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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2005.12
- 出版社: 扶桑社
- サイズ:20cm/446p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-594-05076-X
紙の本
「塩」の世界史 歴史を動かした、小さな粒
【ジェームズ・バード賞】ローマ帝国では塩は民主制・人民の権利の象徴となった。インド独立運動は塩をめぐる争いから始まった。塩が、人間の文化・社会・政治・宗教・経済・戦争・食...
「塩」の世界史 歴史を動かした、小さな粒
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商品説明
【ジェームズ・バード賞】ローマ帝国では塩は民主制・人民の権利の象徴となった。インド独立運動は塩をめぐる争いから始まった。塩が、人間の文化・社会・政治・宗教・経済・戦争・食生活をいかに変えたかを、エピソード満載で描くノンフィクション。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
マーク・カーランスキー
- 略歴
- 〈マーク・カーランスキー〉米国コネティカット州生まれ。歴史と食物を中心に作家活動を展開。
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紙の本
生きるのに必須な成分だけではなく、食料保存等で重要な役割を果たしてきた塩を通して歴史を振り返ると、実に面白い話が沢山出てくる
2011/05/22 01:13
4人中、4人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:Skywriter - この投稿者のレビュー一覧を見る
あらゆる生物が生きていくのに必須の成分である、ナトリウム。その補給方法は簡単。塩を摂取すれば良い。だが、その一方で塩分濃度が高くなりすぎると、生物は生きていけなくなる。塩分が水をがっちりと保持してしまうため、生物が更に重要とする水分を使えなくなってしまうためだ。
それ故、塩は食べ物を保存するのに使われてきた。微生物の増殖を抑える=腐敗しない=食べ物を保存できる、ということだから。冷蔵という手段が発達する以前、収穫期を過ぎてから再び暖かくなって食料を手に入れられるまでどう食いつなぐか。人類の永い課題に、塩は絶好の回答を与えてきたのである。
そんなわけで、世界中で塩を手に入れるための努力が重ねられ、そして塩を利用した様々な料理が開発されてきた。醤油やチーズといった発酵食品もそうだし、ハムや塩漬けの魚もそうだ。これらの食品は、今になっては栄養学的に必須のものではない。しかし、これら保存食品が無くなってしまったら、我々の食卓はどれほど寂しいものになってしまうであろうか。
本書はタイトルどおり、塩がどのように得られ、使われてきたかを追いかけている。”世界史”を名乗るだけのことはあり、アジア、新大陸、アフリカ、ヨーロッパ、そして日本と、実に広い地域のことを扱っているのが面白い。
食料の確保がどれだけ重大なものだったか。近くのスーパーに行けば季節を問わず物が溢れる時代に生きる我々には想像も付かないだろう。驚くべきことに、多くの発展途上国でも深刻な問題は飢餓では無く肥満である、とされている。本書を読めば、それがどれほど恵まれた状態であるか分かるだろう。
塩を切り口に、世界史の捉え方にも様々な断面があり得る、という貴重な教訓を与えてくれていると思う。類書として、保存食品にのみ話題を絞った『保存食品開発物語』があるが、本書は、塩の食料品以外への使われ方や、塩の精製方にも触れられていることが大きな違いである。
例えば、インドの解放には塩を求める運動があった。独立戦争でも塩を巡って苛烈な戦いが行われてきたこともある。人類が生きるために必須のものだから、そこには様々なドラマがあったのだ。
また、ところどころで塩を使った料理のレシピが出てくるのが興味を引かれる。それは、そのレシピが書かれた地域の、書かれた時代で、どのような物が手に入り、人々が何を好んだかを映し出すからだ。そうした文化面に興味を持つ方にもお勧めしたい。