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商品説明
田中角栄、中曽根康弘、小淵恵三、野中広務…。実力者たちの謀略と愛憎の渦の中を自民党最後の闘将はどう生き抜いたのか。梶山静六を中心に、一時代を画した田中・竹下派、日本政治の息遣い、さらに政治家の生き方を描く。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
田崎 史郎
- 略歴
- 〈田崎史郎〉1950年福井県生まれ。中央大学法学部法律学科卒業。時事通信社入社。政治部次長、編集委員などを経て現在、時事通信社解説委員。著書に「竹下派死闘の七十日」など。
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紙の本
旧き”悪き”時代の自民党政治
2005/11/28 04:18
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
歴代自民党総裁はただ一人を除いて必ず日本の総理大臣となった。自民党の中の権力争いとは,とりもなおさず日本という国の首相の座をめぐる闘いであった。
そして,かつては,その争いにおいて最大の威力を発揮するのが“数の力”であり,最大派閥の長あるいは最大派閥の推す者が圧倒的有利に総裁争いを闘ってきた。それゆえ派閥の長は数を保つために,自民党有力者間には大きな金と裏取り引きが行きかった。
近年,さすがの世間もこの常識はずれな金額と,国政を私物化する裏取り引きに注意が向くようになり,政治資金に関する規制なども少しは制度化されるようになった。その結果登場したのが,現在の自民党総裁である小泉総理大臣である。彼は新しくなった自民党総裁選の規程を巧みに利用した。自民党代議士よりむしろ一般の自民党員の気を引く選挙戦を展開し,多くの一般党員の票を勝ち取ることにより総裁の座を手に入れた。
小泉人気を形作る“わかりやすさ”というものの実態のなさ,空虚さを考えた時,彼の支持率の高さには疑問符をつけざるを得ないが,かつて自民党の持っていた外には見えない暗い部分に,少しは透明感を与えたことは評価されてもいい。この流れは今後も変わらないのではなかろうか。
そういう意味では,本書の主人公である梶山静六は,野中広務や小沢一郎とともに,“旧き昔の自民党”らしさを持つ最後の政治家であった。
最も顕著に示されたこの人のイメージは,「凡人,軍人,変人のうちの“軍人”」であろう。これは,小渕,梶山,小泉3氏が総裁選を争った際,田中真紀子が3氏に対して向けた言葉である。実直で古風な人柄がよく示されている。
自民党結党以来50年間で,党と内閣のそれぞれの顔である官房長官・党幹事長の両方を勤めたものは次の10人だそうである。橋本登美三郎,大平正芳,二階堂進,田中六助,竹下登,安倍晋太郎,小渕恵三,梶山静六,加藤紘一,野中広務。
歴代首相経験者ほどの知名度はないが,梶山静六は田中六助や野中広務などと並んで,まちがいなくある時代の政局の中心に位置する人物であった。