「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
- カテゴリ:小学生 中学生
- 発行年月:2003.4
- 出版社: 理論社
- サイズ:19cm/385p
- 利用対象:小学生 中学生
- ISBN:4-652-07727-0
紙の本
ホー
中学生のロイはある日、裸足で走る不思議な少年に出会う。彼は建設現場のフクロウの巣を守ろうとして闘っていた。子どもたちと大人の闘いをユーモアたっぷりに描きだすYA文学。【「...
ホー
紙の本 |
セット商品 |
- 税込価格:7,568円(68pt)
- 発送可能日:購入できません
- 税込価格:19,360円(176pt)
- 発送可能日:購入できません
- 税込価格:18,700円(170pt)
- 発送可能日:購入できません
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
中学生のロイはある日、裸足で走る不思議な少年に出会う。彼は建設現場のフクロウの巣を守ろうとして闘っていた。子どもたちと大人の闘いをユーモアたっぷりに描きだすYA文学。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
カール・ハイアセン
- 略歴
- 〈ハイアセン〉アメリカ、フロリダ生まれ。マイアミ・ヘラルドのコラムニストでミステリ作家としても活躍。著書に「トード島の騒動」「虚しき楽園」ほか。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
「フクロウをすくえ!」小さな子供の大活躍
2005/01/12 21:59
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:星落秋風五丈原 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ホー!ホー!ホー!
おや、遅れてきたサンタクロース?
いえいえ、違います。表紙をよおっく、見て下さい。
真ん中に大きな目が二つ。くちばし一つ。
そうです。フクロウです。
米マイアミ・ヘラルド紙の記者で、あの、デミ・ムーア主演の「素顔のままで(ストリップティーズ)」の原作を書いている著者の児童書は、この一行で始まります。
「その日、ロイが不思議な少年に気づいたのは、いってみればダナ・マザーソンのおかげだった。」
で、その少年をどうして不思議だと思ったかと言うと、裸足でバスの横を走り抜けていったからなんですね。
裸足で駈けていくくらいで「不思議」呼ばわりされるんですから、ハックルベリ・フィンの時代は遠くになりにけり。
さて、もう一つ遥か遠くに行ってしまったのは、西部劇の時代。それなのに、転校生のロイは
「カウボーイの故郷、モンタナから来ました。」
と、転校先のフロリダの中学校で自己紹介。途端に「カウガール」なんて呼ばれるようになったロイは、性質の悪いいじめっ子(ま、性質のいいいじめっ子はいませんな)ダナに目をつけられてしまいます。友人もいますが、彼のために身を張ってくれそうな雰囲気ではありません。学校で起こった事を両親に言いつけても、効果がないって事は、みなさん、ようく、ご存知ですよね。結局自分自身で立ち向かわなければならない。
最近の子供社会も、大人同様、なかなかシビアです。
さてそんなロイが、冒頭のように、裸足の少年を見かけた事から、パンケーキハウスが近々建設される事になっている、この町で起こる不思議な出来事に、知らぬ間に一歩一歩近付いていく事になります。
会社からはせっつかれ、訳のわからない出来事に怒り心頭の現場責任者。町のメイン・イベントにやって来る、バッタ役を演じる女優(ティム・バートンが好きそうだなぁ)。手柄を立てたくて張り切るが、いいカモにされてしまう警官。完璧を期しているけど、どこか抜けている大人達のキャラクター造型も巧みですが、主役となるのはやっぱり子供達。自分に向けられるいじめに対して、あくまで正攻法を貫くロイ。タイヤを齧っても歯茎から血がでない「熊」という渾名を持つベアトリス。そして何だかわけありな、野生児の少年。本当にいた、どうしようもない理不尽ないじめっ子ダナ。
苦りきった大人達の目の先を、するり、するすると快適に抜けてゆく子供達の活躍に、小さい英雄予備軍達は、きっと拍手喝采する事でしょう。
ほとんどの漢字にふりがながついているので、小学校低学年でも読めるでしょう。訳も読みやすいです。
紙の本
『穴』のルイス・サッカーのようにY・A向け作品をどんどん書いていってほしい。荒唐無稽なキャラ活躍の先にある予定調和的な大団円。でも、このエピローグの美しさは屈指の出来。
2003/09/10 11:05
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:中村びわ(JPIC読書アドバイザー) - この投稿者のレビュー一覧を見る
江国香織、角田光代、佐藤多佳子、森絵都、梨木香歩、それに坂東真砂子、皆川博子——これは、児童文学でデビューしたり注目を浴びてから一般向け文芸界で活躍するようになった作家たち。童話やヤングアダルト向けの本を楽しんだあと成長し、読者として一緒に持ち上がるというのは自然な流れ、というかとても合理的なことなのかもしれない。
もちろんティーンエイジャー向けの話はいくつの人が書いてもいい。だが、こうした作家たちが老年になったとき、改めて若い世代向きの話を書いてくれると面白いかなと思う。各々に作風が違うし、年を重ねることが即円熟に結びつくとは思わないが、青春の一時期を巧みに切り取った切ない話の奥に、経歴を重ねた人の思いや考えが層を成して見えてくれば、より味わい深いものになる気がする。
この本のカール・ハイアセンは、ピューリッツアー賞候補にも挙げられた新聞記者としてならしたのち、現在はミステリー作家、コラムニストとして活躍しているそうだ。邦訳作品も出ているが未読。面白そうなので、そのうち試してみたい。
一般向けからスタートし、ヤング・アダルトを意識した作品は今回が初めてだということだが、1作めにしてニューベリー賞オナーとして評価された。これはなかなかにレベルの高い賞だという認識がある。たとえばピューリッツアーのフィクション部門では肩透かしをくらわされたことがあるが、ニューベリーにひっかかったもので過去に読んだものには外れがないからだ(独善的すぎるかな?)。
若い層向きに書かれたものを所謂「大人」が読むとき、その若い年齢に「降りていって」読まなくては楽しめない作品も多々あるが、ニューベリー関係を読むときには、そのようなことはない。
ずっと遠くの外堀からぼちぼちと埋めるような書き方をしている。実はこの本、城の本丸について書いてしまうとすぐに終わってしまう。
「面白かった。笑える。そして、美しいラストには胸を衝かれた」
これぐらいのところで十分な感じなので、苦しまぎれに余分なことばかり書く。
ハチャメチャな人物たちが繰り広げる奇怪な行動やボケぶりに笑えること、町に誘致されたフランチャイズ・チェーンのレストラン建設と動物をめぐるストーリー展開の面白さが特徴として挙げられるけれども、一番心を引っ張られるのは、作家の自然に対する思いだ。
フロリダ生れで、マイアミの新聞社の仕事をした。おそらくは、そのハイアセンのハックルベリー・フィンのような子ども時代、記者として捉えた環境問題とビジネスの共存、故郷を愛し誇りに思う大人としての今、そうしたいくつかの立場からの視線が、この本をいろいろに深読みできるものに仕立て上げているのだろう。だから「降りていって」読まなくてはいけない本ではない。
3ページ半ほどのラストシーンを具体的には書くわけにはいかない。複数の立場からの自然への思い、そして本文中のエピソードのいくつかが見事に結晶化しているということだけ記しておこう。
自然に溶け込んで遊んだ少年の日の話。そのラストをこれだけ美しく書ける作家には今、どんな人がいるだろう。S・キング、日本では笹山久三、阿部夏丸。少年少女時代をうまく結晶化させられた人たちだけに書ける小説があるのだと思う。
紙の本
問題から目をそらさず、でもユーモアは忘れず。元気が出る本です。
2003/07/22 18:55
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:エーミール - この投稿者のレビュー一覧を見る
ソフトカバーのカラフルな、それでいてすっきりとした本。スマートで可愛らしい。そう、本の中身もそんな感じ。このタイトルは、フクロウの鳴き声をあらわすというけれど他にも「やじって追い出す」とか「警笛を鳴らす」とかいう意味もあって、そういう意味も掛けているのではないかと思う。会話がユーモア(皮肉も含めて)たっぷりで、登場人物がかなり奇妙。乱暴でわがまま勝手ないじめっこは、まあよくいるタイプ。だけど、自転車のタイヤを歯でかみきっちゃう女の子はスゴイ、生まれて初めて付き合う女の子がこういう子だったら人生感が変わるかもしれない。でも主人公の中学生の男の子ロイは、今時こんな落ち着いた家庭があるかなと思うくらい健全な(?)家庭の、前向きな考え方をする一人息子。よくよく考えると、結構クラシックなムードの作品かもしれない。
ある時期から問題のある家庭を扱った作品が多くなって、そのどうしようもなさは問題解決などというなまやさしいことではなくて、それでも生きて行かなきゃいけないんだというような、やりきれないムードの作品が多くなったように思う。大人にも解決できないような問題が子どもたちの生活に大きく影響してきている現実はあるけれど、子どもの未来に救いがないような作品を子どもに与えるのは、悲しい。どうにかして、問題にたちむかっていく、そのエネルギーを子どもたちには持ち続けてもらいたいものだ。
そういう意味では、この物語はうまくいきすぎかもしれない。一種のおとぎばなしといえるだろう。でも、そういう物語が、今、求められているのではないだろうか。元気がでるような物語が欲しい。それに、ピッタリのストーリーなのだ。
この作家はコラムニストとしてもミステリー作家としても有名な人。はじめてのYA向けの作品で「姪や甥、義理の息子たちに安心して手渡せる本を書きたかった」というのも執筆の1つの動機なのだとか。
2003年度ニューベリー賞のオナー賞、そして全米書店員がえらんだ「いちばんお気に入りの本」になり、発売3ヶ月で25万部も売れて全米ベストセラー作品となった。読後感の良い、さわやかな本だ。
(エーミール/図書館の学校・児童書選書委員会)
紙の本
とっかかり。そして頭と心
2003/06/04 09:13
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:まるの - この投稿者のレビュー一覧を見る
絵を書くのが好きな人なら、登場人物をみんな描いてしまいたくなるほど
個性的な面々が飛び出す、愉快なお話。
舞台はフロリダ、中学1年の少年が珍事件に巻き込まれて、頭と心を使い事態を打開します。
ロイはフロリダのココナッツコーブに引っ越してきた。ここは物心ついてから10番目の街。
通い始めたトレース中学は、六校めの学校。
転校は慣れっこだけど、引越し前のモンタナ州ボーズマンはロイのいちばんのお気に入りの場所だった。
だからロイの心はボーズマンにあり、フロリダに馴染めずにいた。
一人っ子のロイは、両親がどんなに自分を愛し大切にしているか知っている。
だから、いつも無茶をせず心配をかけないよう注意をしていた。
スクールバスの中で、学校で1・2の乱暴者に目をつけられ、嫌がらせをうけても、
エネルギーの無駄と考え、騒がず辛抱していた。
そんなバスの窓から、ロイは現実とは思えないものを目にした。
ものすごいスピードで走る裸足の少年、
その野性的で荒々しく常識をこえた様子に心を奪われたロイは、その日から少年を探し始める。
ロイが少年を見かけたその近くに、近々大規模なパンケーキのレストランが建設される予定があった。
このお店が、街にできることはみんなの楽しみ。
でもその建設予定地には、地面に穴を掘って雛を育てる小さなふくろうが住んでいた。HOOT。
裸足の少年を取っ掛かりとして、友だちと街と繋がっていく。そんな感じがとっても良かった。
私たちの周りには、なかなか入っていけそうにもない
集まりや団体、いろんなかたまりがあるけど、
全体を見ないで、一人一人をみたり、一個のものに着目したり、なんか小さなものをみつけたら
それが手がかりとなって、いつの間にかそこにいるみんなと繋がっていけるのかもしれない。
読み終わって、そんな気持ちにもなりました。
紙の本
共感できるコメディ小説
2003/05/02 02:31
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:ヤマトタケル - この投稿者のレビュー一覧を見る
コメディタッチの小説って主人公にどれだけ共感できるかがポイントだと思うけど、ロイはなかなかよかった。ちょっと冷めてて、でも意外に熱いところもあって、リアリティがある。そのロイのリアリティが中心にあるから、つぎつぎに現れるひとくせふたくせのキャラたちがぐっと生きていた。ややネタバレですが、印象に残ったのはやっぱり、ごつい女の子ベアトリスが最後にうたう歌かな。最後にきてけっこう泣かせたりもするんだもの、お買い得な一冊です。
紙の本
映画タッチでくせになる味
2003/05/01 16:20
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:harappa - この投稿者のレビュー一覧を見る
気に入ったキャラは白スーツのいやみな副社長! 笑える!
あとデブの母子も、映画だったら出てきただけで爆笑!だろう。
よくできたコメディ映画を観ているような雰囲気のいい本。読んだあとも、しょうもない細かいシーンを覚えていたりして、楽しめる。ありえねーよ!みたいな展開だけどすごく洒落たユーモアミステリ。
舞台のフロリダの印象が、この本でずいぶん変わった。アメリカ白人のための嫌みな南国リゾートって思っていたけど、こんなにおもろい小説を書く人が愛している場所なんだからぜったい行ってみたい!
わけわからんキャラがたくさんでてきて、いつのまにか、シンプルでストレートなメッセージが心に響く。この作家、なかなかやります。ちょっと「くせになる」味がある。ハイアセンのほかのも絶対読みたい!
紙の本
翻訳者コメント
2003/04/04 11:51
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:千葉茂樹 - この投稿者のレビュー一覧を見る
フクロウの鳴き声をタイトルに冠したこの本は、ちょっとばかり型破りな作品です。なにせ、カール・ハイアセンといえば、アメリカの人気ミステリ作家のひとりで、ぶっ飛んだキャラクターたちが巻き起こす破壊と笑いに満ちた奇天烈なスートリーで知られる人なのです。
そのハイアセンがはじめて挑戦したヤングアダルト作品なのですから、これは注目するしかない! 軽快で目を離せない展開のなかに、友情や親子の愛情、エコロジー問題まで見事に盛り込んだその手際のよさは流石です。アメリカで最も権威ある児童文学賞、ニューベリー賞のオナーに輝いたのもなるほど、納得。
登場人物たちもとっても魅力的。正義感あふれる現代のハックルベリー・フィンとでもいうべき裸足で走る謎の少年、熊女と恐れられるベアトリス、まじめだけど、一本芯の通ったロイ、はげ頭なのになぜかカーリー(もじゃもじゃ)と名乗るおっちゃん、頼りないおまわりさん………。そこに、獰猛な犬やワニ、毒ヘビまでがからみあい、もつれあい物語はどんどんエスカレート! そして、もちろん愛すべきフクロウたちも重要な役割を担って登場します。
クスクス、ときにはゲラゲラ笑い、そして最後にはちょっぴりしんみりして楽しんでいただけたらうれしいなあ。