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商品説明
ニッポンの60歳代は何を考え、どのように生きているのか。温かく、そしてシャープな視点から多くの例を紹介して話題を集めた『朝日新聞』家庭面連載のルポに大幅加筆して単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
久田 恵
- 略歴
- 〈久田恵〉1947年室蘭市生まれ。「フィリッピーナを愛した男たち」で第21回大宅壮一ノンフィクション賞を受賞。著書に「ニッポン貧困最前線」「母のいる場所〜シルバーヴィラ向山物語〜」等がある。
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紙の本
寂しき60代
2005/02/15 15:31
1人中、1人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:碑文谷 次郎 - この投稿者のレビュー一覧を見る
60代を迎えたごく普通の男女が形作る44組の夫婦、親子の相克に切り込み、お互いが相手に抱く心の暗闇を抉り出すようなルポである。
例えば、60歳を過ぎた妻は、「お願い、あなたは先にひとりで逝って」というタイトルから容易に推察できるように、夫が早々に死んでくれることを密かに祈念する。また別の60代妻は、長年の夫の浮気に苦しみ、耐えながら「あのときから慰謝料を自分で稼いでいたのよ」と最後の復讐を遂げる。
60代という人生の黄昏時に、それまで寄り添うように生きてきたはずだった相手のひんやりとした心底に触れることは、なんという恐怖であり虚しさだろう。それでもルポは、「あなたは一人で老人ホームに入ってください」「一人で食べるホカ弁も悪くない」「本当の自分を取り戻さなければ」…と、これでもかこれでもかとそれぞれの定年後の確執を暴き出す。読者はこれらの事例から、各自の夫婦関係・親子関係の絶対性を直視することになるだろう。
軽快な装丁であるが、読後ズシリと重さが響く。これから共同生活を始めようとする人たちにこそお薦めしたい一冊。