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江戸川乱歩全集 第14巻 新宝島 (光文社文庫)
新宝島~江戸川乱歩全集第14巻~
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収録作品一覧
新宝島 | 9-196 | |
---|---|---|
智恵の一太郎 | 197-334 | |
偉大なる夢 | 335-548 |
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紙の本
戦中期の、少年冒険物語
2004/03/21 23:04
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投稿者:けんいち - この投稿者のレビュー一覧を見る
表題作は、文字通りの冒険小説である。しかも、乱歩、自家薬籠中の少年もの、これは面白くないはずがない。ついつい、少年たちを応援してしまうし、次々と襲いかかるトラブルを、乗り越えていく勇気とと知恵には、手に汗握るスリリングな楽しさがある。
たたし、一方で考えておかなければならないのは、無人島という未開の地において、生活の基盤を作りながら、「やまと国」をたて、日の丸をかかげるということの、発表期=戦時下における、社会=世界史的な意味である。こうした読み方が、必ずしも正しくはないのだろうし、過度な政治意識なのかもしれないが、それは戦時下日本の「世界史の哲学」(アジア植民地化の正当性の物語)とも共振したものであることもまた確かである。
小説としての面白さと、歴史的な位置とをあわせ読めるところが、乱歩の面白さでもあり、読書の楽しみでもあるのだ。