「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
子供時代の宿題を大人買い。
2003/06/30 16:57
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:3307 - この投稿者のレビュー一覧を見る
たしか、小学五年の頃だったと記憶しています。
ゲド戦記の名を初めて目にしたのは、
岩波少年文庫収録の『ナルニア国物語』の巻末広告です。
私にとって巻末広告は、最も身近なブックガイドでした。
ドリトル先生
メアリーポピンズ
ホビットの冒険
あしながおじさん
どれも夢中で読みました。
期待を裏切られたことなんて、一度もありません。
しかし、ゲド戦記だけは手を出すことが出来ませんでした。
『影との戦い ゲド戦記1』
それは当時の私にとって、↑この書名が
なんとも地味で、重苦しいイメージだったからです。
わくわくの「わ」の字も感じることが出来ず、
読み逃しました。時折、絶賛する評判は耳にしても。
過ぎたことですが、これが、原題の「A WIZARD OF EARTHSEA」を
オズの魔法使い(Wizard of Oz)のように直訳して
「アースシーの魔法使い」となっていたら
あるいは、手に取れたかもしれません。
しかし過ぎてみれば、少年時代を終えて、たくさん挫折して
ある程度自分が何者なのかを思い知らされたこの時期に
手にすることが出来たのは幸運でした。
与えられた力の大きさに奢るハイタカ(ゲド)が
挫折し、追放され、青年へと育つ姿を理解するには
当時の私は、少し幼すぎましたから。
・少年の成長物語の『影との戦い』。
・少女の成長物語の『こわれた腕輪』。
・師弟間で力の継承が行われる『さいはての島へ』。
・女性・暴力・暮らしを語る『帰還』。
・理解・共生・世界の「区切り」を語る『アースシーの風』。
子供時代に「読み逃した」寂しさと
それを取り戻そうと「大人買い」した5巻セットに後押しされて
2週間がかりで一息に読み終えました。
ようやく、子供時代からの「宿題」を一つ終えた心地よさと共に、
『ゲド戦記』は私の中で、『ナルニア国物語』と同様の位置を
占める作品となりました。
『ナルニア国物語』は、神話や物語、そしてキリスト教を
背景に持ち、「充実した物語を誰にでも分かり易い形」で
世に送り出されたから子供の頃から繰り返し読むことが出来ました。
一方、『ゲド戦記』が背景に持つのはル・グイン氏の
思想と感性になりますので、作者と訳者の配慮から
子供にも読める形になってはいますが、やはり難解な面もあります。
だからこそ、30代・40代……と、この先も関わることで
今は読み落としている部分も、これから気づいていける楽しみがあります。
大人になるのも、時には悪くないと思わせてくれる5冊。