紙の本
多彩な人生の営み
2020/03/02 20:51
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投稿者:弥生丸 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ささやかな人生の営みが凝縮された短篇集。怪奇、人情、恋愛、虚栄、恐怖、憎悪、悔恨。充実した読後感を得られる。
『二人の友』『ソヴァージュばあさん』は普仏戦争に題材をとった悲劇。生者から死者へと瞬時に転じる人生の儚さ。情愛が忽ち憎悪に変貌する戦争の残酷。孤独な老女の凄惨な復讐を描いた『ソヴァージュばあさん』は特に衝撃だった。
『シモンのパパ』はほんのり温かな情愛物語。鍛冶屋フィリップのおおらかな優しさが印象に残る。こういうさりげない大団円も好きだ。それにしても、この時代における未婚の母への風当たりが痛々しい。
報われない片恋を綴った『椅子直しの女』、虚栄心が思わぬ陥弄を招く『首飾り』なども心に残る。互いをよく知らないからこそ美しい恋の物語『旅路』も、人間の微妙な心の綾を表していて印象深い。
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短編集を甘く見るな。フランス文学を代表する1人。おすすめは「椅子直しの女」。失われてしまった、愛するピュアな気持ち。これでよみがえるかも。
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モーパッサンって誰だっけ?と書店で気になり買ってしまったこの本。
代表作『脂肪の塊』?知らん・・。
国語便覧を見ると『女の一生』というのが載ってたので、これでどこか記憶に残っていたのかも。
最初の「水の上」の情景描写が続くところで少し足踏みしたけど、それぞれ独特の世界観があり、堪能できた。明治の文豪夏目漱石もこのモーパッサンの作品を読んでいたというくらい昔の作家なのに、全然色あせているところがないのがすごい。これは新訳によるところも大きいのかもしれないけど・・。
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モーパッサンには、幻覚と、貧しい人々・女性の悲哀を描いた作品が多いです。この短編集の中では『椅子直しの女』が好き。もうものすごく情け容赦のないひどい話でしか、純愛は描けないってこと。
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人間ってどの時代でもどの国でもかわんない。
やりきれなくなる話が多いので元気な時に読むべきである。
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2010.8.9
短編もいいなって思わせてくれる作品。
印象に残ったのは、田園の話と雪山の話かな。
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解説のとおり、人生の断面を鋭い切り口で切り取った短編集。軽く読めるけど中身は充実している。当時の社会情勢も忍ばれる作品が多い。
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一番最初の 「水の上」、だけを読むと
なんだかホラー染みたオチでうわぁ、と思うのですが
どちらかといえばこの短編集は、戦争の忌まわしい記憶が
ストーリーの下地になっていることが多いと思うんですよね。
そんな中、シモンのパパという、子供が読んでも
心温まるストーリーが入っているのがなんとも素敵だなあと。
ただ、やはり根底には戦争によるトラウマのようなものが
この作品を存在させるための原動力になっているのかも
しれません。
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「モーパッサンいいね」と友人に言ったところ、「モーパッサンの醍醐味は短篇にあるんだよ」、なんて言われてしまったので、読むことにしました。
大した読書量もないので、他の短篇小説と比較するなどということはできませんが、普通に面白かったです。自然について語るときも人間について語るときも、とくに独創的ではないのですが、その切り口があまりにも的確に感じられ、「そうだなー」と納得してしまいます。華麗と言ったらいいのでしょうかね…
一つ一つの話が短く完結しているので、ちょっとした空き時間に読むことができます。ぜひとも今度原語に挑戦してみようかな…
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モーパッサンといえば【脂肪の塊】しか読んでいなかった。
かなり皮肉の効いた、とても現代的な視点を持っている作家だなァ~という記憶が残っている。
短編の名手ということを初めて知った。300以上の短編を書き残したとのこと。
作家活動は10年と短く、最後は精神に異常をきたしたらしい。
いろいろな作家の短編集を読んだが、この作家のはどれも印象に強く残る。
短編集というと、大部分の物語が忘れ去られるものなのだが、なぜなんだろう?
人間への洞察力が鋭いからだろうか?
プロットが上手く出来ているからだろうか?
ぼくは、やはり人間への愛が強いからだと思う。
愛というのが曖昧なら、人間への慈しみと言い換えたほうがいいかも。
O・ヘンリーも短編の名手として知られているが、彼も人間への愛がベースにあると思う。
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短篇集なので読みやすいかと思い手に取ったが
あっさり軽く読めるという類のものではなかった。
けして重々しくはないものの、切なく苦しく
透明感のある物語ばかりで
当時の社会情勢なども鑑みると色々と思うところのある話ばかり。
興味深く読み終えた。
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行き詰ると読む一冊。難しくなく、でも道徳的でなく、とても人間くさいストーリー。昨今の小説は複雑だったり難しかったりするけれど、シンプルで面白いものは力強いなと思う。
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「女の一生」書いたひとって習ってその雰囲気からどんだけ暗いんだろうと思ってたけど,この本では意外にそうでもなかった。
暗いけど救いようのない暗さとはまた違う感じ。リアリズム,っていうのかな。暗くないものもあったし。
『シモンのパパ』はああよかったなって思えるお話。
短編ひとつひとつも短いから結構さらりと読める。
でも重く読もうと思えば読めるものもある。人間の性質とかについて考えさせられたり。
バリエーション豊富。で,文章も上手だったと思う。
『首飾り』はラジオの英語講座できいたことあったのを読んでる途中に思い出してちょっとショック。
個人的には結構おすすめ。
モオパッサンは短編300とか書いてるらしくて,もっと読みたいと思った。
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重くないという噂だったけど、いざ読んでみるとサラリとした文章一つ一つが鈍器のような破壊力を持って僕の心を揺さぶる。一気に読み切ることができない、良質な短編たち
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贅肉をこれでもかというほど削ぎ落とした短編集。新聞のベタ記事を読んでいるのと似た感覚。何も考えずに読み流すこともできるし、いつまでもストーリーを反芻することもできる。