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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2004.8
- 出版社: みすず書房
- サイズ:20cm/330p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-622-07096-0
- 国内送料無料
紙の本
82歳の日記
気鬱と闘いながら「少しずつ手放すこと」を学び、一方想念は時間も空間も越えて、少女時代あるいはサラエボにまで広がる。行間に独特のオプティミズムと率直さと勇気が滲む、メイ・サ...
82歳の日記
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商品説明
気鬱と闘いながら「少しずつ手放すこと」を学び、一方想念は時間も空間も越えて、少女時代あるいはサラエボにまで広がる。行間に独特のオプティミズムと率直さと勇気が滲む、メイ・サートンの最後の日記。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
メイ・サートン
- 略歴
- 〈サートン〉1912〜95年。ベルギー生まれ。4歳のときにアメリカに亡命。小説家・詩人。日記、自伝的作品も多い。著書に「独り居の日記」「今かくあれども」など。
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82歳でこの書評を目にする方はいるだろうか
2005/01/30 23:49
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:トーチエ - この投稿者のレビュー一覧を見る
たとえば小さいころには、24、5歳の女性ともなればそれは立派な大人であり「おばさん」だった。
だがその年齢になる頃には、自分が大人だとも「おばさん」だとも思えなかった。人生は何かとぐちゃぐちゃしていてまとまりがなく、いっそいろんなことをすっ飛ばして早く40歳ほどになってしまいたいと乱暴なことを考えた。
そして今、まだその年には至っていないが、勝手に想像していたほどに40代が落ち着いた安逸な時期でないことは見えてきた。では更に倍も年を取り、80代になったらどうだろうか。
「82歳の日記」の中でメイ・サートンは、自分の作品たちが正当に評価されないことを嘆き、生活を妨げる大雪や雨に心を曇らせ、愛猫の行動によってその日の気分を左右される。老いを迎え確実に衰えていく体に気を滅入らせ、うまくいかないことばかりと苛立つ。その姿は、結局のところいくつになっても悟りきり常に心平穏な時期などないのだと思わせる。
だが、そう思ったときに感じるのは失望ではない。むしろ人はどれほどの年月を経ようと人であって、それ以外の何かに変じることはないのだ、と感じて安心を覚えるのだ。勿論毎日が嫌な思いばかりではない、身近な人々の助けに素直に感謝し、花の美しさ、その香りを喜ぶ。愛猫ピエロの行動に一喜一憂する様も微笑ましい。
もし82歳の方がこの書評を読んだなら何を偉そうなことをと不愉快になるかもしれない。けれどまだその半ばにも満たない今に「82歳の日記」は、老いるということを嫌悪も恐怖もなく当たり前にいく道だと感じさせてくれる。