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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2002.9
- 出版社: 河出書房新社
- サイズ:20cm/340p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-309-01494-1
紙の本
海峡を渡るバイオリン
著者 陳 昌鉉 (語り),鬼塚 忠 (聞き書き),岡山 徹 (聞き書き)
世界でたった5人だけ。ひたすらバイオリン製作に励んだ在日韓国人が、世界に冠たる「無監査マスターメーカー」になり、故郷へ錦を飾る−。聞き書きで綴る、哀惜のドキュメント。【「...
海峡を渡るバイオリン
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商品説明
世界でたった5人だけ。ひたすらバイオリン製作に励んだ在日韓国人が、世界に冠たる「無監査マスターメーカー」になり、故郷へ錦を飾る−。聞き書きで綴る、哀惜のドキュメント。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
陳 昌鉉
- 略歴
- 〈陳〉1929年韓国生まれ。来日後、働きながら明治大学英文科卒業。76年、国際バイオリン・ビオラ・セロ製作者コンクールにおいて6部門中5部門で金メダル獲得。
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紙の本
音楽っていいなあ、人間ってすてたもんじゃない。
2007/02/14 18:45
3人中、3人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:緑龍館 - この投稿者のレビュー一覧を見る
語りを原稿起こしして再編集したものですが、波乱万丈の内容に訥々とした語り口が、胸にじーんと迫ってくる自伝本です。
生活苦のため中学生のときに朝鮮から日本に渡って来た著者は、戦後米兵相手の輪タク(人力車みたいなもの)の運転手をしながら苦学して大学に通いますが、ある日偶然聴いた講演がもとで、バイオリン製作者になることを志します。しかし大学卒業後、訪ねて行った全てのバイオリン製作者から朝鮮人だということで弟子入りを拒まれ、ついには木曾の山奥にあるその頃日本で一番大きかった機械製作バイオリンの鈴木バイオリン工場からも、外国人だということで工員採用さえ拒否されてしまいます。そのまま木曾の山奥に居着いて数年間、山中の道路建設現場の日雇い労務者をしながら、仕事の合間にバイオリン製作用のいい木材を拾い集め、バイオリン工場の窓から製作工程を目で盗み、工場の技術者と知り合いになってからバイオリン製作の実際を耳で学ぶという生活を重ねつつ、建設会社の敷地に自分で建てた掘っ立て小屋の中で一人、全くの独学でバイオリンの製作を開始します。このときが30歳前後。それからもひたすらバイオリン製作にのみ打ち込み、遂には1976年、国際バイオリン・ビオラ・チェロ製作者コンクール6部門のうち、5部門を一人で制覇、現在では、世界に5人しかいないバイオリンの無鑑査製作者、マスター・メイカーの称号を得るまでになります。
音楽に対する愛情と、朝鮮戦争など凄惨な状況の中でも息子のことのみを思い生きて来た故国の母親に対する愛情のふたつが、この本の大きな柱となっていますが、ふたつとも半端ではありません。また韓国の独裁政権時代に一時帰国したとき、義兄に偽証で密告されスパイ容疑で取調べを受けた話など、時代柄かなり陰惨で悲惨な話も結構出てきますが、著者の人生に対する態度のためでしょう、全体にとても明るく清々しい印象を受けます。
バイオリン作りに対する情熱を垣間見させてくれる製作に関する驚くようなエピソードが山盛りですが(例えば、夜、畑に静かに鳴り響くみみずの透明ではっきりとした鳴き声が、あまりにストラディバリウスの低音に似ていたものだから、ミミズを乾燥させた粉をニスに混ぜてバイオリンに塗ってみたけど、やっぱり駄目だったとか)、またバイオリン製作を通じて知り合い、援助も受けた著名な演奏者との交流のエピソードもユーモアのあるもの、ほのぼのしたもの、泣けてくるものと、本当に音楽っていいもんだなあと、改めて感じさせてくれるものばかりです。イツァーク・パールマンやメニューイン、ダヴィッド・オイストラフや安益泰、それに日本のバイオリン演奏家たちの舞台裏でのちょっとした挿話も味わいがあります。
愛する母親の話はかなり理想化されているのでしょうが、それも著者のバイオリンや人生に対する情熱・愛情、理想を追い求める心と重なり、自分の人生に対する前向きな姿勢を感じさせてくれて、却ってそういうところも感動的です。
→緑龍館 Book of Days
紙の本
海峡を渡るバイオリン
2002/10/06 02:16
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヒガシマル - この投稿者のレビュー一覧を見る
感動しました。在日韓国人でバイオリン製作者のノンフィクション。どんな困難な試練にあっても、陳さんの明るく一途な生き方には深い感銘をおぼえました。楽とか安定を求めて腰の座らない人生を送る人の多い昨今、今の時代だからこそ読んでほしいです。絶対におすすめの書籍です。