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商品説明
ドル円相場は20年後、1ドル=600〜1000円になっていてもおかしくない。日米の経済最新情報を踏まえながら、今後の円相場を大胆予測。10年後、20年後に生き残るための方策を示す。【「TRC MARC」の商品解説】
著者紹介
浅井 隆
- 略歴
- 〈浅井隆〉1954年東京都生まれ。早稲田大学政治経済学部中退。経済ジャーナリスト。21世紀型情報商社「第二海援隊」設立。著書に「次にくる波」「国家破産!?気づいた人には大チャンス」など。
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紙の本
ほとんど老人詐欺に近い
2007/01/18 23:31
10人中、10人の方がこのレビューが役に立ったと投票しています。
投稿者:佐伯洋一 - この投稿者のレビュー一覧を見る
まず知っておくべきは、この男は相当前から日本破綻論をまくし立てていた。本書の最後の円高というのも破産だけが根拠となっている。今まで一度も予想が当たっていないことはいうまでもない。そして破産するから・・と言っては本の中で自分関連の商品を進めるのだから悪質な詐欺に近い。
1ドル=1000円など、ありえない。それには、なぜ97年の通貨危機の際、アメリカは日本に仕掛けてこなかったのか。その理由の大きなひとつは、日本を円安に誘導してしまっては大変な事になるからである。日本ほど輸出競争力のある国はない。故に、円安にしてしまってはGMなどが参ってしまう。現に、GMは「円はドルに対し、90円が妥当であり、120円は余りにも高すぎる」と強行に捲くし立てている。
また、90年代後半アジア景気が一気に下がったことがあった。その最大の理由は、円安にあった。それまで円高だったので、世界は日本製品を諦めざるを得なかった。しかし、円安に振れた瞬間、一気に日本製品が買われ始めた。それゆえに、日本製品の二番煎じであった韓国やタイ、中国などの輸出が急激に減少したのである。日本製品は、今も昔も圧倒的であり、そのことはLG電子のビデオテープと日本製品の違いを見れば一目瞭然だ。現に、サムスンは日本市場にだけは打って出て来ない政策である。実に懸命な李会長なのである。
そして、貿易黒字で円高になるなどと言うのはデマであり、実際には金融の世界の都合によって動く。つまり、アメリカの意思が最も大きい。そして、アメリカは円安を絶対に望まない。
ただ、国家破産の懸念はある。しかし、著者の根拠はすべて出鱈目である。破産した韓国、アルゼンチンと日本を比較し、日本は既にGDPの2倍の借金があるから打つ手なしという。しかし、その2国と日本は情況が百八十度違う。日本の国債の買い手は金融機関など日本人である。要するにこれは税金の前借に近い。ということは、借金の金利は日本人のフトコロに入ってくるのだ。これはポイントである。しかも、借金の分の数倍の純資産を生んでいる事も見落としてはならない。
なおかつ、日本の金融資産は1500兆円以上である。そして、その分だけ政府の利払いは(日本人への)増える。アルゼンチンはGDPの45%の赤字しかなかった。韓国も同様である。なのに、既に2倍の日本が破産しない。著者はだからこそ破産は近いというのだが、逆に言えば、なぜ日本だけがまだ破産の予兆すら(円安傾向にすらない)ないのか。つまり、著者最大の根拠が実は最大の破産しない現実の根拠といえるだろう。
著者はこれまで何冊もいい加減な本をだし、毎回「最後の」という。この前は「最後の2年」だった。しかし、今年の株高は間違いない。また、円高も間違いない。日銀は利上げをするし、アメリカは上げてもごくわずかだろう。円高は国にとって全然悪い事ではない。大いに受け入れていいだろう。
しかし、破産を引き起こすのは人の心理もある。投機筋の都合もある。いま、金利が上がれば08年予算打つ手なしというのは事実である。著者の論拠は滅茶苦茶だが、破産の魔手は忍び寄る。しかし、現実は日本にとって良い方向に動いている。本年度の好景気での自然増収も期待できる。プライマリバランスが戻り、コストダウンが進めば、市場が破綻宣告を下すことは有り得ない。なんと言っても不良債権化があるとはいえ、世界の金融資産20%を占める日本の金融資産1500兆円の後光の力は圧倒的である。