「honto 本の通販ストア」サービス終了及び外部通販ストア連携開始のお知らせ
詳細はこちらをご確認ください。
このセットに含まれる商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
商品説明
夫との冷えきった関係をもてあまし、官能小説を書き始めた新進作家の結城霞は、あるパーティーでベテラン画家の神城鴻と出会い魅かれ合う。移ろいゆく季節の中、大人の男女のせつない性愛の日々が美しく燃え散るまでを描く…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
藍川 京
- 略歴
- 〈藍川京〉熊本県生まれ。福岡女子高校卒業後、現代文芸研究所の田端信に小説の指導を受ける。作家。著書に「鬼の棲む館」「蜜の狩人」他多数。
あわせて読みたい本
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
この著者・アーティストの他の商品
前へ戻る
- 対象はありません
次に進む
紙の本
火と氷の入り交じった女-夫と妻の官能講座
2005/07/03 17:19
8人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:黒木太郎・花子 - この投稿者のレビュー一覧を見る
夫 妻と一緒に官能小説を読んでみるというのもどこか心ときめくものがある。今回は藍川京さんの『たまゆら』。
妻 この物語の主人公の霞は四十歳手前の新人官能小説家という設定で、作者の藍川さんご自身が気鋭の女流官能小説家だから、
すごくリアルな感じがするわね。きっと藍川さんも主人公の霞のように今最も仕事に熱中しているんじゃないかしら。
夫 まあ全てが自分の経験ということではないだろうけどね。でも、主人公の霞という女性はいい女だよな。
妻 活字でわかるものなの、いい女かどうかなんて。
夫 そりゃあわかるさ。文章で描かれた女性が想像できないと官能小説としては失格だよ。藍川さんはさすがにいい書き手で、霞を巧く描いている。背筋が伸びたいい女だよ。普通の生活の場面でそうだから、官能の場面がよけいに活きてくる。
妻 そんないい女の霞も夫婦生活は可哀想ね。性生活もなく、自分の仕事にも夫は理解を示さなくて。
夫 その不満が新しい恋を生むっていう訳さ。
妻 ここで、霞の恋人になる挿絵画家の神城の登場ね。登場した時は五十三歳。でも、若々しい感じで描かれていたわ。
夫 あまり野暮ったいと霞とのバランスがとれないからね。いくら霞が愛や性を渇望していたとしても付き合いたいと思わせるものが男にもないと。でも、この神城がどんどん惨めに描かれていくのは、男の読み手としてもつらいところだね。
妻 直接的じゃなくても霞に結婚を迫ったり、性の交わりがワンパターンだったり。とにかくうじうじしてるのよね。普通霞のようにいい女と付き合っていたらもっと溌剌としてきてもいいはずなのに。あれじゃあ、霞もつらいわよね。
夫 愛し合っていた二人がそうやっていつしかお互いを理解しえなくなっていくわけだ。でも、くどいようだけど神城の描き方はどうも酷すぎないか。
妻 未練を引き摺るのはやはり男性の方じゃないかしら。あまり引き摺れば神城のように醜くなってしまうのよ。女性はその点もっとドライなのよ。神城は霞のことを「火と氷の入り交じった女」って言ってたけど、情熱と冷静をあわせもっているのは女性全般にいえることじゃないかしら。そういうことも含めて女流官能作家としての藍川京さんの宣戦布告みたいな作品だわ。