「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
葉子が亡くなってからというもの、僕はいつもデパートの屋上で空を見つめていた−。愛する人が死を前にしたとき、いったい何ができるのだろう? 喪失の悲しみと優しさの限りない力を描く。吉川英治文学新人賞受賞後第一作。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
大崎 善生
- 略歴
- 〈大崎善生〉1957年札幌市生まれ。「聖の青春」で新潮学芸賞、将棋ペンクラブ大賞受賞。「将棋の子」で講談社ノンフィクション賞受賞。「パイロットフィッシュ」で吉川英治文学新人賞受賞。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
悪くはないけど好きではない・・・みたいな作家。
2018/07/14 16:02
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ROVA - この投稿者のレビュー一覧を見る
『パイロットフィッシュ』を読んだ時にそんなことを思ったのですが、まあ本作もそんな感じ。
ただ前作で「この作家のこの表現方法苦手だなあ」と思っていたことは
今作ではもう慣れてしまっていたのでその点気にせず読めました。
お陰で(?)前作よりは幾分楽しめました。
全体的に女性描写が希薄(作り物感が凄い女性陣)ですし
主人公はやっぱり自分本位でワガママですが
ニースの人々の優しさにはついうっかりグッときてしまいました。
あと一番面白かったのがエロ雑誌業界のアレコレ。もうこっちメインで良いよ。
映画化されているそうで、是非観てみたいですね。(隆ちゃんが阿部寛!)
紙の本
小説でこんなに泣いたのは初めて
2003/05/10 02:45
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:みかよ - この投稿者のレビュー一覧を見る
前作「パイロットフィッシュ」が気に入ったので、何の予備知識もなく
読んでみました。…ヤラれてしまいました。もう、ボロボロです。
もともと浅田次郎とか、「泣いてください」って本は好きでしたが、
最近は少々食傷気味で、素直には反応できなくなっていたはずなのに…。
ラストの100ページには、何箇所も涙が止まらなくなるようなシーン、
印象的なフレーズが一杯です。
主人公と葉子、その他彼を取り巻く人々、みな個性的でいい味を出してます。
また、時系列は過去に現在にと、行ったり来たりでストーリーは進み、様々な
エピソードが絡み合い、一体どうなるのかと思いきや、これがきちんと鮮やかに
結びつく、構成の巧みさも見事。
そして、話の中で繰り返し流れてくる音楽にも、共感を覚えました。
世代的に共有できるものがあるだけに、より一層心に響くものがあります。
「Your Song」なんて、もう聴いたら涙が出てきそうになってしまいました。
敢えて、あまりストーリーの具体的な内容は書きません。
興味のある方、泣ける話を読みたい方、ぜひぜひ読んでほしいと思います。
紙の本
とっても泣ける小説です。
2005/03/08 00:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ホロス - この投稿者のレビュー一覧を見る
とっても泣きました。この本は何度も読み返しています。
ちょうど妻を亡くしたばかりのときに偶然この本を手に取りました。
私の妻の名も葉子だったのです。吉祥寺は二人でよくいった街だったのです。小説のような形では最後をむかえることは私たちはできませんでしたが、二人の絆はとても共感でき、私にとってはとても大切な小説です。
紙の本
静かな優しさに溢れてます。読む時はハンカチの用意を忘れずに…
2004/09/04 16:50
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エルフ - この投稿者のレビュー一覧を見る
実はこの本は感想を書くのが凄く難しいのです。
あまりにも本に感情移入してしまうと文章でその時の感情を表現するのって困難なんですよね。
葉子と出会って恋愛をしている山崎と彼のちょっと辛い過去であるR.Y.の時代と、そして葉子を失った後の現在とか交互に書かれています。
正直泣けるほどの物語ではないなぁ…と思っていたら!!
ラストの章は涙腺刺激されまくりで涙が止まらなくなってしまいました。
愛する人を失うときが迫りながら1秒でも一緒に生きている瞬間が延びるよう祈る。
これは耐えられない辛さでしょうね。
私なら出来ないです。
想い出を作っていくことよりも1日も早く自分を忘れてもらえるよう先に目の前から去ることを願うかもしれないですね。
彼の本では「忘れないで」と願う人々が多いのですが、私はもし自分が先に死ぬ立場なら「忘れてくれ」と願うだろうし逆に残される立場なら「忘れないでいる」約束は出来ないですね。
だって生きていくことは忘れないでいると困難だから。
ところでこの作品はパイロット・フィッシュと同じ主人公・山崎が登場している
のですが2つの作品を比べると重なるようで重ならない主人公なんですよね。
確かに葉子の願い通り優しい人のままではいるのですがこれだけの恋愛をした後での山崎がどういう日々を送ってパイロット・フィッシュの山崎になったのかがちょっと不思議…。
でも逆に歳を重ねた山崎が新しい人達と出会いまた別れているというのは時間の経過としては正しいのかもしれないですね。
取敢えず泣きたいときには是非この本を…。
紙の本
エピタフを聴きながら
2004/04/05 11:18
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:アルデバラン - この投稿者のレビュー一覧を見る
大切な人を永遠に失ってしまったら…喪失感から陥る憂鬱から、よみがえる記憶とともに再生できるのだろうか。
久しぶりに涙をぬぐいながら(!)ページをめくり続けた小説だった。
全編に幾度となく登場する70年代の名曲は、自分自身が経てきた年月と記憶をよみがえらせる。ポリス、キース・ジャレット、エルトン・ジョン、そしてキング・クリムゾンのエピタフ。それぞれのメロディが、フレーズが今も頭の中でぐるぐるとめぐり続けている。
隆二の再生の物語であると同時に、70年代に青春と呼ばれる時代をすごした私の心に深く染み込む「愛」の物語でした。
紙の本
1ミリの誤差もなく、トマホークは私の心に的中した!
2003/08/04 23:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:オレンジマリー - この投稿者のレビュー一覧を見る
きたきたきた。精神の中枢にある泉から押し寄せるビッグウェーブ。トマホーク的中が原因で発生した津波だろう。愛する人が死を前にしたとき、私は何ができるだろう。内容は正真正銘恋愛ものだ。肝要な読後感は晴れた霧のようだった。晴れ渡った心持で書店に行き、もらったばかりの給料で懐は暖かく豊かで、私の足取りはウェハースのように軽快だった。そこで平積みにされた本書に目は釘付けになった…。
主人公は前作「パイロットフィッシュ」同様エロ本編集者。恋人との出会いも仕事がきっかけとなった。風景写真を撮る恋人に、エロ本に使う写真を撮らせる。私はそこまで読んだ時、きっと非の打ち所のない写真を撮って編集長も大満足するのだろうと思った。ところがだ。エロ本にそぐわない、芸術のような写真が撮られていた。私は素直におもしろい、と思った。エロ本編集者が主人公の小説なんて接した事がなかったし、どういう過程を経てエロ本が仕上がるかなんて知るはずもないので「へぇ」連発だ。
ただそれだけの内容なら星は五つもつけられない。「へぇ」がいくら連発されたって感情を揺さぶるには至っていなかったのだ。
アジアンタムの憂鬱、素敵な響きだなと思いました。口惜しい事だが、私は植物に疎いため、アジアンタムがどういう植物なのか知らなかった。知っていればまた違った感動を与えられたかもしれない。そして、アジアンタムブルーというタイトルが、本書にどう響くのか興味深かった。装丁にも思いが行き届いていて、視線を奪うには充分である。
著者の語彙力と知識、比喩が巧みで感心するばかりだ。恋人の病を宣告した医師が主人公の知人であることは運命の悪戯だとしか思えなかったし、トマホークの誤爆の話題については思わず吹き出してしまった。ユーモア、センス、共にハイレベルだと思う。お馴染みの作家の本しか読んでいなかった私は、風穴を開けるべく書店をさまよったが、本書との出会いは幸福の一つと言える。
物語の序章から最終章、見事にアジアンタムブルーと共鳴した。