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- カテゴリ:一般
- 発行年月:2006.7
- 出版社: 集英社
- サイズ:20cm/262p
- 利用対象:一般
- ISBN:978-4-08-775364-6
紙の本
オートフィクション 書き下ろし長篇小説
著者 金原 ひとみ (著)
破綻した世界で、私はなぜ神となったのか?私が殺した過去と過去が殺した私の記録。【「BOOK」データベースの商品解説】私は何故こんなにも面倒な人間なのだろう−。オートフィク...
オートフィクション 書き下ろし長篇小説
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商品説明
破綻した世界で、私はなぜ神となったのか?私が殺した過去と過去が殺した私の記録。【「BOOK」データベースの商品解説】
私は何故こんなにも面倒な人間なのだろう−。オートフィクション(自伝風小説)を書き始める作家。それは彼女が殺した過去の記録であり、過去に殺された彼女の記録でもあった…。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
金原 ひとみ
- 略歴
- 〈金原ひとみ〉1983年生まれ。東京都出身。著書に「蛇にピアス」「アッシュベイビー」「AMEBIC」がある。
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紙の本
金原ひとみの頭んなか
2007/03/13 15:24
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:nanako17girls - この投稿者のレビュー一覧を見る
本書は恋愛小説?それとも金原ひとみの個人的な恋愛感?さて、どちらでしょう。従来の恋愛小説にある「せつなさ」「いとしさ」とは無縁の本書。読んでいて胸が苦しくなるようなドギマギした恋愛とはほど遠い。かといって、現代風俗を描いた小説とも思わない。いまの世の中、恋愛資本主義なひともいれば、腐女子なひともいる。どちらが幸せかはわからない。ただ、価値観の相違というよりは恋愛格差が広がった結果だと思う。「完全な自由主義は一部の富裕層と多数の貧困層が生まれる」という社会学の基本はここでも通用しそうだ。はたして金原はどうなのか?
彼女の小説の登場人物はいままでの私小説とは違う。個人の内面的な葛藤よりも行動が優位にはたらく。斎藤環の言葉を借りるなら「ヤンキー系」ということになる。そう、まさに「ヤンキーの書いた小説」なのだ。流動的な人間関係のなか、セックスがとくべつな意味をもたず、コミュニケーションを図らず、ただ、快楽に身をゆだねる。それは、ときに暴力であったりもする。コミュニケーションが薄くなった結果なのだろうか?いや、そうは思わない。登場人物は過度に相手を束縛しようとする(男女問わず)。不安の表れと見ることも可能かもしれない。セックスが絶対的な契約ではなくなった結果、流動性の高い、人間関係として描かれる。
もちろんこれは小説である。しかし、確実に著者の恋愛感がにじみ出ている。恋愛は経験人数の多い、少ないではない。この小説の卓抜なる点は「楽しくてやってんじゃない」というところだ。ならば、なぜ?今後の次回作に期待したい。
紙の本
知的パンチラ
2006/08/04 18:10
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:朔ノ輔 - この投稿者のレビュー一覧を見る
ショッキングに目を惹く真っ赤な表紙に、影のある女性の写真。作家ご自身でいらっしゃるのでしょうか? 小説のなかみは、或る意味、この装幀をまったく裏切らないのですが、「おもしろいか?」と訊ねれれれば、黙ってしまいます。
前作『AMEBIC』では、タイトルどおりアメーバ状の“錯文”=文体が話題になりましたが、今回もタイトルはズバリそのもの。作中、編集者の「品川」が、主人公である女性作家の「高原」に長篇の原稿を依頼する箇所で、「オートフィクション」の意図が解説されます。「一言で言えば、自伝的創作ですね。つまり、これは著者の自伝なんじゃないか、と読者に思わせるような小説です」(中略)「ええ、高原さんの自伝風に、小説を書いてもらえないかと」
ポイントは「風」にあります。自伝を「装う」、つまりニセモノを堂々と宣言して本作は進みます。芥川賞を受賞したデビュー作『蛇とピアス』以来、たいへん頭の良い書き手だと思って読んできましたが、この装いも実に賢いやり方です。派手で赤裸々な過去が明かされても、あくまで「風」ですし、作家本人に重ねられる主人公の書く文章や妄想が恐ろしくひどいものでも、あくまで「風」。「風」とすることで、あらゆる批判から逃れることができるのですから、あら不思議。
全体は「22nd winter」「18th summer」「16th summer」「15th winter」の四章で構成されています。明示はありませんが、年齢のことを恐らく指していて、現在時では作家になった女性の過去がだんだん明らかになっていく、という流れです。
冒頭は新婚旅行の帰途の機上での挿話で始まります。これが絵に描いたような“バカップル”。新婦はスチュワーデス(原文ママ)が新郎に色目を使い、新郎もそれに応じて機内のトイレで浮気をはじめてしまった、と妄想一直線。「ああもう彼の性器はあの女のマンコに擦れているのかもしれない。ああもう死ね。破滅だ死ね」。サービス精神旺盛です。この知的パンチラが彼女の持ち味です。そして、「なんて素敵なだんなさん。私の可愛いだんなさん。もう離れられない死んじゃう」という文章で締めくくられる挿話が、後に「小説内小説」だと読者に知らされます……。 あとは、この半ば気のふれたような女性作家の過去へ過去へと、比較的にスムーズに話が進んでいきますが、やはり金原さんのこと、彼女がそうなった根本的なトラウマとかが明らかにされるわけではありません。謎は解決せず、ぐるぐる周りの堂々巡り。どこかのインタビューで、金原さんは、主人公の名前「リン」は、輪廻転生にちなんで名付けたと語っていました。
手の平を返すような結論ですが、この賢さとパンチラを彼女は早急に捨てる必要があるように思いました。このままでは、幾ら書いても小説の沃野は見えてこないでしょう。柳美里のように、私生活をさらすことをいささかも恥じずに、つまり「風」でなく堂々と書いていくか、『AMEBIC』のような文体をとことんつきつめていくか、どちらかにしか道はないと思います。若さだけでついた読者はすぐに消えていってしまいますから。
紙の本
やっぱり金原ひとみって、おかしい。
2006/08/08 00:03
2人中、2人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:由季 - この投稿者のレビュー一覧を見る
やっぱり金原ひとみって、おかしい。
なんかうまいのにどうしても一作品一作品が変で変態ちっくで何をどうしたいのかよく分からない。。
毎回、新作が出るたびに(今度こそは!!)って期待して読んでみるけど、読めば読むほど幻滅してくる。
これをもって金原ひとみ作品に手を出すのが辞めようと思います…