(やっぱり)わからない入門書を読む必要もない。あまたの現代思想家のベールを剥いだソーカル他『知の欺瞞』(岩波書店)に続いて、今度は、あまたの現代思想解説者のベールまで剥がす本が出てしまったわけだ。
考えてみれば、それも当然だろう(多分)。現代とは近代の後、つまりポストモダンだから、現代思想とは近代の後の出現した思考方法だ。その一方で、近代の後に出現した表現方法は、普通はサブ・カルチュアと呼ばれている。その代表が漫画だ。それは、近代を代表する表現方法である本(小説、評論、研究)の〈サブ〉、つまり下に位置づけられてきたけれど、ちょっと考えれば、ポストモダンの思考方法を表現する方法として、これほど適したものはない。つまり、現代思想と漫画は一心同体、表裏一体、絶妙の組み合わせなのだ(多分)。
しかも、現代最強、切れ味抜群、おまけに知識豊富な四コマ漫画家が書いたとあっては、これはもう文句なし。ヴィトゲンシュタインとハーバーマスの一コマ漫画(一五四頁)を見ただけで、二人の思想の違いをわからせてしまうなんて、他の誰ができる芸当だろうか。ついでに、「ポストモダンとかなんとか言っているが、似たような小さなスーパーマーケットが差異化を競っているだけではないのか。フン」(一二六頁)なんて、過激だけれど結構あたっている台詞をジンメルに言わせてしまうなんて、誰が考えつくだろうか。
一刻も早く文庫化して、書を捨てずに町に出られるようにしてほしいものだ。