紙の本
千の言葉
2004/01/13 01:23
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:妹之山商店街 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「千のため息、千の涙、千の反乱、千の希望」という本の帯の文字に
目が止まりました。
クルドの古詩だそうです。
そういえば、ノアの箱舟が着いたという伝説の山、アララト山は、
クルドの聖なる山だそうです。
イラン、イラク、トルコの3国にまたがって住むクルド民族について、
初めて知りました。その人口は2500万人から3000万人だそうです。
自分達の国を持たない最大の民族だそうです。
それぞれの国から迫害されてきました。百万とも二百万人とも言われる
くらい虐殺されてきました。その3国とアメリカにさんざん利用されてきました。
特にトルコでは、1000万人くらいも住んでいるのですが、トルコ政府は、
「トルコには、トルコ民族しかいない」と、クルド人の存在自体を認めません。
クルド語の使用すら認めていません。クルドに言及する政党は、ことごとく
非合法化されてきました。トルコ国内に5000あったクルドの村の内、
何と4500を燃やし尽くし、強制移住させました。
まるで、クルド民族そのものを、この世から抹殺しようとしているとしか
思えません。
こんなことが、21世紀現代で行われているんですね。
そんなトルコはNATO軍に加盟している訳です。
EU加盟申請もしてるんですが、さすがに、西洋諸国は、「トルコの人権問題」を
理由にトルコのEC加盟を認めていません。
確かにフセインは極悪人です。イラク人を数十万人も殺害してきています。
国内の批判勢力に対しても。秘密警察と密告制による恐怖政治。
更にクルド人を20万人も虐殺してきました。生物兵器すら使って。
イラン・イラク戦争ではイラン軍に対しても使用しました。
対イラン、対クルドに生物兵器を使用してもアメリカは、黙認してきたのです。
そもそも対イランという限りで、アメリカや湾岸諸国はイラクに対して、
軍事援助、経済援助をしてきたのです。
しかし空爆では、一般市民も数多く死傷者が出ています。
イラク兵といっても、給料の為に軍にいる人たちも多いでしょう。
その圧倒的な軍事力で、アフガニスタンとイラクで、そういう人々数万人を
殺戮するアメリカ。
アメリカこそが最大のテロ国家ではないのですか。
アメリカこそが最大のならず者国家ではないのですか。
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クルド人にとって20世紀は悲運。。。「千のため息、千の涙、千の反乱、千の希望」という本の帯(クルドの詩だそうです)が良いです。
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(2004.01.29読了)(2003.09.19購入)
クルド人という言葉を始めて聞いたのは、湾岸戦争のころ、1990年ごろのことだったのだろうか?
トルコ、イラク、イランの3カ国の国境沿いに住んでいる人々で、人口2500万人ぐらいという。独自の文化と言語を有するが国家がない。
トルコに1200万人、イランに600万人、イラクに350万人、シリアに100万人、ドイツに50万人、そのほか旧ソ連、西欧諸国等にもいるという。
クルド語は、ペルシャ語系で大きく分けると3つぐらいの方言があるというが、お互い通じないほどではないという。日本でも方言同士なら東北と九州ではほとんど会話が成り立たないのだからそれよりもっと近いといえるのではないだろうか!
クルド語も日本語同様独自の文字を持っていないということで、地域ごとに、ラテン文字(トルコ)、キリル文字、ペルシャ文字(イラン・イラク)、アラビア文字、等で表記されている。確立した統一言語と統一表記がないということが、クルド人としてのまとまりをとりにくくしている。文字化の要求は、20世紀に入ってからであろうから、そのときはすでに所属する国々が複数に分断されていたのだから、やむ得まい。
クルド人は、必ずしも独立国家を望んでいるわけではないようなので、トルコ・イラン・イラクの経済が安定する時が来れば、自治が認められ、クルド語の使用が許され、出版も出きるように成るとは思うが、その日が早く来ることを祈るしかない!?
●関連図書
「最近中東事情」丸山 徹、丸善ライブラリー、1994.04.20
(「BOOK」データベースより)amazon
祖国なき最大の民といわれるクルド人。居住地域はクルディスタンと呼ばれ、おもにトルコ、イラン、イラクにまたがり、面積はフランス一国にも匹敵する。さらにその人口は二五〇〇万人とも推定され、パレスチナ人約八〇〇万を大きくしのぐ。クルドの名は、古代シュメールにまで遡り、かのイスラムの英雄サラディンもクルド人であった。十九世紀末以降、自治、独立を求める戦いを激しく繰り返すが、常に居住国の中央政府、西欧列強、近隣諸国の利害に翻弄されつづけ、分断されてきた。九一年の湾岸戦争後、クルドはようやく日本でも報道されるようになるが、問題の大きさに比べて、その認識はまだまだ低い。本書は、パレスチナとならぶ中東地域における大きな火種のひとつ、クルド問題に光をあてるものである。
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アフリカの情勢とも似ていますよね。
資源があるがゆえに、先進諸国や欧米の利権で国境を引かれ、民族が分断されてしまったこと。
部族意識が強く、一つの「民族」や「国民」としてまとまることが困難なこと。
クルド人国家を作ろうというよりは、中央政府への反抗としての側面が強いこと。
各国の駆け引きのために、利用されること。
生きるためにはうまく立ち回らなければならない、と思いました。
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クルドの近現代史がまとまっている。抑圧と抵抗の歴史であり、部族や地域、思想の違いなどから中々まとまることのできないクルド人の戦いに暗澹とした気持ちになった。
闘い続ければ光明が見える日もくるのだろうか?
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【キーワード】中東、クルド人、歴史、トルコ
ただ単に歴史をつらつら並べて書いているので読んでてすごく疲れます。私のように忍耐力が無く、単調な文章を読むことに慣れてない人には辛いでしょう。
あとこれは仕方ないことですが、地名や人名がカタカナでいくつも出てくるので何がなんだか分らなくなってしまいました。でも学べる部分も多いです。クルドとトルコについて多くを知ることができました。
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「クルド人」を中心に据えた中東の通史です。クルド人問題は、中東問題を論じるのに避けて通ることが出来ませんが、クルド人の関与した事件にクルド人という表現をこれまで必ずしも使っていなかった気がします。それに加えて、トルコ、イラン、イラク、シリアの各国の利害関係、各政党間の内ゲバ的な闘争、そして欧米諸国の様々な思惑などが絡み合い、問題が複雑になっています。本書は、ジャーナリスティックな視点ながら、そんな絡み合った糸を解きほぐして、クルド問題の全体像を浮き彫りにしています。
新書という手軽なフォーマットとして、今までありそうでなかった企画だけに、クルド人問題を知りたい人には是非オススメの一冊です。
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世界で唯一国家をもたないクルド人の歴史と今も続く戦いについて詳しく書かれている。PKK(クルド労働党)所属の知人について知りたいと思い購入。第一次世界大戦の各国の無責任な土地争いにより国土を奪われ、虐殺され、イラク・イラン戦争でも兵隊として使われ、あげくのはてに言葉と教育を奪われトルコへの強制同化政策を強いられた人々。 今もまだ彼らの悲しい闘いは5国にまたがり解決は困難を極めている。
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[ 内容 ]
祖国なき最大の民といわれるクルド人。
居住地域はクルディスタンと呼ばれ、おもにトルコ、イラン、イラクにまたがり、面積はフランス一国にも匹敵する。
さらにその人口は二五〇〇万人とも推定され、パレスチナ人約八〇〇万を大きくしのぐ。
クルドの名は、古代シュメールにまで遡り、かのイスラムの英雄サラディンもクルド人であった。
十九世紀末以降、自治、独立を求める戦いを激しく繰り返すが、常に居住国の中央政府、西欧列強、近隣諸国の利害に翻弄されつづけ、分断されてきた。
九一年の湾岸戦争後、クルドはようやく日本でも報道されるようになるが、問題の大きさに比べて、その認識はまだまだ低い。
本書は、パレスチナとならぶ中東地域における大きな火種のひとつ、クルド問題に光をあてるものである。
[ 目次 ]
クルドの地を訪れて
トルコ、オジャランの武装闘争
イラクの「クルド地域政府」
クルド人とは
クルド前史
第一次大戦が終わって
新生トルコとパーレビ王朝
バルザニ兄弟の抵抗―イラク
幻のマハーバード共和国―イラン
ホメイニ革命とクルド―イラン
バルザニとタラバニの反目と抗争
イラ・イラ戦争はじまる
PKK、トルコ政府と対決
トルコでの弾圧
国際関係のはざまで
“祖国”建設への展望
[ 問題提起 ]
[ 結論 ]
[ コメント ]
[ 読了した日 ]
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祖国なき最大の民と言われるクルド人。なぜ祖国を持てなかったのか、その歴史と現在までが書いてある。多くはトルコ、シリア、イラン、イラクに跨って居住し、それぞれの国で少数派と呼ばれる存在というのは国際感覚に疎い私には想像すら難しい。宗教や宗派や民族や各国の思惑や大国の干渉や、ややこしすぎる。
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[隠された難題へ]日本のニュースではあまり取りあげられることがないクルド人問題。トルコ、イラク、イラン等にまたがるこの問題の複雑な歴史を丹念に追った作品です。著者は、朝日新聞社で中東アフリカ総局長を務めた経歴を持つ川上洋一。
中東についてあまり馴染みのない方にとっては正直理解が難しい(なにせ見慣れない人物名や略称がじゃんじゃん出てくる)のではないかとも思いますが、21世紀初頭までのクルドの歩みを考える上で大変参考になる作品でした。日本語での類書もあまり多くないため、クルド人問題を知りたい方への入門書としてオススメです。
多くの中東問題をクルドという視点から眺めるとどうなるかもわかり非常に興味深かったです。また、「クルド人」と一口に言ってもその運動は多様で、時の地域・国際情勢によって力関係が大きく影響を受けることも本書から大いに学べるかと。
〜クルド人は「祖国なき最大の民」と言われるが、もともとクルド民族解放運動は、クルド人の統一された祖国を建設しようというはっきりした狙いをもつ運動ではなかった。……運動は、住んでいる国の中央政府への反逆、抵抗の形をとってきた。掲げた目標は、それぞれの国内での自治、あるいは分離、連邦であり、独立ではなかった。〜
これは読んでおいて良かった☆5つ
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シリア内戦でアメリカにIS掃討の為に利用され、日本では近年勇敢な戦士のように紹介されたりもしたが、トルコではテロ(政府側の呼び方)を起こし戦いを続けるなど今も問題を孕みながら日本ではあまり表沙汰にならないクルド人問題。
タラバ二、バルザニ、オジャランなどの英雄達を詳細に紹介しながらも、諸外国に利用され裏切られたり、独立のチャンスも妥協点を見つけられず逃したり、内部対立で団結する事ができなかったりするクルド側の問題も客観的に記されており、今後報われない民族への同情を過度にせず深く調べる良いきっかけとなる本だった。とは言えやはり巻き添えを食らう一般市民クルド人にはやはり同情は大いにある。一先ず蕨市のクルド人お祭りに行ってみよう、、
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クルド側のまとまらなさや頑固さにイラっとさせられるが、大国の思惑にも腹が立つ。なんとかならないものだろうか。最終章の要因のまとめがわかりやすかった。
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トルコ、イラン、イラク、シリアを中心に各国における内部的クルド人勢力との争いや、外部勢力の支援の様子など、クルド人を中心とする中東の歴史が分かりやすく語られている。
最後のまとめがわかりやすい。
他の中東の本とも混ぜ合わせながらもう一度時系列を整理していきたい。
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中東問題で広範囲にからむクルド人について、特におおむね20世紀までの期間における、彼らの複雑な政治活動の様相をまとめた本。もともと閉鎖性の強い部族制の中で生きてきたこと、近代に分画された国家によって分断されていることが、問題を複雑化していたことが理解できた。出版から約20年経過したので、さすがに現状を反映はしていないが、問題の発端を知るには手軽な一冊だと思う。