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商品説明
【メフィスト賞(第26回)】火山国日本は、幾度となく繰り返されてきた破局的大噴火によって形作られてきた。それがもし再び、明日起きるとしたら? 日本は第2のポンペイとなるのか? メフィスト賞受賞作家によるクライシスノベル。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
石黒 耀
- 略歴
- 〈石黒耀〉1954年広島県生まれ。勤務医。第26回メフィスト賞受賞。
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紙の本
近く東海大地震も来るぞ…なんて妄想も止めどなく
2003/03/26 02:29
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:キムチ - この投稿者のレビュー一覧を見る
『日本沈没』以来の超弩級スケールのクライシスノベルと言っていいでしょう。火山マニアの医師でもある作者のオタクっぽさが良い意味で炸裂してる科学的根拠の説得力。荒唐無稽に近いけれど、『絶対に来る東海大地震』的な潜在意識は誰でも持ってるわけで、どこか絶対大丈夫と信じ切れない火山大国日本列島の現状を認知している国民感情を不気味な大地の脈動を感じる日本人だからこそ描けた破局的いや破局噴火の列島破壊シュミレーションなのだ。火山噴火予知連あたりから国家的規模の裏作業として現実に起こりうる仮定としての富士山大噴火あたりのシュミレーションも実はすでに出来ていて、蠢く地底活動の予兆が静岡近辺でそこかしこに…なんて妄想を止めどなく想起してしまう超問題作。
サイトで検索した講談社のメフィスト賞選考経過を読んでみると、なにやら火山オタクっぽいところを敬遠して「これじゃ売れない」とかご託を並べる部分に呆れましたが、無事出版されて何よりである(^_^;)。ポロッと出てくる作品の質に侮れない『メフィスト賞』。過去受賞作品もチェック致しましたが、そこはそれ…玉石混淆であるなあ、と。処女作品でここまで完成度高いと…おっと、完成度高いと誉めるのは火山噴火&パニック小説部分に限定しておきましょうか。留保付き★4つ。
『神の手作戦』の経済ラハールからの起死回生策が、そんなに上手く行くんかいと経済オンチの小生にはチト引っ掛かるのだけれど、そこはそれご愛敬ということで(^_^;)。地球規模のスパンで人間圏を俯瞰出来る作家的スケールは素晴らしい。SFマインドを前面に押し出さずにクライシスノベルに徹したのも成功してるかな。ハラハラドキドキ黒木&岩切の決死行とキャラの立ち方が日本映画的で黒木夫人には沢口靖子あたりがピッタリに思えちゃったりして。リーダビリティも二重丸。九州地方。特に霧島火山帯にお住まいの方には、あまりのリアルさにゾッとする喪失感を身近で感じられるかもしれませんねえ。ぜひとも東宝での映画化希望します(^_^;)。
紙の本
ありうる危機を分かり易く描写
2003/09/07 19:21
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良書普及人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
一度読みたいと思っていた「死都日本」を一気に読みました。読むまでは、本の厚さに圧倒されましたが、読み始めると一気加勢でした。まるで火砕流のように。
昨年のお正月明けに、霧島連山を訪ねたこともあり、あのあたりの地理を思い浮かべながら読み進めることが出来ました。その後、東大の荒牧名誉教授とともに鹿児島を訪れる機会があり、先生から、入戸火砕流、姶良カルデラ、阿多カルデラ、鬼界カルデラなどのお話を現地の地形に即して伺う機会に恵まれました。その折の教授のお話と、石黒氏のこの小説が、面白いように重なり合いました。その折のわずかな経験からしても、この小説は決して荒唐無稽なものではなく、理論的に一定の確率でありうるものであると、確信しました。霧島火山は実は加久藤カルデラの一つの火山に過ぎない、ということも、現地の地理をよく見ると納得してしまいます。
小説では、火山の噴火に連動して、東海地震、東南海地震、南海地震、富士山噴火の連動にも触れていますが、これは決してありえない事ではないのです。現に1707年の宝永地震の際には、これらが連動しています。それに加え、元禄地震(関東大震災に相当する地震)も起きているのです。
地震考古学の東大の寒川教授は、以下のような所論を述べておられます。
・地震には100点満点の地震がある。
・1707年の宝永地震がそれで、この時には、南海トラフが全て割れて、南海、東南海、東海地震が同時におきた。そしてその4年前、1703年には相模トラフが割れ、江戸が元禄大地震に見舞われました。元禄地震は関東大震災の3−4倍の大きさで、マグニチュード8.3の巨大地震。
・そして、1707年暮れには富士山まで噴火し、この宝永噴火で江戸が真っ暗になっている。
・これが日本においては「100点満点の地震」である。
この小説では、関東地震を除外し、霧島火山を取り上げていますが、日本列島が、火山と地震によって成り立っている国土であること、それを国民が十分に意識していかなければならないこと、ショッキングな形で啓発してくれる良書だと思います。
一言内容に関し要望があるとすると、国と自治体を結ぶ情報ネットワークは地上系、衛星系を含め、それなりの体制があり、こうしたものも小説の中で材料としていただきたいと思った次第です。これは職業柄の故の希望です。