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紙の本
城跡に実際にトレッキングでゆく
2006/02/25 18:46
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「神々に告ぐ」などで、知られる作家、安部竜太郎さんが、戦国時代の山城の跡を実際に訪ね書き上げた、ルポです。元々は、集英社のウェブで連載されていたみたいです。
副題にもなっていますが、戦国時代の山城というのは、信長や、秀吉以前の割と小さい石高の戦国大名が、統治かつ支配していた城で、信長、秀吉らに、滅ぼされた、且つ、戦国大名としては、旧勢力に分類される、武将たちの城を訪れることになります。
併載されている、お城の周りの図や、城の見取り図が、
大変判りやすくて、良いです。
どういう、軍事目的で、且つ、軍事戦略で、城が、建築されたのか
一目瞭然です。
出来れば、もう一枚周辺の大名の勢力図なんかも、欲しいところでしたが、まぁ、新書なので、いたしかたないのでしょうか。
又、安部さん独自の戦国時代の歴史観も披露されていて
大変興味深いです。
私も、先ほど、石高と上記しましたが、実は、石高だけでは、
図れない戦国大名の経済力と言うものに安部さんは、着目されていて、
信長も、実は、尾張中心の経済基盤を背景に持つ、海の民からの
富をなくして、語ることは、出来ないと、
とりあげている、武将と山城に、朝倉氏があるのですが、
信長が、太平洋側の黒潮ルートの貿易圏を代表する、武将だったとすると、
朝倉氏は日本海側の海洋貿易を代表する富を得た、武将で、
浅井・朝倉連合軍と信長との激突は、この日本海側と太平洋側の貿易圏
の争いでも、あったと、
しかも、この貿易圏は、只単に、日本海と太平洋というだけでなく、
日本海側は、中国・朝鮮を代表する東アジア中心の貿易で、
太平洋側は、ポルトガル、イスパニアを、中心とする西洋の貿易圏で、
つまり、世界の文化圏の代理戦争をも日本でしていたとも、とれるわけです。
この安部氏の論には、驚嘆かつ納得させられました。
この貿易から武将を語る証拠としては、
火縄銃があるのですが、日本では、火薬の材料が出ないそうです。
必然、銃の使用の度合いとこの火薬を得るための海外貿易は密接な関係にある
わけです。
小さな、山城から、世界も見えてくる新書でした。