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商品説明
青春18きっぷによる32歳6人のショートトリップ。行き先未定の同窓会。息苦しい日常から逸れていくように、元級友たちは普通列車に乗り込んだ。とりかえしのつかないことばかりが重なっていた−。『別冊文芸春秋』連載。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
西田 俊也
- 略歴
- 〈西田俊也〉1960年奈良県生まれ。著書に「オオサカンドリーム」「両手のなかの海」「もう起きちゃいかがと、わたしは歌う」など。
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紙の本
大人って何?
2005/01/19 10:48
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投稿者:権大納言 - この投稿者のレビュー一覧を見る
同窓会。それもただの同窓会ではない。行き先も解散場所も指定のない旅を、JRの普通列車なら一日乗り放題である青春18キップを使って行なう。
普段なら参加しない自分が参加したいと思うような同窓会とはなんだろう、という考えのもとに出た企画だった。
集合場所である、高校のあった駅の改札口に集まった六人は特に親しかったわけでもない。それぞれの現在の生活に悩みを抱えている連中ばかり。それでも誰もそんな気配は感じさせずに電車に乗りこみ出発する。
話はこれといった事件が起こるわけでも、驚きがあるわけでもない。昔の思い出や現在の様子などを織り交ぜつつ淡々と進められていく。だけど、どこか和むというか癒される部分がある。
主人公であるアメの夫が「そんなものに付き合うほど暇なやつはいない」という言葉があるが、これが答えだろう。
だからこそ、なのである。
確かに、大人になれば誰もが時間に追われ、仕事に追われ、目的のあることばかりをしている。しなくてはならない。だが、大人って何だろう?
アメの母が病床で「大人になるには…」と話す言葉が印象的だ。
ここでは、だからこそ、なんの目的もない旅を同窓生とすることで、学生時代の楽しかった時間、無駄な時間をもう一度過ごすことができる。そこで思い出すもの、得られるもの、逆になくすものはそれぞれである。
もし学生時代を懐かしみ、あのころは良かった、という気持ちになることがあったら読んでみて欲しい一冊である。