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紙の本
すべてはフィクションだった
2002/09/24 22:58
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投稿者:成瀬 洋一郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
南洋の小国メソネシアでは政府と反政府ゲリラの戦いが長く続いていた。言語学者、高遠健生はゲリラ指導者と旧知の間柄であったことから講和の使者に抜擢されるが、島に平和が訪れる寸前に予期せぬ出来事が次々に発生し、すべてが瓦解する。
未知の怪物に殺害されるゲリラ指導者とその不可解なダイイング・メッセージ。意味もなく多発する爆弾テロ。変貌する肉体、生態系。その背後に見え隠れする地球外からの侵略システムと米軍。健生は事件の渦中に取り込まれ、ジャーナリスト萬田沙登美や存在せぬ言語で育てられた少女ヴィナと共に地球外生命体「CANTOR」の謎に挑む。
刺青少女の表紙イラストに「美少女アクションものか!?」と思うと大ハズレ。南洋の島を舞台にしたテロと、文明の創造と喪失と、正体不明の敵による侵略の話です。言語とは何か。文明とは何か。民族とは何か。それにどんな意味があるのか、いや、そもそも意味があるのかを、宇宙から「地球」への静かにして遠大な侵略を背景に、小国内での権力闘争や南洋に生きる人々の生活を交えつつ問いかけた本格SFです。ディレーニィの『バベル17』と読後感は似ているかも知れません。何度でも読み直し、いろいろ隠された意味や蘊蓄や伏線を楽しむことができる作品です。