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紙の本
帝国陸軍の〈改革と抵抗〉 (講談社現代新書)
著者 黒野 耐 (著)
明治の桂太郎、大正の宇垣一成、昭和の石原莞爾による3大改革のひとつはなぜ成功し、2つはなぜ抵抗勢力に屈したのか。その教訓は現代にも生き続ける。人類普遍のテーマ「改革」の条...
帝国陸軍の〈改革と抵抗〉 (講談社現代新書)
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商品説明
明治の桂太郎、大正の宇垣一成、昭和の石原莞爾による3大改革のひとつはなぜ成功し、2つはなぜ抵抗勢力に屈したのか。その教訓は現代にも生き続ける。人類普遍のテーマ「改革」の条件を近代日本陸軍史に見いだす。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
黒野 耐
- 略歴
- 〈黒野耐〉1944年愛知県生まれ。防衛大学校機械工学科卒業。防衛庁戦術研究所等を経て、武蔵野学院大学国際コミュニケーション学部講師。著書に「「戦争学」概論」「大日本帝国の生存戦略」など。
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紙の本
改革というテーマでの明治以降の帝国陸軍史
2006/12/06 18:33
5人中、5人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:読み人 - この投稿者のレビュー一覧を見る
小泉さんによって、改革と抵抗勢力との対比が
クローズアップされたわけですが、
その改革と抵抗いうテーマに沿って、
明治以来の旧日本陸軍の通史を説いたのが、本書です。
私にとって日本陸軍というと、
内務班でのいじめや、戦線への航空支援と、
火力支援は、おざなりで補給もいい加減、
機械化装甲化も殆どされておらず、
ボルトアクションの38式小銃をもった歩兵がたくさんいるだけの軍隊、
一銭五厘で集めた兵隊の命を軽視したひどい軍隊
物理面の不足を精神主義で補った。、
戦前の日本人のもっともいやな部分が出た組織というイメージなのですが、
実はその陸軍にあって、何度か、大きな改革を試みたことが、
あったという事実にちょっと驚きました。
本書でとりあげているのは、
一回目として桂太郎、二回目宇垣一成、三回目石原莞爾
一回目の桂太郎のときは、成功するのですが、
二回目、三回目は失敗します。
私がとらえている、おおまかな陸軍の近代化失敗の理由は、
大まかなものですが、日露戦争の勝利で、しかも、
本当は、全然違うのに、旅順要塞攻略で歩兵が白兵突撃して
落ちない要塞は、ないと、認識してしまったからだというものです。
これも、実は、大きな誤解で、
203高地の戦いをどうとらえるかなのですが、
司馬さんの「坂の上の雲」でもきちっと描かれていますが、
歩兵の突撃によって、要塞は落ちたのでなく児玉源太郎が、
大砲の位置を変えて攻撃地点に対する火力支援を得やすいようにしたら、
あっという間に陥落しました。
この日露戦争での勝利で
(本当は、この勝利も誤解で海軍は勝利だったかもしれませんが、
陸軍は、これ以上、弾がなくて、戦えないのを6対4ぐらいで押している段階で引き分けに どうにか、持ち込んだぐらいが、正直なところ)驕り近代化を怠ったというのが、私のとらえる大きな理由でした。
しかし、本書を読む限り、全然そうではなくて、
明治以降の日本の抱える構造的問題、日本人の気質的問題全てが、
重なった結果、陸軍改革が、失敗してしまう様子が、大変よく描かれています。
陸軍とは、軍隊というなまえに誤魔化されていますが、
究極のお役所でもっとも保守的な官僚組織や、派閥の弊害がでやすいところです。
ところが、その軍隊が行う、戦争という行為は、これまた、究極の合理主義で
物理的結果、合理的結果が、如実に結果としてあらわれるところです。
又、こうして明治以降ざーっと見ると、実は、改革と抵抗というテーマは、人間が携わる全てに当てはめることが出来るテーマで
人間の究極の問題の一つかもしれません。そんなことまで、思いました。