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紙の本
文化の違いも見えてくる楽しいパンマル入門書
2005/02/15 11:35
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:sheep - この投稿者のレビュー一覧を見る
韓国語を勉強しようと考えたのは遠い昔、刊行直後に求めた小学館朝鮮語辞典もいまだに新品同様。最近の韓流ブームに誘われ、関連する本を何冊か読んでみた中で本書は興味深かった。
こまおから始まり、こんぐにじ、まで、パンマル、韓国語の「ためぐち」を紹介した本だ。
ハングルなしの画期的入門書、とあり、本文中に一切ハングル表記はない。発音はカタカナでもなければハングル文字でもなく、すべてひらがな表記されている。ただハングル文字に関心がある方も心配ご無用。巻末に日本語の順で配列した「ためぐち」のハングル表記リストがある。
巻頭にある通り、誰彼の区別なく、くだけた表現を使うということは、礼節をもって理とする韓国ではもっとも避けるべきことだ。しかし、また、いつまでもよそよそしい言葉遣いしか口にしないでいるならば、同世代の人々はけっして心を割って話しかけてくれないのも事実だろう。
韓国語入門書「韓国語はじめの一歩」には、パンマルで傷害事件に至った話がある。言い争いから暴力沙汰に至ったのだ。警察に拘束された本人、こう供述している。
「蒸し暑い天気に癇癪を起こしていたところへ、初めて見る人たちが『雨が降らねえ』とぞんざいな言葉で話しかけてきたので、自分でもわからないうちに拳が出ていった」と。「まこと、見知らぬ人に「パンマル」を使うのは、命知らずの無謀な行為であります。」とその著者は言う。
また「韓国語のスラング表現」という本では、「映画、ドラマ、音楽が楽しめる!」という副題で、「聞き取れる」ことはアピールしているが、積極的使用を薦める様子はない。更に「例文」が使える年齢層をおおまかに分け、アイコンで一々区別している。
「ためぐち」の使い方は難しい。
さて本書巻頭にはオクスフォード大を出たイギリス人の話がある。激論をかわしていて、著者に「お前はまったくわかっていないよ!」といわれた会話を決して忘れない、というのだ。日本人どうしが「お前」と呼ぶあいだ、「お前」と呼ばれない自分が置き去りにされているような気がしていた。これで日本人とのコミュニケーションにおいて一歩次の段階に進むことができたと思うとうれしかったと。わかる気がする。
扱われている「ためぐち」は様々だ。
第一章「さあ声をかけよう」で、基本的な挨拶のパンマル。
第二章「いつだって男と女」で、異性についての表現。
第四章「飲んだり食ったり」では、食事時の表現、といった調子で、
全九章にわたり、場面別表現がまとめられている。
どの項目にも、言葉そのものの説明のみならず、それを通して文化の違いが見える解説がある。韓国滞在の経験を持つ映画の先生と、韓国語に詳しい女性が、一つのパンマルに見開き二ページでそれぞれ解説を書いている。この二人の解説・語り口の違いがまた面白い。そもそも彼の『ソウルの風景-記憶と変貌』が面白かったので、本書を手にしたのだった。卑語猥語も、思わず吹き出してしまう愉快なエピソードもある。興味深い解説のおかげで、あっという間に読み終えた。続編が読みたいくらいだ。楽しいところがなければ語学学習は続けられまい。
「いつか、どれか使って反応をみたいもの」と向学心をそそられる楽しい「ためぐち」入門書だ。
会話ができるレベルに到達する自信も、観光に出かける予定もないので、せめて映画をと「パッチギ」を見た。感想は「あいごう!」(まいったなー)、「ちゃんいや!」(サイコーだよ)。
「パンマル」、映画のように周囲の状況が見えるメディアを通して学ぶの早道かも知れない。