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紙の本
原子力報道から目をそらすな!
2007/11/18 10:20
13人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:塩津計 - この投稿者のレビュー一覧を見る
なかなかの良書である。著者は読売新聞科学部に在籍し、原子力を担当し続けてきた人である。科学部とは、新聞社の中でも特異なところで、特ダネ、特ダネと東奔西走する新聞社の中で、「科学的に正しい記事」を書くことを使命とする部署なんだそうな。でも、こういう部署があるからこそ、ポピュリズムに走りデマゴーグのお先棒を担ぎがちな日本の報道機関をかろうじて崩壊から救っているようにも読める。以下、「ほう」と思った箇所のさわりを。
【広瀬隆というデマゴーグ】
広瀬隆という人をご存知だろうが。こいつはどうも胡散臭い情報を無責任に垂れ流すデマゴーグであるようだ。最初に私がこの人の存在をしったのはコメディアンの松尾貴史が彼のモノマネをしていたからだ。憂鬱なネクラ顔にメークした松尾は「そんなこと言っているとドカンですよ」「ドッカーン」と連呼しては広瀬を茶化していた。本書を読むまで、これが広瀬の出世作『危険な話』で世に出て、「朝まで生テレビ」等の番組に出まくっては原発の恐怖を煽りまくり、やがてその論拠に重大な瑕疵があることを科学者に指摘され、最後は世間の笑いものにされたことを背景としたギャグだったということはしらなんだ。それにしても皮肉なのは、デマゴーグ広瀬をあたかも「真実の人」のように取り上げ祭り上げるマスコミとそれに連動する「反原発運動屋」たちの前に、電力会社、原発推進派が沈黙を余儀なくされる中で、日本共産党系列の「日本科学者会議原子力問題研究会(中島篤之助委員長)」が広瀬の本を取り上げ「内容に誤りが多い」「いたずらに人を不安に陥れようというものだ」と批判したことが契機となって、アブナイ「ヒロセタカシ現象」に終止符が打たれたことは発見であった。広瀬は最近ロスチャイルドだの持丸長者だのと、世の中の金持ち・支配構造について書いているようだが、まあ、読み手のリタラシーが試される内容である見て間違いないだろう。
【かわいそうなドイツ】
日本は対米従属という政治的選択肢を行なった結果、原子力発電所は建設できるは、核再処理工場は持てるは、プルトニウムは持てるは、液体燃料式及び固体燃料式大陸間弾道弾もとい宇宙開発用ロケットは持てるは、いよいよジェットエンジン開発にも大々的に乗り出すはで着々と軍事技術もとい先端技術を蓄積することを許されているが、欧州連合という政治的選択を行なったドイツは、米国から常に猜疑心をもって見られ、隣国フランスからも常に嫌がらせを受けて、いまだに大陸間弾道弾もとい宇宙開発用ロケットももてないし、航空機産業も肝腎なところは全部フランス英国に押さえられっぱなしというミジメな状況にあるとは思わなかった。ドイツでは反原子力団体「緑の党」の勢いが、周辺国に比べると盛んだが、その背後に「ドイツに核を持たせない」というアメリカの意図が働いていたとは。それに比べると日本はラッキーだった。中国ソ連との対抗上、アメリカべったりの日本にはこれくらいは許してやろうということで、ロケットも原子力発電も核再処理も全部持てるようになったのだから。日本というのは、ことこうした軍事技術もとい科学技術については結構したたかな外交を展開したと知り納得。原田武夫流に考えるならば、日本の反原子力団体、市民運動家たちこそ「アメリカの手先」ということになる。今後、こういう視点で彼らを眺めてみると、新しい水平線が見えてくるかもしれない。
【常に日本の原子力開発に邪魔をいれてきたアメリカ】
食料を支配しエネルギーを支配しようと策をめぐらす世界最大の軍事大国アメリカ。世界を支配し統治することのストレスは相当なもので、その心境や察するに余りあるが、同盟国アメリカは常に日本に対し猜疑の目を向け、日本の軍事力拡大に待ったをかけてきた存在でもあるのだ。とりわけ日本封じ込めに熱心なのが民主党であることを忘れてはならない(日本に対して警戒心をあらわにする連中に限って、なぜか中国には大アマで、なんか中国にロマンを感じている節があることも要注意)。
現在世界で稼動している原子炉の数は約440で、それは近々570まで増え、更にこれが2030年までには790まで増えるという。日本の報道機関の垂れ流す大衆迎合的ポピュリズム報道だけ見ていると、世界は一貫して反原発に動いているかに見えるが、留まるところを知らない原油高が続く中で、地球環境に優しいクリーンな原子力に世界が大きく舵を切り始めていることは、この際、諸君も知っておいた方がいいだろう。