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紙の本
この人にこの原作を描かせる。これはもう企画の勝利でしょう
2004/10/13 22:54
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:のらねこ - この投稿者のレビュー一覧を見る
「バジリスク」というは、あれ、たしか「目があったら石化される、邪眼持ちのモンスター」の名前だったけ? たしかに、「睨まれたら終わり」な、この原作の「副題」としてはきわめて適切。くわえて、「この原作にこの作画」のコンビネーションを思いついた企画担当者は、偉いと思う。
せがわまさきの名前を最初に意識したのはたしか「鬼斬り十三」で、その後もゲームのキャラクターデザインなどで活躍していたようだけど、まさかその人が風太郎作品をやるとは思わなかった。で、またこの画風が原作の雰囲気にぴったし似合う。せがわ氏の緻密な絵に、風太郎の多分に芝居がかった台詞回しが乗っかると、こうれがもう、「これ以上はない」と断言できるほどに滅法はまる。
ストーリー的には、「一発芸的な異能の忍者集団が十対十でつぶし合う」ってただそれだけのもん。少年ジャンプ的な「チームバトル」の走りみたいなもんなんですが、シンプルな筋を凝ったアイデアで引っ張る原作の持ち味を、大筋では忠実に追いつつ、キャラクターの心理描写などの細かい部分を膨らませることで、堅実に仕上げている。 走るより速く這う忍者、塩に溶ける忍者、皮膚で吸血する忍者などなどをしっかりと絵で表現できる人は、まあ、いるにしても数は少なかろう。で、せがわまさき氏の筆にかかると、これがまた説得力あるんだわ。原作ではほとんど説明らしい説明がなく、「そういう体質なのである」的に処理されていた薬師寺天膳の「能力」がああいうふうに視覚化されていたのをみたときには、わたしはすっかり嬉しくなってしまいましたよ。
あと、荒唐無稽な部分はそれとして、「地」の「時代劇」の部分もちゃんとやっていますよね、この作品。背景は緻密に描写されているし、着物を着ているときの立ち振る舞いなどもしっかり書いてあるし、忍者が使う刀の鍔はいわゆる「忍者刀」で四角いし(実在の忍者が実際にそういう刀を差していたかどうか、という問いはひとまず置く。ようは、「作中でのもっともらしさ」の問題)。「荒唐無稽以外」の部分もしっかりと描いているから、荒唐無稽の部分が生きてくるわけで。
この先品、2005年4月よりTVアニメとして放映が予定されていて(どうせ、アニメ専門チャンネルか深夜アニメでしょけど)、せがわ氏の次回作も風太郎の忍法帳の別作品に決定しているそうです。
酩酊亭亭主