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商品説明
劇画界の巨匠平田弘史の初画集。「薩摩義士伝」に代表される重厚かつ骨太な合戦絵などカラー48点、モノクロ24点を収録。原画の魅力そのままに細部に至るまで再現。「英語版・二人の武士」(日本語原文付)を特別収録。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
武士(もののふ)を凝視しつづける平田弘史の画業を集大成した待望の画集
2003/06/12 12:43
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投稿者:西下古志 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「劇画」というものが、止まっている絵だと思うひとは、平田弘史の作品を見るといい。平田の劇画は、止まっていない。動き、躍動し、画面からは雄叫びさえも聞こえてくる。
2003年5月に、『薩摩義士伝』などの時代劇画で知られる平田弘史の画集が刊行された。カラー・ページを多く含む迫力満点の作品集である。たとえば、『武士道無残伝』から採られた斬り合いをする武士の絵は、静謐な雰囲気のなかにも、飛び散る血潮と血塗られた刃が、殺し殺される現場の生々しさをあらわしている。
緻密で叮嚀な筆遣いによって描かれた武士たちの姿は、セリフがなくとも、ことばで語る以上のものをあらわしている。「劇画」もまた、日本が世界に誇る表現芸術だということを、あらためて認識した。
今日、「武士」といえば、テレビの時代劇や、小山ゆうの漫画『あずみ』にみられるように、現代人とほぼ変わらない容貌で、立ち居振る舞いもわれわれと大差ない人間として描かれている。けれども、死、しかも、だれかに殺される死を常に覚悟し続け、その一方で、人を殺すことをを第一の任務とした人間たちが、われわれと同じ風貌であるわけがない。
平田の描き出す「武士」は、現代ではもはや見ることの難しい、エネルギーに充ち満ちた荒々しい人間だ。死と隣り合わせに生きる人びととは、かくも厳しい面持ちと、威風堂々たる態度の人間なのかと、感嘆の声をあげてしまう。
巻末には詳細な「作品リスト」も付されている。平田ファンのみならず、時代劇ファンにすすめたい一冊である。