紙の本
日本も早く機密保護法と情報機関の設立を!
2004/10/30 15:42
7人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
日本人ほど情報という言葉が好きで、その分析のレベルが低い
国もないという江畑さんの指摘は胸に刺さる。情報が必要、
情報が大事という掛け声はくさるほどある。しかし情報分析と
いう地道で地味な作業に価値を見出す経営者、政治家は日本に
多くない。そもそも日本にはスパイ防止法も国家機密保護法も
存在しない。情報管理がいい加減で事実上のダダ漏れ状態なのだ。
これじゃあアメリカも重要情報の伝達に二の足を踏んで当然だ。
日本のような大国で情報機関を持たない国も珍しい。英国は
もちろんフランスもドイツもみんな国家が専門の情報機関を
もっている。どうして日本にはそれがないのか。今後とも
未来永劫アメリカにおんぶにだっこのぶら下がり健康法を決め
こむつもりでいるのか。対米従属を批判する声は喧しいが、
それならアメリカの力を借りず自分の二本の足だけでたつ用意
はあるのか。このあたりの甘ったれた思考を克服できるまで
日本の真の独立はないであろう。
最後に国家が必要とする情報の99%は公開された情報の
分析で取得することが可能だという指摘は覚えて置いていい。
日本人は情報機関というとすぐ、007ばりのスパイ組織を
連想してばかりいる手合いが多いが、実は諜報機関の人員の
大半は公開されたメディア情報の読み込みをやっている地味な
資料ハンター達なんだということも知っておいたほうがいい。
反米ナショナリズムに堕することなく、日本の本当の意味での
自立を考えるにあたっての必読の書といえるだろう。
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日本という国は「平和国家」を標榜している国でありながら、自国の平和を守ると言うことに関して自虐的に無神経です。現在の安部政権は日本版NSCを創設しようと頑張っていますが、国の安全保障政策を支えるには対外情報の収集が必要です。そうした情報と国家の関係を簡便に学べるのがこの本です。
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タイトルよりも副題の方がこの本をよく表していると思います。イラク戦争に向かったアメリカが陥った落とし穴についての話といってもよいかもしれません。
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Intelligenceについて書かれているが、具体例と理論が混在しているので整理して読む必要がある。但し、きちんと整理していけば非常に得るものが多いだろう
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「情報の80~95%は公刊情報から得られると言われる。新聞、雑誌、研究論文などを読み、あるいは東側のラジオやテレビ放送を聞いて、そこに盛り込まれている情報から「変化」を探り出す。」
そうやって情報収集をしてるのかー、勉強になりました。
情報は満ち溢れているから、そこから得られることは多い。但し、落とし穴にはまってはならない。そのためには注意深い処理・分析・評価が必要である。
P.6
現代は、情報があまりに多い為に処理しきれず、あるいは色々な情報に左右され、判断が遅れ、そのため行動の決断も遅れて時期を逸するという危険が多くなった。この問題のさらに一歩手前にある落とし穴として、情報を集めるだけで満足してしまい、それを処理・活用しないという、人間が一般に持つ特徴がある。
情報はそれを
処理(必要な情報とそうでないものに分ける)し、分析(その情報がどれだけ確からしいか、何を伝えているのかを客観的に把握する)し、評価(そこから何が読み取れるのかを判断し、これからどうなるかを予測する)し、それに基づいての行動の決定を行わなければ活用されたとは言えない。
P.7
先入観なく、客観的に物事を見ると言うことは、一見簡単なようだが、実は情報の収集、処理、分析、評価の過程で一番危険な落とし穴である。
P.11
情報に対しては、受け手側が最大限常識を働かせて、情報の真偽、あるいは確からしさを分析、評価する必要がある。
その常識とは、政治、経済、軍事、科学、技術、さらには人間の行動における常識などだが、時として、かなりの専門知識が要求される場合もある。
P.231
常識を働かせれば、かなりな程度は情報の真偽の判断が可能であり、間違いを犯す危険性が少ないのは事実である。が、また常識では推測、判断ができない事例が存在するのも事実である。
我々はどうしても、自分の世界の常識から物事を評価、判断せねばならない。常識から外れてしまったら、そこには理論や合理性が無くなってしまう。このような非常識的な行為に備える為には、できるだけ信頼性が高い情報を多く集め、その情報に対して自分の価値観にとらわれず、清の科学性、すなわち客観性を持って分析、評価するしかない。
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複数の情報収集主題で得られた情報(データ)を水平に統合して解析を行う方法を「マルチ・インテリジェンス」という。
信号情報収集=SIGINT
あるテロリストが常用している自動車のエンジンから放射される電磁波信号の特性が分かっていれば、その電磁波を追放することで、どこを動いているかを把握できる。
2001年10月からのアフガニスタンにおけるタリバンとアル・カイダ掃討作戦では、SIGINTが前例を見ぬ規模で多用されている。
公刊情報からある国の情報機関による情報収集分析活動を開始できる。安全保障において、こうした公刊情報は大量破壊兵器の拡散だけでなく、テロリズム、国際犯罪組織、麻薬、危機の予測と対応、人道支援と介入などの分野において大きな力を発揮できる。
情報分析官は固有の専門性を持っていて、イランの核開発を追跡し、分析してきた人間が、いきなりインドの核開発分野に移行するのは難しい。それまでの情報と情報解析に要する経験の蓄積が必要だからである。
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無数にあるデータを取り出し、有用か否か、有用ならばどの方面に使えるのか十分に考慮する。データの取り扱いにおいては選定と吟味を怠ってはならない。
という話。正直特別目新しいものではない。「information」と「inteligence」は別物である、ということを改めて認識出来たのは良かったが、それ以外は「情報」と一口に言っても「information」と「inteligence」は別物ですよ、を繰り返し述べているに留まっていた感じである。国家の動向にそれがどう用いられたのか/用いられず失敗したのか、の具体例をもう少し突っ込んで書いて欲しかった。後半の弾道ロケットについての話はそれほどページを割くべきではなかったと思う。
「思い込み」と「結果ありきでデータを扱う」ことが数々の失敗を生み出すというのはおっかないことだけど、逆を言えば、人間は人間である以上、この間違いからは逃れられないのかな、とも思ったり。
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江畑本二冊目。情報に焦点をあてる。
情報過多の中で陥りがちな落とし穴、例えば希望的観測から情報を選り好みしてしまいがちなこと、独裁国家ではイエスマンに囲まれて
イラク戦争開戦に反対した独仏でさえイラクに大量破壊兵器があり見つかるのは時間の問題としていたことは知らなかった。それにイラクの航空兵力の運用の素人っぷりや
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[ 内容 ]
エシェロン、情報衛星、産業スパイ、マルチ・インテリジェンス。
アメリカはなぜイラクを読み違えたのか。
[ 目次 ]
第1章 氾濫する情報の落とし穴(「情報」という言葉の落とし穴 共産圏公刊情報のモニター ラヂオプレスの役割 ほか)
第2章 情報収集・分析・評価の落とし穴(世界が疑わなかったイラクの生物・化学兵器保有 落とし穴に落ちた米英の情報機関
イラクの大量破壊兵器を巡る危機感の相違 ほか)
第3章 情報の落とし穴に落ちないために(米英からの情報をそのまま信じたデンマーク情報小国が「だまされない」ためには 北朝鮮弾道ミサイル保有の意図と命中精度 ほか)
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ]
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軍事面から見た「情報」の意味について。
・収集、分析、評価することにより、公刊情報だけでも有効な情報は得られる。
・日本では「インフォメーション」と「インテリジェント」の区別がなされていない。
・客観的に評価する難しさ。結論ありきでの評価、先入観があった場合、組織間での競争、上司からの評価に左右される。
まず「インフォメーション」と「インテリジェンス」の違いの説明をし、情報収集の方法にどういったものがあるのか(衛星写真を詳しく説明)、分析、評価をする際の失敗例(米英のイラク戦争の理由がいかに根拠のないものだったか)を挙げる。
私が題名に期待し過ぎたのだろうと思います。イラク戦争の話しは初めて知ったこともあり、面白かったですが。概論的なものだと思って読みましたが、かなり各論。インテリジェンスの意味や全体像を掴むのには不足。
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情報とは何か?
イラク戦争とはなんだったのか?
反米思想や嫌米思想が生み出す陰謀論が渦巻く中で、何故アメリカが戦争したかという単純な理由をネオコンやユダヤ人、イスラム教もキリスト教も持ち出さずに情報戦という観点からイラク戦争を説明する本。
また、日本語ではただ一言「情報」であるが英語では「情報」は「Data、information、intelligence」に分類される。
この違いが分かるようになる本。
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情報の収集と分析なんて聞くと、短絡的にスパイを思い浮かべてしまう
単純な頭の持ち主である。そして、スパイと言えば、あの手この手で
機密情報を探り出す格好いい存在…なんていうのは映画や小説の
仲だけのお話。
既存メディアやインターネットには多くの情報が溢れている。そんな
情報の洪水の中から、必要な情報を集めるだけで、様々な角度から
分析が可能であると説くのが本書である。
そして、そうして集めて分析した情報も扱うのが人間である限り、
落とし穴がある。
自分が知りたいと思う情報に目を奪われる。そうなってしまうと、
本当に大事な部分を見落としてしまうのだ。
うん、あるよね。見たいものしか見ないっていう人間の悪い癖。そんで
都合の悪いことはなかったことにしちゃうの。
これが個人の問題ならいいのだけれど、国家となると大問題だ。
本書でも取り上げられているイラク戦争の際のフセインの大量破壊兵器
問題なんていい例だ。
どうしてもフセイン大統領を倒したかったアメリカ・イギリスのミス・
リードに乗っかって、最終的には「アメリカとイギリスに騙されたっ!」
と大騒ぎしたデンマークみたいになったら目も当てられない。
情報操作関係の類書でも本書と同じような内容は書かれているが、興味
深かったのは衛星写真のお話。
「これが兵器工場の証拠です」と提示されても実際の撮影状況は不明
だから、発表者の意図でいかようにも利用出来ちゃう。
おぉ、これは騙され易いぞ。映像の方が信じやすいと書かれていたが、
正にその通りだな。
著者の江畑氏は2009年に亡くなっている。分かり易く戦争や戦術、
武器について解説してくれる軍事評論家だった。残念。
あ、イラク戦争の解説書としても役に立ちます。