「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
- カテゴリ:一般
- 発行年月:2002.10
- 出版社: 早川書房
- サイズ:20cm/261p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-15-208446-4
紙の本
相対論がもたらした時空の奇妙な幾何学 アインシュタインと膨張する宇宙
現実を超越するような数学を利用し組みあげられた相対論は、第一次大戦中の皆既日蝕観察で立証された! 物理学と数学が絡みあう世界の魅力を描きつくすノンフィクション。【「TRC...
相対論がもたらした時空の奇妙な幾何学 アインシュタインと膨張する宇宙
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
現実を超越するような数学を利用し組みあげられた相対論は、第一次大戦中の皆既日蝕観察で立証された! 物理学と数学が絡みあう世界の魅力を描きつくすノンフィクション。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
アミール・D.アクゼル
- 略歴
- 〈アミール・D.アクゼル〉オレゴン大学で統計学の博士号を取得。現在、ベントレー大学の統計学助教授。著書に「天才数学者たちが挑んだ最大の難問」など。
関連キーワード
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
理論物理学
2003/05/24 03:38
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:濱本 昇 - この投稿者のレビュー一覧を見る
私は、あらゆる科学分野のうち、理論物理学を最上のものと位置付ける。それは、神が人類へ与えた壮大なる課題「宇宙の根源」を求める科学であるからである。20世紀初頭、この神の壮大なる問い掛けに大きな一つの回答を与えた偉大な理論物理学者がいる。アルバート・アインシュタイン、その人である。本書は、彼の理論を主軸にして、彼の理論が成り立って行く過程、その実験的立証、彼の理論の限界、一般相対性理論の発展等、興味が尽きない内容であった。正直言って、その数式等は理解出来ないが、概念的な事は、なんとなくだが分かるような気がした。
宇宙は、膨大しつづけるのか、それとも収縮に転じて「ビック・クランチ」を迎えるのか、東洋的思想に立てば(いや人類全体の思想かもしれない)、「ビック・バン」と「ビック・クランチ」を繰り返し、その都度新しい宇宙が創造、死滅を繰り返すと考えた方が、人類の精神衛生上は好ましいのかも知れない。この説は有力なものの、まだ確認されていない。宇宙の質量が問題なのである。未だに、「ビック・クランチ」に通じるような宇宙の質量が確認出来ていないのである。その大きな候補は、「ダーク・マター」と呼ばれる我々が観測出来ないが存在すると考えられている物質である。この存在が確認出来れば、宇宙の収縮も可能なのである。
一般相対性理論が立証される場面は、正しく劇的で興奮した。皆既日食による太陽での光屈折の現象の確認である。今、我々は、天文学者は、最初から太陽での確認を試みたと思うが実際はそうではない。まずは、木星から始めたのであった。そして、木星の質量では、光の屈折の現象は確認出来なかった。何故、最初から太陽で確認しなかったのか? そこは、人間の限界があったと思った。太陽の付近を通過する星の光の観測は不可能と安易に考えてしまったのだ。皆既日食があるではないか。しかし、この天体ショーは、地域、時間が限られる。そういう困難よりもまずは、安易に太陽系で最も大きな天体である木星から始めたのであろう。世界的な天文学者も人間なんだと安堵する次第である。
本書は、理科系である私の知的好奇心を大いに揺らせてくれた。気楽にそして楽しく読めた一冊であった。
紙の本
最先端の宇宙論と分かち難く結びつく100年前の業績
2002/11/12 22:15
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:田口善弘 - この投稿者のレビュー一覧を見る
アインシュタインの伝記は『神は老獪にして…』(アブラハム・パイス著、産業図書)をはじめとしていくらも出ている。だから「なんで今また」という疑問を持たれる方も多いかも知れない。しかし、そこで始まり、そこで終っている不可思議な現象「宇宙の膨脹は加速している?」の発見に、事の発端はある。宇宙の膨脹が加速していることがなぜ不可思議なのかを説明するために、この本はアインシュタインが一般相対性理論を作りだした時代へと遡る科学史の旅を始めるのだ。
その理由は読めば解るようにていねいに書いてあるので本書をじっくり読んでいただくことにして、他の読みどころをいくつかあげよう。
例えば、アインシュタインは実はかなりの野望家で、自分の役に立つと思えば、年下の無名の人物を利用して捨てたりしていたこととかなんか、僕にとっては「新しい事実」だった。また、単なる重力の方程式に過ぎない一般相対論を用いて、なぜかアインシュタインは宇宙の状態が説明できると信じ(重力以外の原因が宇宙の時間発展に大きく効いていればそんなことはできるわけがないのだが)ていた。そして、自分の理論には定常な宇宙の解がないと認識するや、これまたなぜか、重力以外の原因が大切なのだ、と思う代わりに有名な「宇宙項」をつけてみせたのだ。このことは一般に言われているよりずっと精妙であり、単なる付け足しじゃなくて「加速する膨脹」を説明するように一般相対論を拡張するにはアインシュタイン並みの才能が必要かも知れないというところも、僕には新しい発見だった。
本書は、アインシュタインや一般相対論についての科学史的な読み物をある程度読んだことがあり、もっと知りたいと思っているような読者にお勧めだ。100年前の天才の業績が今なお最先端の宇宙論と分かち難く結びついているのを知るのは興味深い体験だろう。