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紙の本
大政翼賛会に抗した40人 自民党源流の代議士たち (朝日選書)
著者 楠 精一郎 (著)
戦時下にあっても、議会政治を命がけで守ろうとした政治家たちがいた。尾崎行雄、鳩山一郎、芦田均、片山哲…。今の議院内閣制と政党政治は、彼らが築きあげたといえよう。昭和を見つ...
大政翼賛会に抗した40人 自民党源流の代議士たち (朝日選書)
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商品説明
戦時下にあっても、議会政治を命がけで守ろうとした政治家たちがいた。尾崎行雄、鳩山一郎、芦田均、片山哲…。今の議院内閣制と政党政治は、彼らが築きあげたといえよう。昭和を見つめ直し、政治家とは何かを考える。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
楠 精一郎
- 略歴
- 〈楠精一郎〉1952年東京都生まれ。慶応義塾大学大学院法学研究科博士課程修了。高崎経済大学教授を経て、東洋英和女学院大学教授。著書に「児島惟謙」など。
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時代に抗うことの難しさ
2007/07/03 04:10
10人中、8人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:良泉 - この投稿者のレビュー一覧を見る
国政の場で久々に「大政翼賛会」という言葉が使われた。
一九九七年四月、衆院安保土地特別委員長として野中広務は駐留軍用地特別措置法の委員長報告を行い、続けて発言した。
「私たちのような古い苦しい時代を生きてきた人間は、再び国会の審議が、どうぞ大政翼賛会のような形にならないように若い皆さんにお願いをして、私の報告を終わります。」
この法案はたった九日間というスピード審議で成立した。しかも社民党や共産党をのぞく九割の賛成により成立した。在沖縄米軍基地使用を継続するという日本の安保に密接に関連する大問題である。虐げられつづけてきた沖縄の人たちに、さらに傷みを継続させる根拠となる特措法が、いとも簡単に成立させられてしまった。
自民党にあり、それまで法案成立に尽力してきた野中広務でさえ危惧を感じるほど、時代はすでに戦前に逆戻りしてしまっている。
その野中発言からでさえすでに十年。今や私たちはこのような”翼賛体制的”政治運営にすっかり慣れっこになってしまった。
すでに自民党と一体化したかのような、なんら自主性を示せない公明党。自民党以上に”自民党的”な議員を内部に多く抱える民主党。これら三党の馴れ合いで進められる国会運営を毎日のように眼にさせられるうち、この国の政治も、政治を見る私たち自身も、完全に麻痺してしまった。
アメリカ合衆国が第一次・第二次大戦に参戦することに対して、ただ一人両方に反対したことで知られるジャネット・ランキン。戦中の日本において大政翼賛会に抗したこの本の主役たち。彼らのような政治家を、我々はもう期待することはできないのか。そのような政治家だけを見抜く眼と、そのような政治家こそを国の代表に押し上げる力を、我々自身がすでに失ってしまったのか。
どのような社会でも回りに迎合して過ごす方が楽な場合が多い。それは、特に数の力が物を言う政治の世界では顕著である。
どのような時代でも、回りに迎合して過ごす方が楽な場合が多い。それは、特に日清日露戦争以降敗戦までの戦時下において顕著であった。
そのような時代、そして、そのような社会の終局的な形が「大政翼賛会」であった。すべての政治会派は解散させられ、すべての政治家がまたたくまに大政翼賛会に飲み込まれていった。「一億玉砕」と言う言葉が象徴するように、政治を包む日常すべてが、ひとつの方向に向かっていた。誰もが抗い難い異様な時代の雰囲気であった。
我々自身、大勢に飲み込まれることなく、自己の価値観に忠実に生きること。そして、我々の将来を任しうる代弁者を選任すること。一人一人に求められている。