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商品説明
モノとサービスの時代から関係と参加の時代へと、住民や地域社会が抱える問題が大きく変化しようとしている。21世紀の地方自治の在り方とは? これまでの成果とこれからの課題という角度から検討する。【「TRC MARC」の商品解説】
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紙の本
戦後の地方行政の課題達成後の新たな課題に取り組める体制作りへの模索
2004/05/09 00:37
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良書普及人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
中央省庁の現職課長が、自らの仕事を振り返り、更に先輩官僚の
業績をマクロ的に反芻し、今の制度の桎梏状態を指摘し、これか
らどうしていったらよいのかを、幅広い視野から問題提起してい
るのがこの本である。筆者は東大の客員教授として、2年にわたり
学生相手に分かり易く地方行政の運営実態を講義してきたものを
まとめたと書いている。
単なる制度の解説ではなく、制度を通して何が実現できてきたの
か、その制度が今どういう課題に立ち至って、かえって日本社会
の足かせになっていることを指摘している。これまでの日本の成
功を支えた三つの条件、「明確な目標」、「潤沢な財政」、「効
率的な行政機構」が、「目標の喪失」、「財政の制約」、「行政
の機能不全」に転化しているという観察は、実際そのとおりであ
る。
この本は、曖昧な指摘ではなく、はっきりとした指摘や主張がふ
んだんに含まれているので思わず唸る箇所が随所にある。例えば
以下のようなものがある。
・国家公務員は地方公務員と異なり、人事権が各省庁にあり、対
等なものの間の調整がなかなかつかない。優秀な官僚ほど頑張っ
てカタがつかない。
・教育委員会制度があるので、市民に選ばれた市長が教育に最終
責任を持てない。教員に対する人事権も無く制度上問題が大きい。
・地方の貴重な一般財源である地方交付税は特別会計の借り入れ
が無ければ現在の6割の水準になる。歳出削減をするか、交付税の
財源である国税の増税をするか、地方税の増税をするしか方策は
無い。
現職の官僚として、無難にことを運ぶという、「伝統的な」役人
像からは、一歩も二歩もはみ出ているが、そういう役人が中には
いるということを、このような本を通して知ることができるとい
うことも、読書の楽しみ方ではある。
地方行政を目指そうとする人たちや、高校の「公民」の授業の副
読本としても有用な本である。
この課長のホームページも内容豊富で参考になる。
http://homepage3.nifty.com/zenshow/