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- カテゴリ:一般
- 発売日:2006/03/07
- 出版社: 岩波書店
- サイズ:19cm/235,3p
- 利用対象:一般
- ISBN:4-00-022033-0
紙の本
あの戦争を伝えたい
著者 東京新聞社会部 (編)
【平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞(第12回)】戦後生まれが7割を超える今日、60年余り前のアジア・太平洋戦争の記憶を風化させまいと、17人の記者が総力をあげて取材。...
あの戦争を伝えたい
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商品説明
【平和・協同ジャーナリスト基金賞奨励賞(第12回)】戦後生まれが7割を超える今日、60年余り前のアジア・太平洋戦争の記憶を風化させまいと、17人の記者が総力をあげて取材。数々の生々しい証言を通して、あの戦争の実像に迫る。『東京新聞』大型連載の単行本化。【「TRC MARC」の商品解説】
目次
- はじめに
- 東京大空襲
- 「敵国の母」祈りは海を越え/絵で語る「地獄の橋」/母への思い,介護の心
- 山の手空襲
- 炎の表参道,書店の奇跡/連夜の猛襲,渋谷灰燼
- キリスト教徒弾圧
- 獄死,枕元に聖書/「スパイの子」に耐え/苦しみ半世紀…和解
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紙の本
歴史を風化させないために
2006/07/20 10:08
7人中、7人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
「東京大空襲」「沖縄戦」「原爆投下」「サイパン陥落」「硫黄島玉砕」「回天特攻」「シベリア抑留 「満州棄民」・・・。
言葉はもちろん知っている。それぞれの言葉の内容も、社会の教科書に出てくる程度であれば十分答えられる。日清・日露戦争から、原爆投下を受けての敗戦までの歴史の流れについても、十分勉強している。でも、何か足りない。
過去の歴史を知ることはもちろん大切ではある。しかし、過去に起こした過ち、過去にあった悲劇を二度と繰り返さないためには、歴史を受け継ぐ者としては、それだけでは何か足りない。
足りないもの、それは<経験>。いくら本を読もうが、いくら頭で考えようが、戦争の悲劇性は、実は実際に経験しない限り、本当の意味で体感はできない。
それでは、実際に戦争を体験していないわれわれは、どうやって過去の歴史を実感として受けとめ、次世代に受け継いでいけば良いのか。
冒頭にあげた単語ひとつひとつのできごと中に、本当は、幾千、幾万人の実体験が潜んでいる。それら個々の人間の悲劇を創造し、その個々の悲惨さを自らの体感として感じられるような、“擬似的実経験”を積み重ねる努力は必要である。
本書は、東京新聞連載の記事を書物化したものである。毎回毎回、全く市井の一個人が実際に経験した戦争、そのものが記録されている。この本だけで、十分頭がいっぱいになるほどの悲劇が詰め込まれている。読んでいて、書を持つ手が重くなり、頭の中に重たい雲が広がる。しかし、戦争全体の中では、ここに記されている悲劇はほんの何万分の一、何十万分の一にも満たない。
戦後も60年を過ぎ、実際の戦争体験は風化の一途をたどる。過去の歴史を正しく後世に伝えるためにも、歴史を風化させてはいけない。風化した歴史に向かっては、いくら真摯な姿勢をとろうとも、無意識に「過去に対して盲目」とならざるをえない。
ジャーナリズムの使命として、戦後60年を節目として、このような連載を企画し、大切な記録を残してくれた東京新聞に感謝する。