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商品説明
日本をダメにしたのは本当に「公務員」なのか? 財政赤字は本当に公務員のせいなのか? 彼らをリストラすれば問題は解決するのか? 吹き荒れる「役人天国」批判に、公務員の現場からあえて物申す!【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
中野 雅至
- 略歴
- 〈中野雅至〉1964年奈良県生まれ。同志社大学文学部英文学科卒業。厚生労働省大臣官房国際課課長補佐等を経て、現在、兵庫県立大学大学院応用情報科学研究科助教授。
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紙の本
増税する前に公務員を削減しろ、は完全な錯誤である。
2005/07/29 14:28
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:越知 - この投稿者のレビュー一覧を見る
国庫が大赤字の日本。増税が迫っている。増税は誰でも嫌である。そこでマスコミはどうしたか? 公務員バッシングである。増税するならまず公務員の数を減らせ、公務員の給与を削減しろ、とのたまうのである。例えば、7月28日付け産経新聞のコラムでさかもと未明がそういう主旨の主張を行っている。(たまたま目に付いたから挙げたので、さかもと未明や産経新聞に特段のうらみがあるわけではありません。念のため。)
この主張は正しいだろうか? 否。100パーセント間違いである。
そもそも、なぜ日本の国庫は大赤字なのだろうか? 赤字国債を濫発したからである。ではなぜ赤字国債を濫発したのか? (無駄な)公共事業を行って、日本国民に仕事を与え、そのふところがうるおうようにということで濫発したのである。つまり、公務員のふところをうるおわせるため、或いは公務員の私腹を肥やすために濫発したのではない。
しかし、と言う人もいるだろう。それで国庫が大赤字になるなら、濫発を止めればよかったじゃないか。そのとおりである。止めなかった責任は、では誰にあるのか? これまた公務員ではない。政治家である。政治家が無駄な公共事業をするために赤字国債を濫発するような政策をとってきたのであり、またそういう政治家を日本国民は選んでしまってきたのだ。要するに、最終的にはそういう政治家に票を投じてきた日本国民に増税の責任はあるのだ。
『はめられた公務員』は、このきわめて当たり前の事実を明らかにするとともに、増税を嫌う国民に迎合して公務員バッシングをするのみで真の責任追及を放棄しているマスコミをも批判している書物である。一言で言って、きわめて勇気ある書物なのだ。
論より証拠。公務員を削減しろとおっしゃる日本人は、そもそも日本の公務員比率が国際的に見て高いか低いかご存じだろうか? この本を読めば分かるが、人口千人当たりの公務員数(中央・地方を合わせて)は、資本主義国ながら社会主義的色彩の濃いフランスで96人、最も資本主義的で自己責任主義の国とイメージされがちな米国ですら80人なのに対し、日本では35人しかいない。
一方、税金と社会保障負担金を合わせた国民負担率で行くと、フランスは64%、米国と日本は35%である。つまり、今の日本は税金も安いし公務員数も少ないのであって、国民負担率と公務員比率の日米の数字を比べれば分かるように、日本の公務員は頑張って仕事をしていると言えるのである。
公務員でない人には、こういう数字はなかなか受け入れがたいものかも知れない。しかし、事実を冷静に見てものを言うことは、民主主義の基本であるはずなのだ。