松井が行く

0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。

投稿者：筑波太郎　-　この投稿者のレビュー一覧を見る

本書は、某新聞に連載されたものに、著者が書き下ろしを加え、大幅に加
筆したものである。著者は読売巨人軍担当記者として、また親友として、表
裏から見た松井の素顔を紹介しつつ、メジャーに夢を賭けた人間の戦いを追
い求める。

巨人の四番バッターであった松井、いや日本が誇るスーパースターがはた
してメジャーで通用するのだろうか、著者にも分からない。松井自身は「今
夢を捨てれば後悔だけがのこる、最高の舞台で自分を試したい」。そして
「メジャーで羽ばたくのだ」。幼少のときから、夢の実現に挑戦してきた松
井が、ようやくキップを手に入れたと述べている。
　
ハイレベルの高校球児が読売巨人軍に入団したのが十年前、練習と努力で
不動の四番バッターに昇りつめた。松井は不器用で愚直と語る傍ら「おれは
常に十割打者」であると。「実は素振りの世界で味わっている打撃成績。た
かがバットを振るだけと、侮ってはいけない」。素振りの中にバッティング
のすべてを会得している。「投手が繰り出す生きた球」を想像して打ち返す。
「スイングを数えたことはないけれど、自分の身体が納得するまで素振りを
繰り返した」と松井は語っている。
　
松井はプロ野球の模範でありたいといつも自覚している。少年、少女の瞳
は厳しい。グランド内の一挙手一投足を見逃さない。自分の姿にいつも夢を
重ねている。「優しい心遣い」で時間がある限り、子供たちの要求を満たす
よう心がけているそうだ。
　
大リーグ開幕から二ヶ月が過ぎようとしている。松井らしいホームランは
少ないがそれなりの成績は残している。対戦する投手は殆ど初顔なので、技
術的に打ちこなすのは大変らしい。しかし松井は難度な打撃改革を行ってい
る。この打撃法がマスターできれば、今流行の「ムービングファストボール
」を打ちこなすことが出来るのではないか。メジャーリーガー「最終目標」
の三冠王。是非取ってもらいたい。