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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2003.4
- 出版社: エスクァイアマガジンジャパン
- サイズ:21cm/286p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-87295-087-9
紙の本
マノエル・デ・オリヴェイラと現代ポルトガル映画 (E/Mブックス)
著者 遠山 純生 (編)
現役最長老の世界的巨匠の偉業を称えつつ俯瞰する、ポルトガル映画の過去と現在。2003年5月日本公開「家宝」までのオリヴェイラ監督全作品あらすじ&評を網羅。【「TRC MA...
マノエル・デ・オリヴェイラと現代ポルトガル映画 (E/Mブックス)
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商品説明
現役最長老の世界的巨匠の偉業を称えつつ俯瞰する、ポルトガル映画の過去と現在。2003年5月日本公開「家宝」までのオリヴェイラ監督全作品あらすじ&評を網羅。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
遠山 純生
- 略歴
- 〈遠山純生〉文筆・編集業。
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紙の本
日本で唯一のオリヴェイラ本だが、編集全般に行き届いた配慮が欠けている
2010/08/10 12:38
3人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:本を読むひと - この投稿者のレビュー一覧を見る
9月から10月にかけてフィルムセンターでポルトガル映画祭がおこなわれるが、その上映作のなかにマヌエル・ド・オリヴェイラ監督作が7本ある。この7作のうち、たまたま私は4作、ずっと以前テレビ放映されたとき録画していた。しかも今まで見ていなかったこともあり、この機会に、近年録画した他のオリヴェイラ作品6本も加え、まとめて見ることにした。
十数年も前に録画した4本の映画は、DVDは出ているものの(かなり高価)、レンタル店にはなく、録画は貴重である。本との比較で言えば、図書館にもないものを所持している感じである。
当然なことだが「本」は映画のように放映・上映されないし、それを録画することもない。小説の朗読された番組を録音・録画はできようが、それは「本」とは異なる。放映された映画の録画は「コピー」であるが、本の「コピー」の問題もある。
何十年も前には、映画を所有し、いつでも自由に見ることは不可能だった。それに対し「本」はいつでもどこでも読むことができたが、電子書籍化された「本」も、その点では変わりない。ただ何冊も持って旅に出たりしなくてすむだけである。ビデオ機器が出たときは早めに購入した私だが、電子書籍端末を購入し、それで「本」を読むことは考えられない。
つい最近、新しいテレビの購入で今までのようにテープ録画はできなくなったが、まだ見ていない録画した映画はたくさんあり、読んでいない本があるのと同じような気持ちである。
ともあれ今年の12月で満102歳になる、いまだ現役のオリヴェイラ監督作を10本、唯一のオリヴェイラ映画紹介本を読みながら鑑賞した。途中で眠り込んでしまえば、また元にもどして見る。VHS再生なので画像は悪いにしても、スタンダード・サイズのものなどは意外なほど状態がいい。お手軽であるが、贅沢な気持ちだ。
ところで本書だが、率直に言って、編集がよくない。これではオリヴェイラの映画の魅力が半減してしまう。
抄訳が中心の内容はまとまりがなく、さらに編集、割付、レイアウト(文字組みから始まってすべて)に丁寧さが足りず、何より美しくない。
大胆に内容をさばく、たとえば鈴木一誌のようなブックデザイナーにまかせれば、同じ内容で見違えるような本ができるだろうが、内容自体にデザイナーからダメが出るかもしれない。
その点、再見したオリヴェイラについてのドキュメンタリー、『クエスト~探求者たち』というシリーズの一篇「100歳の映画監督 オリヴェイラの情熱」は、なかなかよくできた映画と監督についての批評・解説・紹介である。映像については、同じ映像による言及のほうがずっといい、と思わせてしまう。
だがそう思わせてしまうほど、本書の出来がよくないのである。資料的な価値はそれなりにあると考えられるので残念だ。
細かい欠点は多いが、たとえばオリヴェイラのフィルモグラフィを見ると、ここには各作品のスクリーン・サイズが載っていない(実は多くの映画監督の本のデータにおいて、それのないことが多い)。これがないと、テレビ放映された作品が、正しい画面状態なのか判別しにくい。今回もスタンダード・サイズで放映された映画で、なんとなく両側がカットされているようなのがあった。
本、あるいは書かれた作品と比較したとき、映画の上映時間は小説などの分量、つまり文字数とか400字詰め原稿用紙枚数などと比較できよう(本のページと行数などから計算できる)。だがスクリーン・サイズに相当するものは「本」には存在しない。縦横の比率や大きさに意味のある美術本などがあるかもしれない。だが普通の本において、サイズは、映画のように決定的な意味をもっていない。
将来、オリヴェイラについて眼もさめるような素晴らしい本ができることを望むが、そのときは、些細だが重要な、各作品のスクリーン・サイズなどにも留意した本であってほしいと思う。