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紙の本
実利主義を越えたすぐれた絵本論
2001/07/07 21:19
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投稿者:Shinji - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は、すぐれた児童書の出版元として定評のある福音館書店で編集者・社長・会長を努めて来られた松居直氏が、日本基督教団の月刊誌「信徒の友」に3年にわたって連載してきた文章をまとめたものです。
編集者として良い本と出会ったときの喜び、世界中の優れた作家、画家との触れ合い(マリー・ホール・エッツの小伝は感動的です)、さらには読者との対話。そして、豊かな交友関係を通して投げかけられる様々な問題を、ひとつひとつ真摯に受けとめつつ、著者の視線はアジアにおける和解と共存へ、さらには世界へと向けられていきます。
著者は「わたしは四十年間ほど絵本をつくり続けて来ましたが、『役に立つ、ためになる絵本』はつくってこなかったつもりです。たとえそれが知識の本、科学絵本であっても、…物語の絵本と全く同じに。『おもしろく、楽しい』から出版しただけです」と言います。
思うに、児童書をつくるという作業は、著者にとって、子どもたちが現実の世界と真実に出会うための道備えなのではないでしょうか。もちろんそれは「役に立つ、ためになる」といった浅薄な実利主義ではありません。それは「世界」と出会う「おもしろさ」であり、人と出会う「喜び」なのでしょう。
このように、ことばの大切さを知り、そこから喜びを汲みあげることのできる大人がいてこそ、子どもたちも豊かなことばの世界に触れ、やがては現実の世界に真実に向き合うことができるようになるのだと思います。