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- カテゴリ:小学生
- 発売日:2004/10/01
- 出版社: 国書刊行会
- サイズ:25cm/1冊
- 利用対象:小学生
- ISBN:4-336-04650-6
紙の本
チャールズ・アダムスのマザー・グース
「アダムス・ファミリー」の人気漫画家が独自の解釈とキャラクターで描いた面白不気味なマザー・グース絵本を、山口雅也がリズミカルな日本語に翻訳。巻末には「チャールズ・アダムス...
チャールズ・アダムスのマザー・グース
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商品説明
「アダムス・ファミリー」の人気漫画家が独自の解釈とキャラクターで描いた面白不気味なマザー・グース絵本を、山口雅也がリズミカルな日本語に翻訳。巻末には「チャールズ・アダムス・スクラップブック」を収録。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
チャールズ・アダムス
- 略歴
- 〈チャールズ・アダムス〉1912〜88年。ニュージャージー州生まれ。漫画家。50年以上に渡って『ニューヨーカー』誌に漫画を発表し、怪奇なキャラクター「アダムス・ファミリー」で人気を博す。
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紙の本
クセになる言葉のリズム感と不思議さ。
2004/12/26 23:26
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:るび - この投稿者のレビュー一覧を見る
マザーグースの不思議さを更に深めるチャールズ・アダムスさんの絵。リズミカルな翻訳も手伝って、何とも言えない雰囲気が漂っています。
絵本はお子さま向けのメルヘンな存在〜と思いこんでいるとしっぺ返しが来るような気がしますが、実は子ども達は、この本のような<ブラックユーモア>の世界は嫌いではありません。せがまれて何回も読んでいるうちに「ちっちゃな可愛いマフェットたん」の合唱となり、セントアイヴズに行った数を勘定しています。カラーとモノクロ、それぞれのページのバランスと配分も絶妙です。
収録作品の中で我が家のヒットは「ソロモン・グランディ」と「この家はジャックが建てた…」でした。今はまだ小さい子ども達、大きくなってから読み返すとまた違った不思議さを味わうことでしょう。
紙の本
マザー・グースの唄から空想の翼を羽ばたかせて。ウィットの利いた遊び心も楽しい一冊
2004/11/03 18:54
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:風(kaze) - この投稿者のレビュー一覧を見る
「ニューヨーカー」誌に1000以上の漫画が掲載され、代表作として「アダムス・ファミリー」シリーズが挙げられる米国の漫画家、チャールズ・アダムス。彼が1967年に、英国の民間伝承「マザー・グース」の唄に絵を描いて発表した本が、今回、山口雅也さんの訳によって日本で初めて刊行されました。それが本書、『チャールズ・アダムスのマザー・グース』です。
ある唄にはコミカルでユーモラスな、またある唄には不気味でブラックなと、眺めて楽しく、時にぞくっとさせられたチャールズ・アダムスの絵の数々。マザー・グースの不条理でダークな世界が、ウィットの利いた遊び心で表現されています。
塀の上のハンプティ・ダンプティが下に落っこちて、さてどんなことが起こったか?
丘の下にひっそり住んでるばあさんの周りで、果たして何が起きたのか?
バスケットに入って空に投げ挙げられたばあさんは、一体どこまで飛んで行ったのか?
マザー・グースの唄から自由に空想の翼を羽ばたかせ、時にはぴりりと諷刺の刃をきらめかせるチャールズ・アダムスの絵心。リズミカルに韻を踏んでゆく山口雅也さんの日本語訳と相俟って、これは素敵な魅力を湛えた一冊だなあと思いましたよ。
余談ですが、本書のまえがきに名前が出てくるクリストファー・モーリー、この本が世に出るきっかけを作った人ですが、彼のエピソードがエラリー・クイーンの『クイーン談話室』で紹介されています。そう言えばクイーンのミステリに、マザー・グースの童謡をモチーフにした作品がありましたっけ。山口雅也さんもきっとお好きだろう『靴に棲む老婆』。時を超えて結ばれる本と人との繋がり、見えない糸のようなものが感じられて、なんかいいなあと嬉しい気持ちになりました。
紙の本
チャールズ・アダムス恐怖と笑いの双面神(おすすめエッセイ)
2004/09/13 13:37
0人中、0人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:山口雅也 - この投稿者のレビュー一覧を見る
チャールズ・アダムスという人は、どういうわけか、日本ではまともに紹介されてこなかった。『ニューヨーカー』誌等で活躍し、独特のブラック・ユーモア漫画家として海外では不動の地位を得ているのに、日本では雑誌に数編が掲載されたのみで、アダムス単独の著書が刊行されたという話はついぞ聞いたことがない。映画『アダムス・ファミリー』がヒットしたときも、結局、彼のオリジナル作品集が出版されることはなかった。いっぽう、アダムスのようなユーモア味はないが、同じように恐怖と残酷を扱ったエドワード・ゴーリーの作品集は、近年続々と出版され、熱心なファンによって支持・再評価されている。
アダムスの漫画の特徴を一言で言うと、やはりブラック・ユーモアということになる。それはつまり、恐怖や残酷さ、悲惨さというような人間世界の暗い局面を《楽しみ》として捉え、明るく笑ってしまうという態度のことだ。アダムスの漫画では、そうした一見相反する、恐怖と笑いが、一齣の中に意外なかたちで結びついているのだ。
ローマ神話のヤヌス神は、門のところに立ち、外と内を見張るために二つの顔を持っているのだという。チャールズ・アダムスの漫画を見ていると、作者はまるでヤヌス神のように世界の門口に立ち、常に人間界の暗い面(恐怖)と明るい面(笑い)を見通していたのではないかと、思えてならない。
1967年刊の本書『チャールズ・アダムスのマザー・グース』は、タイトルが示すとおり、一冊まるまる《マザー・グース》を題材にした作品集となっている。
マザー・グースというのは、《ロンドン橋》や《ハンプティ・ダンプティ》の唄など、日本でもその多くが親しまれている、イギリスの民間伝承の童謡のことである。
グリム童話の例を引くまでもなく、こうした昔から親しまれている童話・童謡の類には、必ず、人間世界の暗い側面——恐怖や残酷さ、悲惨さなど——が含まれているし、また、何気ない日常に突然亀裂が入って、奇妙で不条理な世界に反転するというような展開もままある。そうしたダークなものどもを、ファンタジーの衣に包んで語ったり、明るい調子で唄ったりする——つまり、《楽しむ》という、マザー・グースの人間世界に対する意外な態度は、まさにチャールズ・アダムスのブラックな作風に通じるものではないか。アダムスがあえてマザー・グースのワン・テーマで作品集を描き上げたというのは、彼の作風を知る者にとっては、しごく納得のいくことなのである。
本書が、ひとりアダムスの代表作というだけでなく、数ある歴代のマザー・グース本の中でも、特別な地位を要求できる一編なのは間違いのないところだろう。本書をきっかけに、恐怖と笑いの双面神チャールズ・アダムスの異能が日本でも再評価され、その著作が続々と出版される日が来ることを、一ファンとして願ってやまない。