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紙の本
イギリスの情報外交 インテリジェンスとは何か (PHP新書)
著者 小谷 賢 (著)
〔「日英インテリジェンス戦史」(ハヤカワ文庫 NF 2019年刊)に改題,大幅な加筆修正〕【「TRC MARC」の商品解説】
イギリスの情報外交 インテリジェンスとは何か (PHP新書)
イギリスの情報外交
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紙の本
史実から情報の重要性を喚起する!
2005/01/04 21:17
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:濱田英毅 - この投稿者のレビュー一覧を見る
外交に長けている国はどこか?というと、ほとんどの人はイギリスとタイを想起するだろう。それに比べて日本は…。おそらく著者も、このような慨嘆にも似た考えを共にしているのだろう。本書のタイトルは『イギリスの情報外交』となっているが、純然たるイギリス外交史の本ではない。むしろ、イギリス外交の名を借りた、日本外交の失敗の研究である。1940〜41年の日英外交を検討することで、イギリス外交の巧さは「情報力」にあることを実証し、対して日本外交には「情報」意識の足らなかったことを指摘する。それは見る人によっては、現在の日本外交に対する警世の書のようにも映る。
イギリス外交の本質が「情報収集力」と「情報活用力」にあったことを簡潔に鮮やかに実証していく本書であるが、情報の使い方によっては外交的に大失敗を引き起こすという事例についても、いくつかあげている。たとえば「1942年2月極東危機」である。1942年2月をもって、日本軍がイギリスに対して戦争を始めるという情報で、当時イギリスでは確信的に報じられていた。しかしこれは、極東の情報収集が偏ってしまった結果起こった、イギリスの幻想に過ぎなかったのである。情報は重要であるが、情報を過信するな、と本書は教えてくれる。