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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2005.2
- 出版社: 影書房
- サイズ:19cm/169p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-87714-327-0
紙の本
教養の再生のために 危機の時代の想像力 東京経済大学21世紀教養プログラム発足記念講演会
著者 加藤 周一 (著),ノーマ・フィールド (著),徐 京植 (著)
戦争が絶えず、シニシズムが蔓延し、知性や理性、道徳性への信頼が脅かされている現代をいかに生きるべきか。その指針となる「教養」の再生を3人の識者が論じる。【「TRC MAR...
教養の再生のために 危機の時代の想像力 東京経済大学21世紀教養プログラム発足記念講演会
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商品説明
戦争が絶えず、シニシズムが蔓延し、知性や理性、道徳性への信頼が脅かされている現代をいかに生きるべきか。その指針となる「教養」の再生を3人の識者が論じる。【「TRC MARC」の商品解説】
収録作品一覧
いまなぜ「教養」か | 徐京植 述 | 9-25 |
---|---|---|
教養とは何か | 加藤周一 述 | 29-47 |
戦争と教養 | ノーマ・フィールド 述 | 48-65 |
著者紹介
加藤 周一
- 略歴
- 〈加藤周一〉1919年東京生まれ。医学博士、評論家、作家。著書に「羊の歌」「日本文学史序説」など。
〈フィールド〉1947年東京生まれ。米・シカゴ大学教員。著書に「天皇の逝く国で」など。
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紙の本
有意義な生き方をするための教養とは
2005/04/24 05:33
6人中、6人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:未来自由 - この投稿者のレビュー一覧を見る
教養とは何か。そんなことを問う学問があるとは想像もしなかった。本書は、東京経済大学21世紀教養プログラム発足記念講演会の記録を中心に、教養とは何か、教養がなぜ必要かを問う。
「現代において『教養』は万人に開かれたものであり、また、現代を生きる万人が自らの『教養』を拠り所としてより良い社会を実現していくことに責任を負っている」(徐京植)。
本書で言う「教養」という概念が広すぎるため、わかりにくい面がある。人間の知性や理性を含んだものと考えながら、東京大学教養学部の「知の三部作」を思い浮かべた。
しかし、本書でいう「教養」は、もっと深く人間の生き方に迫ろうとするものである。
加藤周一の「自由」とは何かを問いながら、人の生き方を問う視点に惹き込まれた。
また、シカゴ大学のノーマ・フィールドの「戦争と教養」の講演にも心惹かれるものがある。
「私たち一人一人が有意義な生涯を送ることができるような社会を目指すことが教養本来の意味ではないかと思います。その前提としてまずは戦争、それから貧困をなくさなくてはならない」「そういう理想に対する執念を作り出すことがそもそも教養の役割でもあるはずです」
「正義の到来を信じることができなくなってしまった私たち、またそのかけらすら体験したことがない私たちはそれを希求する力さえ失いかけているのではないでしょうか」
この9・11以降のアメリカの思考状態をふまえたうえでの発言に、ノーマ・フィールドの危機感と何とかしなければならないとの情熱を感じることができた。
三人の「教養」への危機感と、「教養」をこれからどうつくっていくかという想いが溢れた書に仕上がっている。しかし、同じことの説明の繰り返しの部分が多く、重複しているとの印象を受けた。
そして、生きることへの能動性の視点が弱いことに、不満を感じる。徐京植講演の最後は、こう結ばれている。
「この社会の破滅を一分でも二分でも遅らせるために努力しなければにらない時代、それが現代ではないかと私は思います」
これはいただけない。破滅をまねかないために、私たち一人一人が、どう考え、どう行動するのか、そんな生き方を学ぶための「教養」を、あなた達(著者)は訴えようとしたのではないのか!
なのに結論がこれでは、あまりにも情けなさすぎる! 意見を請う!